ウィーン国立歌劇場が9年ぶりに来日!
ウィーン国立歌劇場が9年ぶりに来日し、東京文化会館でモーツァルト《フィガロの結婚》(10月5~12日)、R.シュトラウス《ばらの騎士》(10月20~26日)を上演。開幕直前の10月2日、出演者が登壇する記者会見が行なわれた。
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劇場を代表する2作品を上演
今回の演目は、ウィーンの雰囲気を感じることができる2作品。欧州で引っ張りだこの演出家バリー・コスキーによる新しい《フィガロの結婚》と、数々のプロダクションを作り出したオットー・シェンク演出の《ばらの騎士》。この二人の演出には共通項があるとウィーン国立歌劇場総裁のボクダン・ロシチッチはいう。
「お二人とも劇場に対する深い愛情を持った演出家で、非常に鋭い視線を持ち、人間の魂やユーモアなどすべてのものに対する洞察力に優れたかたです。それらはとても近い存在で、古い、新しい、保守的、急進的というものはなく、良い劇場作品であるか、悪しき劇場作品であるかのみ。私は、新しいものと伝統、二つのバランスを絶妙に保つことが大切だと思っています」
指揮者のベルトラン・ド・ビリーは、無人島に3作品を持っていくなら《フィガロの結婚》を選ぶほどお気に入りの作品。
「政治色があまりにも強く、パリで大スキャンダルとなった原作。ウィーンで上演する際、一部カットしなくてはならなかったが、モーツァルトは本質的なことを音楽に入れました。つまり、表面的な音楽だけではなく、その下に流れるものが非常に深いのです。独裁者の権力への皮肉だけではなく、現代に対する痛切な批判もふくまれています。フランス人としてウィーン国立歌劇場で指揮することは非常に意味があると思っています」
主要キャストの日本公演にかける思い
今回の会見には、《フィガロの結婚》の出演者が登壇。公演を前にそれぞれ抱負を語った。
*当初予定されていた配役から変更があり、アルマヴィーヴァ伯爵役はダヴィデ・ルチアーノが、スザンナ役は《ばらの騎士》でゾフィー役も務めるカタリナ・コンラディが演じる。
「伯爵夫人は、多様性をもった性格です。高貴さとエレガンスにあふれ、とても正直な感情の発露をするこの役に、モーツァルトは最も美しい音楽を与えました。演技と音楽のタイミングを熟知したコスキーの演出は、全体が一体になり特別な空間を創り上げます。この素敵な作品を、みなさまに楽しんでいただければと思っています」ハンナ=エリザベット・ミュラー(アルマヴィーヴァ伯爵夫人)
「スザンナは約200年前の人物とは思えないほど現代的で、すべての登場人物に影響を与えてしまいます。ウィーン国立歌劇場というハイレベルな環境で歌えることを嬉しく思っています」カタリナ・コンラディ(スザンナ)
「ジェットコースターに乗るような感情の起伏を味わうことができるフィガロ役。この大きな落差は非常にやりがいがあり、緊張感を維持することの難しさを感じます。マエストロとも音楽的なレベルを保つため多くを話し、高い水準の演目になるだろうと楽しみにしています」リッカルド・ファッシ(フィガロ役)
「ケルビーノという役柄は常にカオスをもたらす存在ですが、表層的ではない深い意味がふくまれていることがわかると思います。オーストリア出身の私にとって故郷のようなこの歌劇場と一緒に日本にうかがえたことは大変光栄です」パトリツィア・ノルツ(ケルビーノ役)
日時:10月5日14時、10月7日15時、10月9日18時、10月11日14時、10月12日14時
会場:東京文化会館
演出:バリー・コスキー
出演:ベルトラン・ド・ビリー(指揮)、ダヴィデ・ルチアーノ(アルマヴィーヴァ伯爵)、ハンナ=エリザベット・ミュラー(アルマヴィーヴァ伯爵夫人)、カタリナ・コンラディ(スザンナ)、リッカルド・ファッシ(フィガロ)、パトリツィア・ノルツ(ケルビーノ)、他
問合せ:NBSチケットセンター03-3791-8888
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