2020.03.27
おやすみベートーヴェン 第103夜【天才ピアニスト時代】
「ピアノ・ソナタ(4手)ニ長調」——ピアニストから作曲家への過渡期に書かれた作品
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。
ピアニストから作曲家への過渡期に書かれた作品「ピアノ・ソナタ(4手)ニ長調」
自己の音楽追及の姿勢もプラハ—ベルリン旅行以後大きく変わっていたが、作品発表の場は相変わらずリヒノウスキー侯邸での室内演奏会を中心とするものであった。作品はこれまでのようなピアノ中心のものから、弦楽アンサンブルのような本格的室内楽へ傾斜する様子が窺える。しかし、1796年から翌97年にかけてはまだピアノ曲が多く、ピアノ・ソナタ作品7や「3つのピアノ・ソナタ」作品10、さらには初期の傑作ソナタとなる《悲愴ソナタ》作品13や作品14-1までの6曲のピアノ・ソナタを次々に仕上げている。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)49~50ページより
この作品は、4手連弾、つまり2人で弾くために書かれました。平野さんが仰るように、ベートーヴェンはこの時期にピアノ・ソナタを6曲書き上げています。作品の傾向を探るように、Op.6から作曲順にピアノ・ソナタを聴いてみるのも面白いかもしれませんね。
作品紹介
「ピアノ・ソナタ(4手)ニ長調」Op.6
作曲年代:1796年末?97年初頭?(ベートーヴェン26歳頃)
出版:1797年
平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)
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