レポート
2024.04.22

ピアニストの辻井伸行がドイツ・グラモフォンと日本人初のグローバル専属契約

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

4月22日にサントリーホール ブルーローズで開かれた記者会見より。左から藤倉尚(ユニバーサル ミュージック 合同会社社長兼最高経営責任者)、辻井伸行、クレメンス・トラウトマン(ドイツ・グラモフォン社長)の各氏

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世界最古のクラシック専門レーベルであるドイツ・グラモフォン(DG)は、このたび、ピアニストの辻井伸行と日本人アーティストとして初となるグローバル専属契約を結ぶことを発表した。

 

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4月22日に開かれた記者会見で、DG社長のクレメンス・トラウトマン氏は、「昨年ロンドンで辻井さんの演奏を聴き、心から魅了された。音楽への深い洞察力とエネルギーに溢れ、この時代における特筆すべきピアニストだ。日本のみならず世界でもっと愛される音楽家であると確信している」と述べた。

2月のサントリーホールで行なわれた演奏会「辻井伸行プレイズ・バッハ、ショパン&ラフマニノフ」が5月18日にDGの配信サービス「STAGE+(ステージプラス)」で公開され、夏以降にはエイベックスの旧譜15アルバムが、デジタル/フィジカルの両フォーマットでDGから全世界に向けて再リリースされる。

また、7月にベルリンのテルデックス・スタジオでレコーディングを行ない、2025年初頭にベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第29番《ハンマークラヴィーア》」を含む第1弾アルバムがリリースされる予定。

辻井は、「子どもの頃から世界の素晴らしいアーティストの録音をDGで聴いて育った。今回の専属契約はひじょうに光栄であり、責任も感じる。《ハンマークラヴィーア》は大曲であり難曲だが、歴史に残るアルバムにしたい。昔から世界で活躍したいという夢があったので、そのスタートに立てたと感じている」と喜びを語った。

今年はヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール優勝から15年の節目にもあたり、自身の音楽の変化について聞かれた辻井は、「20代のころは若々しくて勢いのある演奏をしていた。30代後半になった今は、勢いだけでなく、音色の使い分けなど、表現力が徐々についてきて、音楽に深みが出てきたと思う」と応じた。

リスト《愛の夢第3番》《ラ・カンパネッラ》の演奏を披露し、会場から大きな喝さいを浴びた辻井。すでに来年まで欧米や韓国、中国での公演予定が詰まっており、今回の専属契約によって国際的キャリアがさらに飛躍を遂げることになるだろう。

なお会見の席では、ステージプラスのカラヤンに関する新規プロジェクトについても発表があった。

カラヤンが自身のレパートリーを映像化するために設立したテレモンディアル社のカタログを独占配信するとともに、ユニテルの映像の大部分も5月から一挙に公開される。また、ドイツ・グラモフォンとデッカのすべての録音も、タイトル情報(メタデータ)の日本語訳とともに、4月末から25回にわけて順次公開される。

CDの開発に寄与し、音楽映像作品も制作するなど、「自らの芸術的業績を後世に残すために最新のテクノロジーをいち早く取り入れたカラヤンは、このプロジェクトを大いに支持したに違いない」というトラウトマン氏。次々と注目企画を打ち出すステージプラスの今後からも目が離せない。

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