白石美雪『音楽評論の一五〇年 福地桜痴から吉田秀和まで』が第37回ミュージック・ペンクラブ音楽賞授賞!
音楽之友社の元社員、現・契約書籍編集者。ペンネームの青山通でクラシック音楽や初期ウルトラ特撮などの著述家。社員時は『週刊FM』、書籍、ムック、辞典等の編集を行ない、そ...
4月22日14時より、第37回ミュージック・ペンクラブ音楽賞授賞式が、東京・北とぴあカナリアホールにて開催。クラシック、ポピュラー、オーディオ、3ジャンル各部門の受賞者や関係者が多数出席した。
クラシックの研究評論・出版部門では、白石美雪・著『音楽評論の一五〇年 福地桜痴から吉田秀和まで』(音楽之友社)が受賞。
本書は、気鋭の音楽学者である著者が「私はなぜ音楽評論を書くのか」という自身への問いを根源として、歴史的事象を読み解きながら音楽評論そのものを客観的に探究するもの。起点となるのは、1875年(明治8年)『東京日日新聞』の記事で、そこから平成に至るまでの約150年を描く。本書は研究書でありつつ、あたかも「音楽評論」という主人公が激動の近代現代の荒波を乗り越えて進化、深化していく物語のようでもあり、読み物としても興味深い。
白石さんはスピーチでそのあたりにふれつつ、さらに、
「選評に『遠山一行、吉田秀和以降についても続編やスピンオフ企画を期待したい』とありましたが、それですと会場の皆様について書くことになってしまいます。もう少し時間が経って、私が何を言っても叱られない年齢になってから考えたいと思います」
とユーモアを交えて受賞の喜びを語った。また本書の編集担当で本項も執筆している青野泰史も、受賞の御礼をコメントさせていただいた。
式はその後も、クラシックの特別賞として井上道義さん、ポピュラーの著作出版物賞として『ジャズとダンスのニッポン』を執筆された永井良和さん、イベント企画賞として第11回「3.11 全音楽界による音楽会 チャリティコンサート」の企画・主催者であるコシノジュンコさん、湯川れい子さんなど、さまざまな意欲的な取り組みが表彰された。
最後に、ポピュラーで新人賞を受賞した中村滉己さん(津軽三味線奏者・民謡歌手)により実演が行なわれた。その生命の源から発せられるような音楽には会場も息をのみ、若い世代による未来へのエネルギーを感じながら式は締めくくられた。
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