「チェロ・ソナタ第2番ト短調」——チェロだけじゃない! ピアノの技巧も聴きどころ
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
チェロだけじゃない! ピアノの技巧も聴きどころ「チェロ・ソナタ第2番 ト短調」
ピアノ・パートについては、常に自分が演奏することを想定しています。1809年の《皇帝》以降、ピアノ協奏曲を書かなくなるのは、耳の障がいが進んでオーケストラと合わせることが難しくなったためでしょう。一方でピアノ・ソナタを書き続けたのは、一人でも弾けるものだからです。
(中略)
このチェロ・ソナタは完成から1週間以内には、御前演奏されているはずですから、自分の得意なパッセージをかなり盛り込んでいたはずです。
――小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ「傑作の森」への道のり』(音楽之友社)52、53ページより
チェロ・ソナタ第1番と同様、ジャン=ルイ・デュポールとのプロイセン国王の御前演奏のために作られた作品です。力強いピアノのパッセージは、自分の技巧を余すことなく王に聴いてもらうためのものだったようです。ベートーヴェンの難聴が始まるのは1800年(30歳)ころだと言われています。若きベートーヴェンがどんなピアニストだったのか、一体どんなアンサンブルをデュポールと繰り広げたのか……想像するのも楽しいですね。
チェロ・ソナタ第2番 ト短調 op.5-2
作曲年代:1796年5~6月(ベートーヴェン26歳)
出版:1797年2月
プロイセン国王の御前で、ジャン=ルイ・デュポールのチェロと作曲者で初演
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