日本全国の学校や合唱団で歌われ続けている合唱曲《COSMOS》や《地球星歌》。
旅の体験や星空の影響を受けた作者のミマスさんが自身の想いをこめた歌です。
そのメッセージが、十数年の時をかけて歌とともに広まっています。
僕は子どもの頃から天文や宇宙が大好きで、これまで星空をテーマにした歌を多く作ってきました。代表曲の一つが《COSMOS》。タイトルの意味は「宇宙」です。この曲は、僕が長い年月をとおして星空を見上げ、その豊かな時間のなかで感じとったことを一つの歌に集約した作品です。
私たち人間の誰もが、広大な宇宙の片隅で地球という星に命を授かり、今という一瞬を生きています。これは本当に奇跡的なことです。その不思議さに改めて思いを馳せてみることで、私たちは大切な何かを感じます。星空を見上げ、宇宙に思いを馳せ、自分という存在の貴さや生きることの素晴らしさを受けとめよう。そして、私たちもあの星々のように、限られた時間のなかで自分を輝かせて生きよう、というのがこの歌のメッセージです。
この歌はもともと、僕自身が参加する音楽ユニット「アクアマリン」の多くのオリジナル曲の中の一つでした。コンサートを見にきてくれた小学校の先生が「この歌を児童たちと歌いたい」と思ってくださったのがきっかけで、富澤裕さんの編曲により2000年に合唱曲となり、広く全国の小中学校などで歌われるようになったのです。
ミマス
《地球星歌》もまた、多くの学校や合唱団で歌っていただいている合唱曲です。歌詞の内容は、私たち一人ひとりの生活が世界中の人々と繋がっていて、誰もが世界をより良く変えてゆけるというもの。メロディや和音はとてもシンプルですが、繰り返しながら徐々に想いが高まり広がってゆきます。
この歌は、実際に世界の国々を訪れる旅の体験から生まれました。僕は2007年に、半年間の世界一周旅行に出かけました。新婚旅行と称して南米・アフリカ・ヨーロッパ各国をまわり、地球の絶景の数々を目の当たりにしたのです。また、慣れない外国で日々の宿を探したり、乗り物のキップを買ったりと、すべて自力で長い旅を進めてゆくなかには多く出会いがありました。旅先で出会った人々への感謝、これから出会う人たちや、同じ地球を分かちあう全ての人々への想い。そうしたものが混ざり合い、一つになったのが《地球星歌》という楽曲です。
このオントモ・ヴィレッジ連載「歌と旅と星空と」では今後、その《地球星歌》の旅で僕が体験したエピソードを、多くの写真とともに紹介してゆきます。おたのしみに!
ミマス
第1回目は南米大陸を旅した時の風景をお届けします。赤道直下のエクアドルから大陸最南端のパタゴニアまで、アンデス山脈に沿って旅しました。天にそびえる岩峰や氷河など、神秘的な風景が広がる世界を案内します。
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第2回はアフリカです。多くの野生動物が暮らすサバンナではゾウの大群と出会いました。世界最大級のビクトリア滝では、舞い上がる水しぶきと月光が作る『夜の虹』を見上げました。雄大な風景の数々をお届けします。
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第3回はヨーロッパの旅をお届けします。レンタカーで周ったスペイン・ポルトガルはとくに印象的でした。深遠な歴史と文化が溶けこんだ地中海やイベリア半島の美しい風景が、まぶしい太陽の下で輝いていました。
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世の中の多くの人が、作曲をすることは『何も無いところに何かを生み出すこと』だと思っています。僕自身もよく、そんなことができるなんてスゴイですね、なんて言われます。でも実は、そうではありません。心の中にある想いや、アタマの中にある思惟思考といった "目に見えないもの" を、具体的な形に変換しているというだけなのです。シェフや料理人の人たちだって、魔法のように無から料理を作り出しているのではありませんね。食材を料理に変えるということをやっているのです。同じように作曲だって、材料と作品のあいだで"質量保存の法則"は成立しています。このことは、あらゆる創作活動について広く言えることではないでしょうか。
これから半年間(6回)の連載では、「想いが曲になるまで」と題して、一つの歌ができるまでの過程にスポットライトをあてた内容をつづってゆきます。「歌はどうやってできるのか」。多くの方に興味を持っていただける内容になるのではないかと思います。僕の代表曲である《COSMOS》や《地球星歌》についてはこれまで非常に詳細に語っていますので、そのほかの合唱曲についても書いてゆきます。先日発売になった僕の著書「君も星だよ」の中でまったく触れていない、新しい合唱曲についても紹介していく予定です。
ミマス
《いつかこの海をこえて》は、東日本大震災で大きな被害をうけた岩手県・釜石市立釜石東中学校の生徒の皆さんと一緒に作った歌。みんなの切実な想いが一つの歌になる過程や、作者として歌にこめた願いについてお話しします。
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《一つの明かりで》は、震災の報道に心を痛めた21人の小中学生の想いが歌になったもの。山形県の山あいにある小さな学校で生まれた歌が、合唱曲となり、日本各地で広く歌われるようになりました。その「小さな奇跡」の物語をつづります。
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旅先で見た風景が歌になることがあります。2016年夏に合唱曲となったこの曲《エスペランサ》もそのひとつ。作曲者の心の中で、さまざまな風景が一つの歌に昇華されてゆくプロセスを詳細に解説してみたいと思います。
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《つないで歌おう》は埼玉県の少年少女合唱団のメンバーたちの想いが歌になったもの。団歌として制作された歌が評判となり、合唱曲として世に広まりつつあります。「歌が好き」という純粋な気持ちが、多くの人の共感と感動を呼んでいます。
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岩手県花巻市にある若葉小学校の児童たちと一緒に作った歌《心のなかの広い宇宙を》。じつはこの小学校、あの有名な童話作家・宮沢賢治と深い関わりのあるユニークな学校なのです。そんな児童の皆さんとの歌作りについてお話します。
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合唱曲《明日の空へ》について。心に夢や憧れを抱き、それに向かって歩む。その過程のなかで私たちは前へ進み、より高い場所へ登り、素晴らしい景色を見ることができます。歌に込めたポジティブなメッセージについてお話しします。
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ミマスさんはいったいどんな眼で世界を捉え、どんな思考回路でそれを音楽に紡いでいるのだろう。
あるいは、その世界観はどんな経験や知識をもとにして築かれたのだろう。
そして、プライベートでは二児の父親として、自身の子どもにはどんなことを語るのだろう……
それを知りたくて、ミマスさんの故郷の神奈川県茅ケ崎市を訪ねました。
取材・文=小島 綾野
前編では『ミマスさんはどうやって「ミマス」さんになったのだろう?』という興味をもとに、ミマスさんのプライベートや世界感に迫りました。音楽との出会い、旅の魅力、自然とそのルールの美しさなど、ミマスさんが大切にしてるものを通じ、その生き方に触れます。
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後編はさらに踏み込み、音楽観、家族や子育て観、そして学びのスタイルなどに迫りました。表現の源泉となる「想い」や「心」をどのようにアウトプットしていくのか。そして、子どもの好奇心をどのように育んでいくのか。「ミマス・ワールド」の魅力を探ります。
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2017年夏、ファン待望の新たな合唱曲集が、名コンビの編曲者・富澤裕氏による
「富澤裕コレクション」シリーズから出版されます。
表題曲は「つないで歌おう」。今回、その中で新たに編曲された「風のことば」と
「まるい地球をひとまわり」について、ミマスさんに語っていただきました。
この『オントモ・ヴィレッジ』連載の中であなたの合唱団の動画を発表しませんか?
ミマスの合唱曲を歌ってyoutubeにアップしたら、
右のアイコンをクリックして動画のURLを送れば完了!
『オントモ・ヴィレッジ』で確認後、2週間ほどで動画が掲載されます。
すでにyoutubeにアップされている動画でも発表できます。
さあ、ミマスと一緒に世界中にあなたの歌を届けましょう。
COSMOS ※1番 (ミマス 作詞・作曲)
地球星歌~笑顔のために~ ※1番 (ミマス 作詞・作曲)
一つの明かりで ※1番 (ミマス 作詞・作曲)
いつかこの海を越えて ※1番 (ミマス 作詞・作曲)
※「夏の音楽指導セミナー2012」でのアクアマリンのライブ動画です。
Sachikoの澄みわたるボーカルと、ミマスの詞と曲を基盤とする音楽ユニット「アクアマリン」( http://aqumari.com/ )のメンバー。1998年6月結成。作詞作曲、キーボード、ギター担当。星空・宇宙・自然・旅などをテーマに、生命の大切さや生きることの素晴しさを歌う。天文やアウトドア系のイベント出演、プラネタリウムでのコンサート多数。文部省国立天文台後援のスターウィーク(毎年8月1〜7日)1999年のテーマソング《COSMOS》でメジャーデビュー。混声三部合唱の楽譜が発売され、全国の学校や合唱団で歌われている。
合唱曲になっている代表曲:『COSMOS』『地球星歌』『明日の空へ』『Voyager(ボイジャー)』『星降る里』『いつかこの海をこえて』『一つの明かりで』『心のなかの広い宇宙を』『つないで歌おう』『エスペランサ~希望〜』
5月27日生まれ。双子座A型。神奈川県茅ヶ崎市出身。茅ヶ崎市立西浜小学校、西浜中学校、茅ヶ崎北陵高校、法政大学文学部地理学科卒業。小学校5年生のとき理科の授業をきっかけに星や天文に興味をもち、平塚のプラネタリウムに毎週通って星座を覚える。そのときプラネタリウムのBGMとして流れていた美しいシンセサイザー音楽に魅かれ、人生で初めて音楽を好きになる。現在は神奈川県平塚市在住。
1996年10月からパーソナリティをつとめているラジオ番組「ミマスの星空音楽館」は、地元のラジオ局・FM湘南ナパサ(78.3MHz)で毎週日曜20:00〜21:00に放送中( http://www.jcbasimul.com/ )。
2001年から天文雑誌の月刊誌『星ナビ』(毎月5日発売 http://www.astroarts.co.jp/hoshinavi/ )で毎月コラムを連載している。
2016年8月8日、初のエッセイ『君も星だよ〜合唱曲《COSMOS》に込めたメッセージ〜』(音楽之友社)が発売。
「ミマス」という芸名は、土星の衛星の名前からいただきました。直径400kmほどの天体ですが、直径の3割にもおよぶ巨大なクレーターが表面にあり、大きな目玉のように見えます。この小さな天体に親しみを感じ、作曲を始めた高校生の頃からこの名前で活動しています。