レポート
2020.11.30
特集「チャレンジ!」

ピアノとは遠ざかっていたアラフォーが仕事仲間と連弾にチャレンジしてみた。

久しくピアノを弾いていない大人2人が、オンラインで開催される「れんだんカーニバル特別編」への動画投稿を目指して、ピアノ連弾にチャレンジしました。

連弾したアラフォーたち
本間ちひろ
連弾したアラフォーたち
本間ちひろ 絵本作家・イラストレーター

1978年、神奈川に生まれる。東京学芸大学大学院修了。2004年、『詩画集いいねこだった』(書肆楽々)で第37回日本児童文学者協会新人賞。作品には絵本『ねこくん こん...

和田響子
和田響子 ONTOMO編集長

埼玉県出身。DTPや自転車の専門誌の編集部を経て、音楽之友社に入社。中学校から20代まで吹奏楽団やブリティッシュ・ブラスのバンドでトランペットやコルネットを演奏。川越...

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きっかけは、音楽之友社主催の「れんだんカーニバル特別編」でした。

楽譜『連弾バイブル』の中から曲を選んで、YouTubeに動画を投稿すると、作曲者の春畑セロリさんとデュエットゥのおふたりが講評をくださるとのこと。これは、モチベーションにつながります。

詳しくはこちら▼

作曲家の春畑セロリさんとデュエットゥのおふたりにアドバイスをいただきました♪

作曲家の春畑セロリさんより、ピアノから離れていたアラフォーへの助言

「楽譜『連弾バイブル』は、ドリルみたいな一冊。連弾のおもしろさ、難しさを一つひとつこなしていくように作っていて、わなが仕掛けてあます。それがどこにあるかな、と楽譜をよく見て読みとってみてください。でも、曲はチャーミングに仕上げました。

久しぶりに弾くピアノ演奏者は、大変!  連弾は、自分で弾く、出てきた音を聴く、ブレスを感じて合わせるといったことを、いっぺんにしなければいけません。ひとりで弾けているレベルよりも、やさしい曲で合わせてみて、一緒に弾く人と、ぜひディスカッションしてほしいですね」

 

デュエットゥのおふたりより、子どもたちと挑戦する方への助言

「お子さんと一緒にペアで演奏したり、子どもたち同士でペアになるときは、『もっと弾いて』より『もっと聴かせて』と声がけしたほうがやる気がアップしますよ。ピアノを弾く前に、手拍子の楽譜が2曲あるので、まずはそれをゲーム感覚で楽しくやってみてください」

それならば、ONTOMO編集長・和田が、久しく向き合っていないピアノにチャレンジして、動画を投稿しよう!

さて、連弾にはお相手が必要。そして、ONTOMOの「チャレンジ!」特集だから、ピアノを普段から弾いている人では意味がないし、あまり知らない人と演奏するのも緊張するし……。

そこでお名前が挙がったのが、いつもONTOMOに素晴らしいイラストを描いてくださっている本間ちひろさん。昔、ピアノ習っていたと言っていたし、気心は知れている。

かくして、本間・和田デュオが誕生することになったのです。

乗り越える——子ども時代のちょっと苦い思い出

文:本間ちひろ

「あたしのこと、好きだったんすか♡」と、つぶやいてしまった。ONTOMOの編集長の和田さんから、突然「連弾しませんか?」と誘われたから。それ、愛の告白より嬉しいかも!

お引き受けメールを送信して、落ち着いたら、その無謀さがわかってきた。私、ピアノ持っていない。しかも、弾けない。

困っていたら、ちょうど友人が鍵盤ハーモニカをくれた。これで指使いを練習できる。そしてときどきピアノスタジオを借りれば、どうにかなるかな?

目標は、演奏動画を音楽之友社主催の「れんだんカーニバル」に応募すること。Zoomで打ち合わせして、課題曲の楽譜『連弾バイブル』(春畑セロリ・作曲)から、私は「風とふうりん」、和田さんはボサノヴァふうの「またあ・し・た」を選ぶ。

「名前は、デュオBBとかどうです?」
「ん?」
「晩酌ババア、略して」
「OK、決まり!」

その日のうちに、和田さんから2ndパートを弾いた動画が送られてきたので、さっそくピアノスタジオへ。

楽譜にドレミをふっていたら、子どもの頃のことを思い出した。3歳で始めて8歳でやめた私は、どうして楽譜通りに弾かないといけないのかがわからなかった。あと、右と左がわからなかった。「じゃあ右手で」と先生に言われると、いつも困った。そして、やめたことも申し訳なかったり。いろいろ思い出したら、泣いてしまった。出戻りピアニストの一番の仕事は、過去と向き合うことかも。

弾きはじめる——初めて言えたありがとう

ピアノスタジオで弾いたら、記号の意味がわからないことに気づく。pp(ピアニッシモ)は、p(ピアノ)よりpなのか? pよりpじゃないのか? ネットで調べて、楽譜に書き込んだ。

本間さん、譜読み中の写真を共有。楽譜にいろいろと書き込みしています。

楽譜の編集者の友人に、練習している動画を見せたら、

「ちひろたん、そこは、タタタじゃなくて、タタタンだよ」

なるほど、確かに一本線がある。でも、

「美しい演奏を聴かせてもらって、朝からいい気持ちになりました。ありがとう! 楽譜通りじゃなくても、いい音だったら、いい演奏だよ」と、褒めてくれた。

それで、母に電話して自慢した。そして、はじめて言えた。

「音がいいっていわれた。ピアノ、やめちゃったけど、習って良かったかも。ありがと!」

長年のつかえがとれた。

本間さんの一人練習の動画(ピアノ特別協力:神保町のこどもの本専門店ブックハウスカフェ)

会って、合わせてみる——緊張で失敗の連続!

3週間後、合わせてみることになった。弾けなくて、がっかりさせたらどうしよう、と思っていたら、音楽之友社に向かう途中、和田編集長からメールが来た。

「楽譜持ってきてます? 忘れちゃったので一緒に見せてください!」練習不足を気にしている自分が、どうでもよくなった。

そして、やっぱり、あんまりうまく弾けなかった。最初だし、しょうがない。「次の本番撮影までリモートで練習できるように、もう1回自分のパートの動画を撮って送りますね!」と和田編集長がいった。

「ギリギリですみません! 動画送ります!」
2回目のリアル合わせにして本番撮影の日の朝、和田編集長から動画が届いた。

「私も、いつも原稿ギリギリだからいいよ。いつもごめんね」と返信。ダメな2人。

撮影の前に、神保町の児童書専門店ブックハウスカフェによって、グランドピアノを弾かせてもらう。動画に合わせると、カラオケみたいで楽しい。今まで何度もこのピアノを見たのに、触ったのは今日が初めて。私、このピアノ好き。

音楽之友社の神楽坂へ移動。ジュースとお菓子をもって、いざ、会議室(ピアノがある)へ。和田さんが、撮影の準備をしていた。そこへ、おフランス帰りのフルート奏者、ONTOMO編集部の川上さんが、顔を出した。

急に緊張してきた。さっきまで弾けたのに、つっかかる。

「楽譜通りであることより、大切なことがあります!」

ムッシュ川上、いいこと言う。でも、失敗&撮り直しを続けて、わけがわからなくなったので、休憩タイム。ムッシュ川上が、「本間さんが弾くのに合わせて、適当に弾くから、ちょっと、リラックスして弾いてみませんか」と誘ってくれた。一緒にのんきな気持ちで弾いてみたら、自分が表現したいモノに気がついた。

音をイメージすること、表したいもののこと

私は、手話を勉強しているのだけれど、習い始めたころ、鏡を見ながら手を動かすと、どや顔なのが、気になった。普段の顔で手を動かせるようになるまで、練習したことがある。

きっと音にも顔がある。勝ち気な音は出したくないなあ。やさしくリンと響く音。そんな音が、出したい。

そう思って弾いていたら、私、結構、自分のピアノの音、好き。って思えるようになった。自己満足だけどね。

「風とふうりん」、最初は、森や海の心地いい風を想像した。でも、それは私の風と風鈴ではない気がしてきた。私の風鈴は……新宿の路地のちいさな居酒屋の軒先の風鈴、かなぁ。ビル風やつむじ風。排気ガスの風に吹かれて。そのなかでふんばって生きている私たち。そしてときどき、一杯飲んで、宵のそよ風に吹かれて……。和田さんに話したら、

「なるほど、それ、まさにデュオBBの世界ですね」

「じゃあ、〈また、あ・し・た〉は、飲み会の終わりに、楽しかったけど、明日も仕事か~、また、あ・し・た! ってイメージでどう?」

新たなイメージがわいたので、動画完成まではいかなかったけれど、良しとして。改めて合わせることになった。

でも、まずは一緒に、晩酌しに行こっか。

「おとの星」〜感想にかえて 絵・詩:ほんまちひろ

 
子ども用の曲集の
最初のページからためしてみることにしたんだけど
すらすらとなんてひけなくて
でもたのしくてしょうがない
散歩のときも
音のことを考える
落ち葉のあいだに
銀の星を探しながら
鳥がピッピとなくように
しぜんのなかに あればいいな
わたしという人が
ピアノを弾くということが
連弾した感想  ONTOMO和田

連弾をするのは、ピアノをかじったばかりの息子たちと一緒に弾いた発表会以来のこと。そのときは、ごく簡単な曲なのに、自分が間違えたら大変! と妙な緊張感がありましたが、やっぱり、身体を動かして演奏するって気持ちいい!

今回は同世代の本間ちひろさん。しかも、動画投稿なので、お気楽にお誘いしてみました。

 

本間さんは絵描きさん、アーティスト。

会社員で元吹奏楽部で組織の歯車で、なんなら部長やら学級委員やら学生指揮やらの任務で「男子、ちゃんと並んで〜」とえらそーに前に立って指示していた私のコンプレックスは、頭がカチコチということ。

譜面は読めるけど、「大人の演奏って難しいよな〜棒弾きになっちゃうよな〜」というところの発想を、本間さんに委ねようとしていましたが……想定以上に自由人でした(笑)。本番の撮影をしようとした日の終わる頃にエンジンがかかり、まさに「晩酌前のアラフォー」さながらの崩壊具合。

でも、この方はやはり「つくる人」。自分ならではの「なにか」をつかむことを諦めないのですね。曲から独自にイメージしたところから、どうやって音にしていくのか、私は甚だ困惑しておりますが、最終的には春畑セロリさんやデュエットゥさんの講評を楽しみにしたいと思います。

お耳汚しではございますが、チャレンジした証拠の動画でございます↓↓↓

行き詰まりを感じた練習ラストの「風とふうりん」(春畑セロリ作曲)。入りから崩れていくという。

完全に打ち上げしたいモードになっている「またあ・し・た」(春畑セロリ作曲)

練習や、会話の中で、自分たちが表現したい世界を見つけた2人。

動画の締め切りは2月末。2人の演奏は、ここからどう発展し、どんな音色を奏でるのでしょうか?

みなさんも、怖がらずに連弾にチャレンジしてみてくださいね。

イベント情報
れんだんカーニバル特別編

『連弾バイブル』の中から、お好きな曲を演奏、録画し、以下フォームよりお送りください。応募された動画は、著者の春畑セロリさん、デュエットゥからのアドバイス、感想などを加えて、音楽之友社からYouTubeにアップします。

応募の流れ

楽譜『連弾バイブル』(音楽之友社刊)の中から、お好きな曲を演奏、録画してください。曲として成り立っていれば、リモートでの演奏、多重録画など方法は問いません。

②以下のフォームより必要事項をご記入の上、動画をお送りください。音楽之友社を通して、先生にご覧いただきます。

https://forms.gle/WHqa1ZBMHxQzNTFm8

なお、応募にはGoogleアカウントのログインが必要です。

※ご応募内容について、ご連絡差し上げる場合がございます。メールの受信制限をされている方は、「ontomo.shuppan.yt@gmail.com」からのメールを受信できるよう設定をお願い申し上げます。

③応募していただいた動画に春畑セロリさんまたはデュエットゥからのメッセージを加えたものを、YouTube「れんだんカーニバルチャンネル」に投稿いたします。

YouTube「れんだんカーニバルチャンネル」

このような形でのYouTubeへのアップを予定しています

連弾したアラフォーたち
本間ちひろ
連弾したアラフォーたち
本間ちひろ 絵本作家・イラストレーター

1978年、神奈川に生まれる。東京学芸大学大学院修了。2004年、『詩画集いいねこだった』(書肆楽々)で第37回日本児童文学者協会新人賞。作品には絵本『ねこくん こん...

和田響子
和田響子 ONTOMO編集長

埼玉県出身。DTPや自転車の専門誌の編集部を経て、音楽之友社に入社。中学校から20代まで吹奏楽団やブリティッシュ・ブラスのバンドでトランペットやコルネットを演奏。川越...

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