読みもの
2021.11.25
「音大ガイド」音大・音大卒業生関連の取材

音楽大学で学ぶコンピュータ音楽~学習内容から将来の職業まで

ポップスや映画音楽、劇伴制作の現場におけるコンピュータスキルは今や必須の時代となりました。「音大ガイド」では、音楽大学で学べるコンピュータ音楽の“いま”をお伝えします。よりくわしく知りたい方は、書籍『音楽大学・高校 学校案内2022』に掲載している実際の授業に潜入取材した特集記事も要チェック!

*記事は内容の更新を行っている場合もありますが、基本的には上記日付時点での情報となりますのでご注意ください。

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『音楽大学・学校案内』編集グループ
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『音楽大学・学校案内』編集グループ 音楽之友社

執筆:堀内亮(音楽大学講師)、荒木淑子(音楽ライター)、各編集グループスタッフ。音楽之友社および『音楽大学・学校案内』編集グループは、1958年に年度刊行書籍『音楽大...

取材・文:長井進之介

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コンピュータ音楽って難しくないの?

コンピュータ音楽専攻と聞いただけでハードルが高いと感じる方が多いかもしれません。もちろん、機械操作をはじめ覚えるべきこと、すべきことはたくさんあります。でも大丈夫です! 大学入学までにコンピュータ音楽の経験がなくても、基礎からしっかりと指導を受けることができます。

『音楽大学・高校 学校案内2022』で実際に取材に行った武蔵野音楽大学、東京音楽大学、昭和音楽大学、国立音楽大学、(掲載順)の4大学でコンピュータ音楽を学ぶ学生さんのほとんどが「入学するまでコンピュータ音楽の経験はありませんでした」と答えています。担当教員の先生からの指導はもちろんですが、学生同士が教え合うなど、助け合う様子も見られました。基本的にコンピュータ音楽を扱う学科やコースは少人数制を取っており、個人レッスンに近い感覚です。自分のペースで編曲や創作などに取り組むことが可能なので、不安を感じる必要はありません。むしろ自分や他の学生の作品をレコーディングしたりそのサポートや演奏をするなど、環境や人材が豊富な音大ならではの実践的な経験が可能なので、さまざまな可能性が広がっていくことでしょう。

どんなことが学べるの?

国立音楽大学の「コンピュータ音楽専修」では、創作や演奏をはじめ、映像や舞台芸術、インタラクティブメディア(※CGやWebメディアやSNS、ソーシャルゲームなど発信者と受信者が双方向で情報を伝えるメディア)などを取り入れた先進的な表現を学ぶことができます。

また、昭和音楽大学の「サウンドプロデュースコース」や東京音楽大学の「ミュージック・メディアコース」のようにコンピュータ音楽の創作や編曲、演奏をはじめ、音楽ビジネスやプロデュース方法を学ぶことで、ポピュラー音楽や劇伴に映画音楽といった商業音楽の分野で活躍する人材を育成しているところもあります。

さらに武蔵野音楽大学は、「音楽総合学科」の中の授業の一つとして「コンピュータ音楽実習」を開講しています。「オープン・メジャー・システム」(さまざまな学科の授業を横断的に学び、自分の進路を決定していくシステム)を採用しているため、作曲コースはもちろんですが、アートマネージメントや音楽学、音楽教育コースの学生もコンピュータ音楽を学ぶことができます。コンピュータ音楽を、別の目的のために“活かす”ということを意識して学ぶことが可能なのです。

このように、一口に「コンピュータ音楽を学ぶ」といってもさまざまな“学び方”があるので、自分の目標に合った大学選びが重要となります。入試は学校によっても違ってきますが、基本的には学科試験の他、音楽の基礎的な能力を確認する試験(演奏や楽典など)や面接などがあり、入試の段階でコンピュータを使った創作などはありません。

どんな先生が教えているの? 卒業後の進路は?

先生はクリエイターやプレイヤー、レコーディング・ディレクターなど、それぞれの分野の第一線でご活躍されている方ばかりです。移り変わっていく現場の“いま”や、現在の音楽シーンの状況を常にキャッチしているので、時代に合わせた音楽づくりのためのヒントはもちろん、学生さんそれぞれの目指すものをよく理解して、導いてくださるはず。さらに現場で気を付けるべきことやマナーなど、“卒業後”を見据えたアドバイスや指導があるので、将来につながるさまざまな学びがあります。

進路は音楽関係がほとんどですが、非常に多岐にわたっています。劇伴や映画音楽などの作曲家として活躍されている方、レコーディング・ディレクターになる方やスタジオミュージシャンなどをはじめ、楽器店や音楽系の出版社で活躍されている方も多数います。また幅広い学びの経験を活かし、教員になる方や海外でさらに研鑽を積まれる方も。ほかには、一般企業に就職する方もいらっしゃいます。一見、音大と一般企業とはあまり関係がないように見えるかもしれませんが、目標(作品の完成など)に向かって努力する姿勢、仲間や先生との協力関係によるチームワークの経験は、どんな分野でも大活躍するための重要なスキルとなります。

コンピュータ音楽を学べる学科やコースは、“作曲家になりたい”という方はもちろん、“自分にどんな才能があるのかよくわからないけれど、コンピュータを使って音楽を作ってみたい”という方、“いろいろな可能性を試したい”という方など、さまざまなことに興味のある方、自分のまだ見ぬ可能性を探したい方に大変おすすめです。コンピュータ音楽を学ぶことは、新しい知識や技術の習得はもちろん、多様な交友関係が生まれるので、まだ見ぬ皆さんの可能性や能力が一気に広がっていくかもしれません。

ナビゲーター
『音楽大学・学校案内』編集グループ
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『音楽大学・学校案内』編集グループ 音楽之友社

執筆:堀内亮(音楽大学講師)、荒木淑子(音楽ライター)、各編集グループスタッフ。音楽之友社および『音楽大学・学校案内』編集グループは、1958年に年度刊行書籍『音楽大...

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