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2020.04.10
おやすみベートーヴェン 第117夜【天才ピアニスト時代】

「弦楽三重奏曲(第4番)ハ短調」――ハ短調は挑戦の証し?

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。

ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

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ハ短調は挑戦の証し? 「弦楽三重奏曲(第4番)ハ短調」

弦楽三重奏曲op.9は、1798年7月にウィーンのトレーク社から出版され、ウィーン駐在のロシア将校で、ウィーン初期のベートーヴェンの主要なパトロンの一人であったゲオルク・フォン・ブロウネ=カミュの妻アンナ・マルガレーテに献呈されている。

彼女には3つのピアノ・ソナタOp.10や、2つのピアノ変奏曲WoO71とWoO76なども献呈されている。

弦楽三重奏曲のトリを飾るのは、ハ短調のトリオです。ハ短調といえば、のちに交響曲《運命》にも使われる、ベートーヴェンお気に入りの調性ですね。

弦楽三重奏曲とは思えない、響きとテクスチャ(声部書法の織りなす綾)の充実が見られる。また、ここで「ハ短調」が選ばれている点に、ベートーヴェンの強い創作理念が伺える。
師ハイドンから批判されたOp.1の3つのピアノ三重奏曲でも第3番を「ハ短調」にしていたが、さらにこのOp.9の直後に作曲を始める「6つの弦楽四重奏曲」Op.18中の唯一の短調も「ハ短調」を選ぶのだ。さらに、このころに作曲していたピアノ・ソナタ《悲愴》Op.13が「ハ短調」であることは言うまでもない。

第2楽章は同主長調のハ長調によるアダージョ・コン・エスプレッショーネの緩徐楽章。第3楽章は4分の3拍子で、ヘミオラ(小節をまたいだリズム、複合拍子の一種)やシンコペーションを強調した荒々しいスケルツォ。第4楽章はプレスト、2分の2拍子のフィナーレ。

解説;平野昭

作品紹介

弦楽三重奏曲(第4番)ハ短調 op.9-3

作曲年代:1797年初期~98年春(ベートーヴェン27歳~28歳)

出版:1798年7月

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