読みもの
2021.11.25
編集部日記 Vol.11

故郷の伝統楽器・筑前琵琶の音色

鳥羽隆行
鳥羽隆行 音楽之友社 編集部Web企画編集室 オンラインショップ「ONTOMO Shop」担当

横浜生まれの福岡育ち。2016年より音楽之友社にてオンラインショップ担当として勤務。自分にとっては音楽の仕事が一番やっていて楽しいと思える。

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プロフィールにあるように、私は福岡育ちです。その福岡には津軽三味線や三線(さんしん)のように、地方独自に発展した和楽器が存在します。その名も、筑前琵琶。現在、この筑前琵琶を広める活動を精力的に行なっているひとりに、尾方蝶嘉さんという方がいらっしゃいます。最近ではSONY Play Station ゲーム「ゴーストオブツシマ  ディレクターズカット版 壹岐の譚 」にて琵琶の音色を演奏しています。

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尾方蝶嘉さんと私は小・中・高と同じ学校で、高校に至っては同じクラスメートでもありました。同級生がこうして地元で、しかも伝統楽器の奏者として活躍していることが嬉しく、またみなさんにもぜひ筑前琵琶という存在を知っていただきたいと思い、今回このコラムを借りて紹介させていただきました。

年末には浄瑠璃人形やJAZZとのコラボ企画の演奏会があるそうです。迫力ある筑前琵琶の音。興味のある方やお近くにお住まいの方は、ぜひこの機会に足を運んで聴いてみてください!

尾方蝶嘉『筑前琵琶演奏曲集 Lingering Strings』「額田王」、「入道死去」、「壇ノ浦」

筑前琵琶とは

一般的に知られる琵琶といえば、平家物語を語り継いだ琵琶法師が弾いていた、あのベベンっと鳴る楽器ですね。古くはペルシアの弦楽器バルバットに起源を持ち、西洋に持ち込まれた物はやがてリュートに発展し、のちのギターやマンドリンに。東洋に持ち込まれた物はシルクロードからはるばる中国を経由して、飛鳥時代末期〜奈良時代初期ごろ日本に伝わったと言われています。

 

その琵琶から派生・改良されたものが九州にはふたつ存在し、ひとつは薩摩琵琶、もうひとつは筑前琵琶と呼ばれています。

 

筑前琵琶は明治時代に福岡市で成立したそうです。薩摩琵琶とよく対比され、「薩摩琵琶は文字が浮かび、筑前琵琶は絵が見える」と比喩されるほど、表現が豊かな楽器なのですね。全国的な隆盛期には女性の演奏者が多く、 市井の人に愛好されたそうです。

 

筑前琵琶奏者 尾方蝶嘉

福岡県生まれ、福岡市在住。筑前琵琶保存会 師範、筑前琵琶嶺青流師範。筑前琵琶「嘉の会」主宰、日本琵琶楽協会会員。13歳より筑前琵琶を嶺旭蝶、青山旭子に師事。琵琶による現代邦楽を田原順子に師事。2014 NHK邦楽オーディション合格。2017年 ダンスフリンジフェスティバル観客賞受賞。2017年 天皇皇后両陛下ご臨席「第37回全国豊かな海づくり大会福岡大会」式典演奏参加。2018年 第55回琵琶楽コンクール2位入賞。2021年 第26回くまもと全国邦楽コンクール 優秀賞受賞、第57回日本琵琶楽コンクール第1位、文部科学大臣賞、NHK会長賞、日本琵琶楽協会賞、辻靖剛賞、鶴田錦史賞、石田琵琶店賞受賞。

公式ホームページ:https://biwa-cyouka.jimdo.com

ところで、凛々しく筑前琵琶を奏でるその姿のイメージ通り、昔から芸術的センスは突出していた尾方蝶嘉さん。高校の文化祭でクラスの出し物としてみんなで青を基調としたアート作品を作ったのですが、それを企画・提案・リードしていたのが彼女でした。文化祭の出し物なので評価されようなど微塵も思ってもいませんでしたが、たまたま訪れていた一般の方から「これを買いたい!」と申し出があったと聞いて、クラスのみんな全員で本当に驚いたのを覚えています。

その作品名は、「青の世界」。みんなかっこいいタイトルだと思っていたようですが、本当の(裏の)その意味は……

 ロックバンドBUCK-TICKの「青の世界」という曲のタイトルから拝借していますからーっ!!

BUCK-TICK「青の世界」

※昔からBUCK-TICK好きという側面もあることで有名でした。

鳥羽隆行
鳥羽隆行 音楽之友社 編集部Web企画編集室 オンラインショップ「ONTOMO Shop」担当

横浜生まれの福岡育ち。2016年より音楽之友社にてオンラインショップ担当として勤務。自分にとっては音楽の仕事が一番やっていて楽しいと思える。

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