レポート
2023.07.15

浅田真央×辻井伸行×三浦文彰、夢の共演!3人が氷上で紡いだリスト《愛の夢》

バンクーバー五輪銀メダリストでプロフィギュアスケーターの浅田真央が座長を務めるアイスショー「BEYOND」。2022年9月10日、滋賀を皮切りに約10か月かけて全国各地を巡ってきた本公演は、7月1~17日、東京・立川で開催される「BEYOND The Final 千秋楽公演」でついに終わりを迎える。
今回は、今年3月23日アリーナ立川立飛(東京)で行なわれたエアウィーヴプレゼンツ「BEYOND」特別公演の模様を中心にお届けする。

取材・文
鈴木啓子
取材・文
鈴木啓子 編集者・ライター

大学卒業後、教育系出版社に入社。その後、転職情報誌、女性誌、航空専門誌、クラシック・バレエ専門誌などの編集者を経て、フリーに。現在は、音楽之友社にて「ONTOMO M...

『エアウィーヴプレゼンツ「BEYOND」特別公演』より(2023年3月23日・アリーナ立川立飛)

写真:松谷靖之(公演)、編集部 

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浅田真央が創り出す、極上の氷上芸術

『エアウィーヴプレゼンツ「BEYOND」特別公演』より。映像、照明、衣装が一体となった、総合芸術ともいえるアイスショー

「何度だって立ち上がる。これは、私たちの進化の物語」――。”過去を超えて進化する”という浅田真央の思いが込められたアイスショー「BEYOND」。浅田が現役時代に滑ってきた珠玉のプログラムを含む全15曲を約90分ノンストップで11人のスケーターたちが滑っていく。

「今まで応援してくださった方々への感謝を込めて……」という浅田の思いのもと、2018年5月から2021年4月まで約3年に渡って行なわれた「浅田真央サンクスツアー」から約1年半、この「BEYOND」でも再び浅田が座長を務めている。サンクスツアーと同様、キャストの選出から演出、振付、楽曲制作、衣装、ツアーグッズまで手がけており、プロデューサーとしての手腕も発揮。

巨大なバックスクリーンとリンクサイドの3方位に置かれたサイドスクリーンに映し出される映像、ブロードウェイミュージカルさながらの彩り豊かな照明、こだわり抜かれた衣装と小道具が表現をより引き立て、まさに“総合芸術”と言わんばかりの他に類を見ない芸術性とエンターテインメントに溢れたアイスショーとなっている。

とりわけ、2012/2013シーズンの浅田のフリースケーティング(以下FS)で用いられたチャイコフスキー《白鳥の湖》は、バレエの幕物を見ているかのようなストーリー性に富んだ大作だ。オデット/オディールを浅田が、ジークフリート王子を柴田が、そしてロットバルトを田村がドラマティックに演じ切る。また、女性スケーター5人が5羽の白鳥に扮し、《白鳥の湖》の見どころのひとつであるコール・ド・バレエの世界観も見事に表現。

ほかにも、フレデリック・ショパン《バラード第1番 ト短調 Op.23》や《幻想即興曲(遺作) 嬰ハ短調 Op.66》、フランツ・リスト《愛の夢 第3番》、ジョルジュ・ビゼー歌劇《カルメン》、ニコライ・リムスキー=コルサコフ《シェヘラザード》など、クラシック音楽を使用したプログラムが多く、フィギュアスケートに詳しくないクラシックファンでも楽しめるに違いない。

また、浅田は今回ペア競技のリフト(男性が女性を持ち上げる)やスロージャンプ(男性が空中に女性を投げジャンプさせる技)、アイスダンスのツイズル(多回転の片足ターン)などにも挑戦。浅田自身が“BEYOND”を体現し、新たな魅力を放っている。

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辻井伸行の念願だった、浅田真央との共演

その浅田が長年に渡ってブランドアンバサダーを務める寝具メーカー・エアウィーヴ主催の『エアウィーヴプレゼンツ「BEYOND」特別公演』が、2023年3月23日、東京・立川にある「アリーナ立川立飛」で開催された。会場には、エアウィーヴのキャンペーン対象者や取引先、関係者、同社の社員など多くの人が訪れ、満員となった。

この日は、同社のCM楽曲を演奏した経験のあるピアニストの辻井伸行とヴァイオリニストの三浦文彰をゲストに迎え、本公演のあとにスペシャルプログラムが披露された。この夢のようなコラボレーション、実は辻井の長年の夢であったという。以前、同社のイベントで浅田と辻井のトークショーが行なわれた際、辻井が「これは叶うことかどうかはわからないんですけれど、もしお願いできるならば、僕の生演奏で浅田さんに何か滑っていただけないでしょうか」と発言したことをきっかけに、エアウィーヴの高岡本州(たかおか・もとくに)会長が辻井の願いを叶えるべく奔走したという。

「私どもは、”少しでも多くの方々の睡眠を支える”をモットーにさまざまな夢を持って事業をしてきました。10年ほど前に辻井さんにCM曲である《星に願いを》を弾いていただきました。みなさんご存知の通り、この曲はディズニー映画『ピノキオ』の主題歌で、ピノキオは人間になりたくて、ずっと星に願うわけです。

我々もこの曲に想いを託してきて、東京五輪では選手村全床に寝具を提供させていただけるようになり、2024年に開催されるパリ五輪でも選手村全ての約1万6000床に寝具を提供することが決まりました。本日は、これまでエアウィーヴを支えてくださったお客様、お取引を見守ってくださった方々、当社の社員、そしてこれからも我々と共に夢をつなげていってくださる方にいらしていただいています。そして今日、辻井さんの夢を叶えるために、このような場を作らせていただきました」(高岡会長)

夢を語った辻井の映像と共に、今回のイベントの経緯を説明するエアウィーヴの高岡会長

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