レポート
2024.06.05
音楽×バリアフリーを探して

レ・フレール斎藤守也が始めた バリアフリーコンサート「小さき花の音楽会」が10回記念

障害のあるなしや年齢にかかわらず、みんなで楽しめるコンサートやそこに携わる人を、ONTOMO編集部が訪ねるシリーズ。今回は、兄弟の連弾ユニット「レ・フレール」の兄・斎藤守也さんが始めたバリアフリーコンサート「小さき花の音楽会」に伺いました。

ONTOMO編集部
ONTOMO編集部

東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

「小さき花の音楽会」のステージから(5月18日・あーすぷらざ プラザホール)

取材・編集=西脇朗子(ONTOMO編集部)

この記事をシェアする
Twiter
Facebook

5月18日、あーすぷらざ プラザホール(神奈川)でバリアフリー・ピアノコンサート「小さき花の音楽会」が開催されました。

これは、兄弟の連弾ユニットとして有名な「レ・フレール」の兄・斎藤守也さんが、2018年に始めたもの。障害のあるなしや年齢にかかわらず、みんなで楽しめるコンサートです。

これまで愛知・岐阜・三重・横須賀などで実施され、このたび記念すべき10回目を迎えました。ゲストを迎える回もありましたが、今回は「原点回帰」として、初回と同じピアノ・ソロのステージです。

続きを読む

安心して参加できるサポート体制

会場に足を踏み入れると、まず、お揃いのTシャツを着たサポーターの姿が目に飛び込んできます。総勢15名ほど。地域の施設スタッフのボランティアが、お客さんに積極的に声がけしており、プロがいる安心感がありました。

ホールは座席から舞台を見下ろす構造で、屋根を取り去ったピアノが折り染めのランタンに囲まれています。この幻想的なランタン装飾は、社会福祉法人の事業所とのコラボレーションによるもの。

ランタン装飾は、藤沢市のよし介工芸館とのコラボレーション。コンサートでは、制作過程を追った写真も投影された

ピアノ前のスペースは12区画に区切られ、病気や障害のある方とその家族がまとまって利用することができます。車椅子のまま鑑賞したり、床に敷かれたマットの上で横になって鑑賞することもできます。守也さんの迫力あるピアノ演奏を全身で浴びる、特等席です。

固定座席は、出入口が近い最前列が、ヘルプマーク等をお持ちの方の優先席。音に敏感な方は、はじめは最後列で、慣れてきたら前の列へ移ることも可能。演奏中の出入りは自由で、声が出ても踊ってもOK。

五感が喜ぶプログラム構成

さて、手話つきのガイダンスの後で、いよいよコンサートが開幕! 休憩20分を挟み、2時間みっちりのコンサートです。

手話つきのガイダンス。「思いやりの種まきをしましょう」という言葉が心に残る

まず印象的なのが、視覚効果の使い方。オープニングではしゃぼん玉が舞台一面を覆うような照明演出、守也さんのオリジナル曲《いつかの空》ではみなさんから寄せられた空の写真を投影。《線路は続くよどこまでも》では、守也さんが自ら「撮り鉄」に交じって撮影した電車の動画が流れ、子どもたちは大興奮でした。

動画の投影は今回が初。「お客さんに楽しんでもらいたい」という気持ちに溢れたステージ

お客さんは聴くばかりでなく、体を動かして音楽を楽しむこともできます。《幸せなら手をたたこう》では守也さんの動作を真似てボディーパーカッション、YOASOBI《ツバメ》では会場も一緒にツバメダンスで盛り上がりました。

また、支え合う家族の心にも寄り添っていたのが、ベッド・ミドラーの《ローズ》という曲。愛とは何かを切々と問う歌詞が投影され、美しいピアノアレンジに聴き入りながら自身を振り返るとき、思わず込み上げてくるものがありました。

アーティストが自ら強くコミットするコンサート

守也さんは、お子さんが生後すぐにNICU(新生児集中治療室)に入院した経験から、病院への訪問演奏をライフワークのひとつとしています。そこで出会ったのが、音楽が好きなのにコンサートに行けないと思っている方たち。誰もが安心して参加できるコンサートを作りたいと、「小さき花の音楽会」を手探りでスタートさせました。

アーティストが自分ごととして取り組む、その演奏の熱量に、心が解放され、元気をもらったコンサート。最後に感無量の表情で、「2018年に皆さんに寄り添いたいと始めたこのコンサートですが、みなさんのほうが寄り添ってくれた。これまでにないコンサートを始める不安を、みなさんが吹き飛ばしてくれました」と語った守也さん。いまではリピーターが増え、積み重ねてきたノウハウを求めて、公演依頼も寄せられるようになりました。

「小さき花の音楽会」でまかれた思いやりの種が、これからも人の輪を広げ、心のバリアフリーが進んでいくことを願わずにはいられません。

アーティストにとって自身の音楽が試される真剣勝負のコンサートであるだけに、10回という節目を迎えた喜びは格別だろう
「小さき花の音楽会」Vol.12「バリアフリー ファミリー コンサート」

日時:2024年10月19日(土)14:00開演

会場:ヨコスカ・ベイサイド・ポケット

出演:斎藤守也(ピアノ)、タニケン(谷本賢一郎、うた) ※スペシャルゲスト 太田めぐみ

チケット(一般発売:6月16日(日)10:00~/発売初日の窓口販売は11:00~):おとな3,000円(高校生以上)、こども1,800円(4歳~中学生以下)

※未就学児入場可能。3歳以下1名まで保護者膝上無料

演奏予定曲:「小さき花の詩」「On y va!」「青空しんこきゅう」「LOVEをプレゼント」「ディズニー・メドレー」など楽しさもりだくさん!

問合せ:横須賀芸術劇場046-823-9999

「小さき花の音楽会」詳細

ONTOMO編集部
ONTOMO編集部

東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ