
——最後に、これから挑戦したいことや、将来への抱負をお願いします。
塩田 僕は、オペラもミュージカルも、一番大事なことは、人々に「劇場に行く習慣」をどう根づかせるかだと思うんです。ヨーロッパでは小さな町でも一つは劇場があって、市民に愛されている。一方、日本では「劇場に行く」文化は、そこまで浸透していない。以前、東京のビジネスマンに、会社の近くにある劇場の名前を聞いたところ、存在さえ知らない人も多かったんです。
田代 たしかに、現実はそうかもしれません。
塩田 だから今後は、“劇場の伝道師”として活動し、舞台の魅力を伝えていきたいですね。「2〜3時間の公演を観るだけで、人生がもっと豊かになる」ということを、ワークショップや公演を通して、日本全国に広めたいんです。観劇人口が増えれば、そこから俳優や指揮者になりたい人が自然に生まれます。最終的には、そんな人たちが活躍できる環境を作りたいです。

田代 僕は、クラシックとのコラボに取り組んでいきます。去年は、二期会のバリトン、今井俊輔さんとコンサートをしたのですが、オペラ未経験のミュージカルファンが“ヴェルディの黒い声”に感動して、涙を流してくれて。逆に、今井さんが僕の歌唱を聴いて、「芝居のエネルギーが強くて驚いた」と、感想をくれたり。
今年出演する『アニオー姫』も、オペラ版とミュージカル版を、同じベトナム人の作曲家が手がける試み。2つの世界が行き来できる場になりそうです。
塩田 そういう企画は2つのジャンルのファンにとって、ワクワクするね!
田代 はい。そもそも、『ミス・サイゴン』は《蝶々夫人》、『レント』は《ラ・ボエーム》に着想を得た作品です。今後も、オペラ版とミュージカル版を、“セット”で楽しめる企画があれば面白いなと。
また、海外では、オペラ歌手がブロードウェイなどのミュージカルに出演したり、逆にブロードウェイスターのケリー・オハラさんが、オペレッタ《メリー・ウィドウ》に出演したりもしています。日本でも、ミュージカルのトップスターがオペラに挑戦したり、オペラ歌手がミュージカルに出演するなど、キャスティングする側もジャンルに捉われずに自由に冒険してくれたら嬉しいですね。もちろん、そのためにはそれぞれのジャンルに合った技術の向上は必須ですね!

塩田 「ミュージカルとオペラをつなげる」——万里生くんの長年の思いが達成したら、僕も嬉しい。
田代 今日は、たくさんのお話をさせていただき、ありがとうございます。「生まれ変わったら指揮者になりたい」という思いを込めて、塩田さんにご登場いただきました。また、公演でお会いしましょう!

日程: 2026年9月12日(土)〜9月27日(日)
会場: KAAT神奈川芸術劇場
出演: 田代万里生、小野田龍之介(Wキャスト)、音くり寿、ドー・ファン・ザ・ハン(Wキャスト)、今井清隆、吉沢梨絵、井料瑠美、栗原英雄、戸井勝海、ほか
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