2023.05.31
最終回 ヴェルディ《仮面舞踏会》〜“マスク”を被った悲劇
ストーリー上は「実は善玉だった」ということになっているのだが、教祖然としたふるまいに共感を覚えるのは難しい。男たちに与える試練もあまり意味のあるものとは思えないし、女たちをあからさまに蔑視している点でも現代人には抵抗がある。タミーノとパパゲーノはまんまと教団の策略に乗ってしまっただけなのかもしれない。
善と悪、昼と夜、光と影、親と子、勇者と怠け者。《魔笛》はいろいろな二元論で組み立てられている。一方、物事は善と悪では割り切れないもの。ザラストロをどう見るかで、《魔笛》はまったくちがった物語に見えてくる。
ザラストロによる合唱つきアリア「おお、イシスとオシリスの神よ」