
パーヴォ・ヤルヴィがドゥダメルの代役でバイエルン放送響を指揮

ドイツの1月の音楽シーンから、ミュンヘンを中心に、旧西ドイツのコンサート、オペラ等のレポートをお届けします。

音楽学/音楽ジャーナリスト。1991年からドイツのケルン、デュッセルドルフ、現在はミュンヘン在住。早稲田大学第一文学部ドイツ文学科卒業、ドイツのケルン大学法学部を経て...

1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...
バイエルン放送交響楽団のコンサートを聴いた。1月16日(プログラム:モーツァルト「交響曲第38番《プラハ》」、ブルックナー「交響曲第4番《ロマンティック》」)と18日(プログラム:モーツァルト「交響曲第31番《パリ》」、シューベルト「交響曲第8番《ザ・グレイト》」)で、指揮は両方ともパーヴォ・ヤルヴィだった。もともとグスターボ・ドゥダメルが指揮の予定だったが、キャンセルを受けてヤルヴィが指揮した。なお、同放送響はこれに先立ち、カナリア諸島でツアーを行った。
モーツァルト「交響曲38番」と「第31番」は両方ともニ長調で3楽章構成、《フィガロの結婚》との関連性が重要だが、ヤルヴィの音楽作りは歌心に乏しく、力ずくの感がいなめない。なによりモーツァルトのエスプリを欠いている。指揮も大ぶりの箇所が目立った。力技の展開はブルックナー、シューベルトでも同様で、とくにブルックナーでは薄い内声部とともに縦の構築が弱いことが気になった。
《アマデウス》がミュンヘン・ドイチェス・テアターで新制作上演
ミュンヘンのドイチェス・テアターで《アマデウス》の新制作を観た(初日と所見日:1月14日、制作:オペラ・インコグニータ)。「オペラ・インコグニータ」は2005年、演出家アンドレアス・ヴィーダーマンと作曲家エルンスト・バルトマンが共同設立、おもにオペラ作品を題材にアレンジ、制作している。
今回の《アマデウス》は1980年代、大ヒットしたピーター・シェーファー作の舞台劇を踏襲、アレンジしている。コンスタンツェ役にはオペラ歌手(カロリン・リッター)を配し、18人の合唱メンバーを効果的に使っていた。シンセサイザーが音楽のメインだが、おもしろい試みだ。
「オペラ・インコグニータ」は4月には、ベートーヴェン《フィデリオ》を題材にした作品をミュンヘンの司法宮殿で上演する。

バイエルン州立バレエで《くるみ割り人形》と「イリュージョン~《白鳥の湖》のように」
バイエルン州立バレエで1月11日に《くるみ割り人形》(178回目の公演)、1月17日に「イリュージョン~《白鳥の湖》のように」(39回目の公演)を観た。両方とも作曲はチャイコフスキー、振付はジョン・ノイマイヤー、それぞれの主役ギュンターとルートヴィヒ2世はジュリアン・マッケイ。
ノイマイヤーの《くるみ割り人形》は翻案版(1971年)で、原作とはかなり違う。12歳の誕生日にくるみ割り人形とトウシューズを贈られたマリー(リジー・アヴサジャニシュヴィリ)が第2幕でバレエのステージの夢を見る。夢から覚めたマリーはもう子供ではいられない。バレエ教師ドロッセルマイヤー役ソレン・サカダレスとギュンター役マッケイ、マリーの姉ルイーズ役ラウレッタ・サマースケールズの踊りの魅力はもちろん、アジム・カリモフの柔軟な指揮、マルクス・ヴォルフのヴァイオリン・ソロも素晴らしい。
《イリュージョン》の世界初演は1976年ハンブルクで、ミュンヘンでは2011年にプレミエを迎えた。ワーグナーとノイシュヴァンシュタイン城などの建築に多大な出費をし、政治遂行不能として逮捕され、湖で溺死したバイエルン王ルートヴィヒ2世の夢と追憶を《白鳥の湖》と巧みに重ね合わせた、秀逸な演出と振付だ。とくにバイエルン州の州都であるミュンヘンでは「ご当地もの」であり、人気が高いのも当然だ。
夢と現実を行き交うルートヴィヒ2世役には内面性をより求められるが、マッケイは好演、ナタン・ブロックの指揮、ヴァイオリン独奏マルクス・ヴォルフ、チェロ独奏イヴ・サヴァリも高い音楽性で秀逸な上演を支えていた。
バレエ振付家のハンス・ファン・マーネンが死去
オランダを代表する芸術家の一人、バレエ振付家のハンス・ファン・マーネンが2025年12月17日、アムステルダムで亡くなった。93歳だった。マーネンはジョージ・バランシンの美学を継承、クリアでピュア、優雅さで多くの振付家に影響を与えた。
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