雨の日に聴きたいプレイリスト
雨が降って憂鬱だからといって無理に明るい気分になろうとするよりは、そのままアンニュイな気分でいるほうが自然だと思う。折角の休日なのに外は雨。ちょっとした買い物に出るのも億劫だ。そんなときは、静かな雨音と溶け合うような耳に優しい音楽を聴いて、潔く引きこもるのがよい。
なんとなく気分が塞ぎ込んでいるとき、延々と流しっぱなしにするアルバムが3枚ある。お茶でも淹れて、ぜひ楽しんでみて下さい。
ONTOMO編集部員/ライター。高校卒業後渡米。ニューヨーク市立大学ブルックリン校音楽院卒。趣味は爆音音楽鑑賞と読書(SFと翻訳ものとノンフィクションが好物)。音楽は...
バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻/ティル・フェルナー(ピアノ)
「ジャケ買い」してしまった1枚。当時練習していた4番の参考に何かCDを買おうと思って、ティル・フェルナーというピアニストが誰なのかもわからず、モノトーンのジャケットに惹かれて手に取った。
プレイヤーから1音目が飛び出してきた瞬間に耳を奪われて、最後まで聴き入ってしまった。何しろ音が美しい。
「このCD、めちゃくちゃいいんですよ!」と仲が良かったクラオタに貸したら、借りパクされてそのまま戻ってこなかったというオチつき。ティル・フェルナーの音色はそれだけ人の心を鷲掴みにしてしまうようだ。で、今どこにあるの? 私の愛聴盤よ……。
ブラームス:間奏曲集/グレン・グールド(ピアノ)
悲しみにもいろいろ種類があるが、ブラームスの間奏曲の多くは、「抑圧された悲しみ」だと感じる。胸の底に溜まった悲しみをじんわりと噛み締めるような心持ちのとき。寄り添ってくれたのがグールドの弾くブラームスだった。
Op.118, No.2がお気に入り。なんといっても長調なのが良いです。悲しみは短調とは限らない。美しく清らかな旋律に悲しい気持ちを託して、音楽が浄化してくれるのに任せよう。
ショパン:ノクターン集/アルトゥール・ルービンシュタイン(ピアノ)
日本語では「夜想曲」と訳されるノクターン。ショパンのノクターンというとOp.9, No.2を連想する人が多いかもしれないけれど、他にも山のように名曲がある。何しろ2枚組たっぷりの時間があるので、眠れない夜に流しておくと、ちょうどいい塩梅で寝落ちできる(最高)。
特に晩年に書かれた曲が良い。Op.62は1846年作曲、ショパンの生前最後に発表されたノクターン。静かで穏やかな曲だけに、苦悩の詩人が晩年に何を思って書いたのか、あれこれと想像を巡らせてしまう。
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