作曲や音響を学ぶ洗足学園音楽大学の学生たちが小型スピーカーを工作!音の感想は?
オーディオの音をもっとも左右するのは、音の出口であるスピーカー。素材や方式など、音を決める要素のバリエーションは市販でも数あれど、こだわる人の行き着くところは自作! ここでは、スピーカー工作の手がかりとなるべく毎年発刊されている音楽之友社のムックの付録キットを、洗足学園音楽大学の授業で使った様子をレポート。講師は、ONTOMOのオーディオ関連記事でおなじみ、オーディオ・アクティビストの生形三郎さんだ。学生の施した塗装や、音を聴いた感想はいかに!?
オーディオ・アクティビスト(音楽家/録音エンジニア/オーディオ評論家)。東京都世田谷区出身。昭和音大作曲科を首席卒業、東京藝術大学大学院修了。洗足学園音楽大学音楽・音...
ムックの付録で小型スピーカーが作れる!
今年も、音楽之友社から毎年恒例のスピーカー工作のムック本が発売されました。一昨年、筆者の設計したスピーカー・キットを、クラシック音楽ファシリテーターの飯田有抄さんが作った記事「演奏の意図まで聴きとりたい! 6畳間仕事人・飯田有抄のデスクトップ環境改善奮闘記」をご覧になった方も多いかと思います。
今回のスピーカーは、さらに小型化が追求されながらも、より豊かな再生音が楽しめる設計となっています。
最近は、このご時世もあり在宅でお仕事をされる方も多くいらっしゃるかと思います。このスピーカーは、きっと、そんな“おうち時間”を豊かにしてくれるはずです。
作曲や音響を専門に学ぶ学生たちが、工作に挑戦!
さっそく、私が講師を務めている洗足学園音楽大学の学生さんに、授業でこのスピーカーを作っていただきました。挑戦してもらったのは、作曲家や録音/音響エンジニアなどを数多く輩出する音楽・音響デザインコースの3年生、4年生です。
この授業は、「ワイヤリング実習・研究」というもので、音楽コンテンツ制作やエンジニアリングに関する音響技術的な見識を深めるために、電気の基礎知識の習得にはじまり、オーディオケーブルの製作、そして、スピーカーなどエレクトロニクスの製作を行なう授業です。今年度後期は、スピーカーとそれを鳴らすアンプ作りを実習しています。
授業はオンラインで進めていたので、実際の組み立てなどは各自がそれぞれ自宅で作ることになりましたが、初めての作業でも比較的スムーズに組み立てられたようです。
スピーカーは、最後の仕上げも重要ですが、みなさん、着色にもこだわって作って綺麗に仕上げてくれました。
完成後は、洗足学園音楽大学にて試聴会を実施。丁寧な仕上げが効いているのか、良い音で鳴っていて驚きました。やはり、私が組み立てた無塗装の箱よりも素敵な音がしています。
洗足学園音楽大学の学生たちが工作したスピーカーと感想
左:「ヘッドフォンに比べてサラウンドな音の広がりが楽しめました」とジョさん。
左:宇賀本さんも「普段はイヤフォンで音楽を聴くことが多いけど、それに比べてスピーカー再生は音の広がりや距離感が心地よかった」とコメント。
左:「ベースの鳴りが良くて、高音もよく聞えてヴォーカルの抜けが良かった」と語る清水さん。
左:「もう少し低音が鳴ってほしいかな」と語る和氣さんが作ったキットは、ひとりだけ異なるモデルで、ひと回り小型のスキャンスピーク製5cmスピーカーユニットが付いた「ダブルバスレフスピーカー・キット」。2013年刊行のムック付録キットをもとにしたONTOMO Shopの人気商品で、価格は3,500円+税。
授業では現在、このスピーカーを鳴らすためのアンプ作りに取り組んでいます。このように、スピーカーもアンプも、実は、手軽に作ってしまうことができます。
最近は、なかなかスピーカーで音楽を楽しむ機会も減ってしまいましたが、クラシック音楽では、演奏されるホール自体が楽器と言われるように、音楽再生も、やはり部屋の空気を震わせて楽しむと、その感動はひとしおです。皆さんも、ぜひスピーカー作りに挑戦してみてください!
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