
《ウィーン気質》新制作、ソヒエフ&ミュンヘン・フィル、ザビーネ・マイヤー引退

主にドイツ(旧西ドイツ)の12月の音楽シーンから注目のオペラやコンサート、ニュースを現地よりレポートします。

1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...
エッセン・アールト・ムジークテアターの新制作、ヨハン・シュトラウス2世《ウィーン気質(かたぎ)》を観た(初日:10月25日、所見日:11月22日、指揮:トマソ・トゥルケッタ、演出:ニコラウス・ハープヤン、美術:ハイケ・フォルマー、衣裳:デニーゼ・ヘーシュル、他)。「ウィーン・ヨハン・シュトラウス2世の生誕200年記念」との共同制作で、ウィーンでの新制作初日は2025年8月10日、シェーンブルン・シュロステアター(宮殿劇場)においてだった。
《ウィーン気質》はアドルフ・ミュラー(Jr.)がJ.シュトラウス2世の作品を集めて編成(31作品が確認されている)、ヴィクトール・レオンとレオ・シュタインがテキストをつけている。
もともとオペレッタ演出はとても難しい。時事的テーマと風刺に満ちたテキストの真の理解なしには、あさはかな制作となってしまう。音楽と踊り、テキストのタイミングは至難なこと極まりない。
オーストリア出身でたいへん注目されている若手演出家ハープヤンは劇場観客席もステージとして使用、観客も巻き込み、美術、衣裳とともにアイディアに富んだ粋なステージにまとめあげた。
登場人物の性格と人間関係の描写も巧みで、なかでも注目はペピ(マーシー・マリーロウ)だ。庶民出身でかつモラルを代表するペピが、ここでは中心的な役割をはたしている。ツェートラウ伯爵役アリョーシャ・レンネルト、ガブリエレ役ラファエラ・リントゥル、他。
ロウヴァリとソヒエフ指揮のミュンヘン・フィル
11月16日サントゥ=マティアス・ロウヴァリ指揮、11月20日トゥガン・ソヒエフ指揮のミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートを聴いた(両方ともミュンヘン・イザールフィルハーモニーにて)。
ロウヴァリ指揮のプログラムはラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」(キリル・ゲルシュタインp)、ショスタコーヴィチ「喜歌劇《モスクワ、チェリョームシキ》組曲」から(アンドリュー・コーナル編曲)、ボロディン「交響曲第2番」。「ピアノ協奏曲」ではソリストとの齟齬が聴かれたが、後半、とくにボロディンはすばらしく、大喝采だった。
ソヒエフ指揮のプログラムは、メンデルスゾーン「序曲《フィンガルの洞窟》」と「2台のピアノのための協奏曲」( ルーカス・ユッセンpとアルトゥール・ユッセンp)、チャイコフスキー「交響曲第4番」。チャイコフスキーは、第1楽章は流れが悪く、第2楽章のテンポは遅く集中力に欠け、第3楽章の弦のバランスが悪く、第1ヴァイオリンがほとんど聞こえなかった。ソヒエフとしては珍しい。
ザビーネ・マイヤー引退
クラリネットのザビーネ・マイヤーは昨年、2025年で引退すると発表していた。マイヤーは1959年、ドイツ・クレイルスハイムの生まれ。バイエルン放送交響楽団に入団したあと、1982年9月、ヘルベルト・フォン・カラヤンの意向を受けてベルリン・フィルハーモニー管弦楽団に入団、まず1年の使用期間に入った。ベルリン・フィルの最初の女性団員マドレーヌ・カルッツォ(vn)に次いで2番目の女性団員だった。しかしこれが原因で団員とカラヤンの溝が深まり、マイヤーはソロ活動を理由に、入団9カ月後に退団した。これが有名な「ザビーネ・マイヤー事件」だ。
マイヤーは40年以上にわたるアーティスト生活に終止符を打ち、今後は自由の身として家族や庭の手入れ、そしてピアノを弾くことに時間を使いたいとしている。
バイエルン州立バレエの《ジゼル》バルセロナ公演と《レ・シルフィード》再演

バイエルン州立バレエはシーズン始めにバルセロナのリセウ劇場で5回の《ジゼル》公演を行ない、大きな評判を呼んだ。11月末からは《レ・シルフィード》(1832年のフィリッポ・タリオーニ版をピエール・ラコットが再編)を再演した(2024年11月初日)。
11月22日の公演は人気のジュリアン・マッケイがジェイムズ役で登場、シルフィード役クセニア・シェフツォワ、エフィ役エルヴィナ・イブライモヴァとのパ・ド・トロワ(3人の踊り)は圧巻で、満場の拍手喝采だった。





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