交響曲第2番は、中世以降発展したグレゴリオ聖歌にある《怒りの日(ディエス・イレ)》の旋律が執拗に引用されている点が大きな特徴だ。「怒りの日」とは、キリスト教における「終末の日」を示す。世界が終わる日に、これまで生きてきた人間が地上に復活させられ、進むべきは天国か地獄か、その審判が下されるのだ。

VIVANT』に登場した交響曲第2番第1楽章の冒頭も、《怒りの日(ディエス・イレ)》が形を変えて引用されている。不正を働いた山本が裁きを受ける瞬間にマッチしているといえる。

誤送金事件に関わっていた山本(左)を追い詰める乃木 ©️TBS

シーンにぴったりと合うだけでなく、ストーリーに奥行きをもたせるクラシック音楽。新たな視点から物語を楽しむのも乙だろう。今後、また新しいクラシック音楽が登場することにも期待したい。

番組情報
TBS系日曜劇場『VIVANT』

放送:毎週日曜21:00~21:54

製作著作:TBS

原作・演出:福澤克雄

プロデュース:飯田和孝、大形美佑葵、橋爪佳織

演出:宮崎陽平、加藤亜季子

脚本:八津弘幸、李正美、宮本勇人、山本奈奈

音楽:千住明

出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、松坂桃李、役所広司、二宮和也 ほか

桒田萌
桒田萌 音楽ライター

1997年大阪生まれの編集者/ライター。 夕陽丘高校音楽科ピアノ専攻、京都市立芸術大学音楽学専攻を卒業。在学中にクラシック音楽ジャンルで取材・執筆を開始。現在は企業オ...