読みもの
2022.01.20
飯田有抄のフォトエッセイ「暮らしのスキマに」 File.92

近づくと火傷する、スクリャービン晩年のピアノ曲

飯田有抄
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

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ええと、モップではございません。よぉくご覧ください。毛むくじゃらの猫の腹です。

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私は火が見えるストーヴが好きなので、冬はこちらのガスストーヴに頼りっきりなのですが、同じく全身全霊で頼っているのが、この寒がり長毛の猫であります。

猫があまりストーヴに近づきすぎると危ないので、よく見ていなければなりません。本人は「恐るるに足らず」と暖かいところへ、どんどん近づいてしまうので。火が怖くないのか。すっかり野性を失ってしまったな。

というわけで(?)、今日のリンク曲は「焔に向かって」アレクサンドル・スクリャービン(1872〜1915)晩年のピアノ曲です。猫の醸し出す雰囲気と微妙に合っている気がします。

神秘和音」と呼ばれる、スクリャービンが編み出した妖艶なハーモニーで構成された曲です。

音源は、スクリャービンを崇拝し、彼の娘と結婚したピアニスト、ウラディーミル・ソフロニツキーによるもの(3度結婚しており、2度目の奥さんが作曲家の娘エレナ)。

冷え込む朝や夜に、じんわり聴くといい感じです。

ソフロニツキーは、相当スクリャービンの音楽に心酔したようですが、確かに彼の作品というのはハマり込むと抜け出せなくなるような、不思議な魅力を湛えていますね。近づきすぎると火傷します。

アレクサンドル・スクリャービン(1872〜1915)
ロシアの作曲家、ピアニスト。モスクワ音楽院で学び、ピアノソナタや管弦楽曲などを作曲した。
飯田有抄
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

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