2021.12.23
飯田有抄のフォトエッセイ「暮らしのスキマに」 File.91
氷のように美しいレコード盤から立ち上る、オラフソンの温かなピアノの音色
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
今年はレコードをよく聴きました。2020年はアメリカで、2021年にはイギリスで、CDよりもアナログ盤の売上高が上がった、ということです。
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便利なストリーミング音源も、解像度の高いハイレゾ音源もありますが、一番手のかかる“めんどくさい”レコード再生に人気が集まるというのは、どんな世相を表しているんでしょうか。
私個人としては、なんとなく音に深みがあるような気がして、そこにまず惹かれます。それとレコードを洗ったり、針を変えたり、いろいろ工夫すると、同じレコードでもどんどん音が変化していくのも面白いですね。デジタルにはない、アナログならではの「参加型」音楽鑑賞といいましょうか。
こちらの写真はもう20年くらい前に売られていた、おもちゃのレコードプレーヤー(ちゃんと音が鳴る!)と、小さいレコードを、昭和時代のぬいぐるみ「スピカ」に持たせた図(笑)。昔ありましたね、こういう赤いカラーレコード。
最近私が真剣にハマったレコードはというと、ヴィキングル・オラフソンが9月にリリースした、モーツァルトと同時代人の作品によるアルバムです。
レコードは「物を所有する」欲を満たしてくれるアイテムなので、見た目の美しいクリスタル・クリア盤でゲット。氷のように美しい音盤に針を落とすと、温かみあふれるオラフソンのピアノが聴こえてくるあの瞬間がたまりません。
1984年アイスランド生まれのピアニスト、ヴィキングル・オラフソン『モーツァルト&コンテンポラリーズ』
飯田有抄のフォトエッセイ「暮らしのスキマに」
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