読みもの
2020.12.10
藤木大地の大冒険 vol.11

「新しいアイデアを自分で考えて動く時期に来ている」女優・大和田美帆の思いと行動力

カウンターテナー歌手の藤木大地さんが、藤木さんと同様、“冒険するように生きる”ひとと対談し、エッセイを綴る連載。
第11回のゲストは、女優の大和田美帆さん。テレビや舞台で活躍する一方、子育て経験も生かして、ご自身の活動にも幅を広げています。藤木さんが企画した歌劇『400歳のカストラート』で共演したお二人が、宮崎での再演(12月13日)の前に対談しました。

冒険者
藤木大地
冒険者
藤木大地 カウンターテナー

2017年4月、オペラの殿堂・ウィーン国立歌劇場に鮮烈にデビュー。アリベルト・ライマンがウィーン国立歌劇場のために作曲し、2010年に世界初演された『メデア』ヘロルド...

写真:各務あゆみ
編集協力:長井進之介

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座右の銘

「あなたの座右の銘はなんですか?色紙に書いてください」という宿題が最近ありました。

四字熟語とかことわざとか、かっこいい言葉を中心に考えてみるのだけれど、そもそも「座右の銘」を携えて暮らしていないものだから、なかなか出てこない。

でも、公演の時に実感しているのは「一期一会」かな。

演者として舞台に立って、その日そこで経験していることと同じことは二度と起こらない。共演者も、スタッフさんも、そしてオーディエンスの皆さんも、ひとり残らず同じであるシチュエーションは起こり得ない。だから生は尊いわけで、今しかないその尊さを共有するために劇場がある。

私生活でも仕事でも心がけているのは「等身大」です。

20代の頃は、背伸びばかりしていた。髪を茶色にして、周りと自分を比べては凹んだり、謎の優越感に基づく妄想をひとりで楽しんだり、いきがったり。お酒の力を借りて大きいことを語ったり、愚痴ったり。目立ちたかったし、褒められたかった。うまくいかなかった。

30代になって、現実を理解し始めた。外との戦いが始まり、勝たないと先に進めないこともあった。「本来、音楽は優劣や勝敗を決めるものではない」という考えは、音楽にはそういう存在であって欲しいという願望であって、実際、音楽で生活していくには勝たなければならない試合があったし、そんな時には背伸びなんて通用しなかった。あげた踵を一旦おろして、自分のサイズでできることを考えた。同時に、やっぱり周りは気になっていた。競争していたから。

今年40歳になってから、世の中の変化に伴って色々と失う中で、競争心や欲も一緒になくなった。

たぶん、人間の掌には載せられる量が決まっていて、何かを得たら何かはこぼさなければならない。

新しく出会う人がいれば、離れていった人も、いなくなってしまった人もいる。恥ずかしい出来事や苦い思い出もたくさんある。振り返るたびに赤面しているし、後悔している。

でも、その全てが今の自分を形作っていて、それが僕なのです。

欲張ってなんでも掌に載せようとしたら、本当に大事なものを落としてしまうかもしれない。

「持てる量は決まっている」とその色紙には書きました。

2020年11月28日 藤木大地

対談:今月の冒険者 大和田美帆さん

大和田美帆さんと11月下旬、音楽之友社にて。
大和田美帆

女優として、数多くの舞台や映画、TVドラマ、バラエティに出演する。

誕生:1983年8月22日 A型
資格:自動車免許、ホームヘルパー2級、馬場検定2級
趣味:舞台映画鑑賞、読書、料理

公式サイト https://www.miho-ohwada.com/

公式ブログ https://ameblo.jp/miho-ohwada/

Instagram https://www.instagram.com/miho_ohwada/
Twitter   https://twitter.com/miho_ohwada

藤木大地が大和田美帆さんに訊きたい10のこと

Q1. 1983年8月22日、東京都のご出身です。大和田獏さん、岡江久美子さんの長女としてお生まれになりました。以前、美帆さんとお話しする中で「小さい頃は、周りの人はみんなテレビに出ているものだと思っていた」というお言葉をよく覚えています。家庭環境やご両親の考え方によって、ご自身のキャラクターや進路にどう影響がありましたか。

大和田 両親が芸能人だったことで、親の仕事をしている姿を見られた、というのは、大きかったと思います。私がこの道に進むきっかけもそうですし、仕事に対する姿勢にも影響があったかなと。

藤木 そのぶん、ご両親がお家にいらっしゃる時間は短かったですよね?

大和田 いま思えば、全然いなかったと思います。朝起きたらいないみたいな。でも、家にいるときにはたくさん話してコミュニケーションをとっていましたし、年に何回かは旅行にも行って、時間をとってくれましたし、母は学校の行事に必ず来てくれていました。

ただ、テレビっ子で、ずっとテレビとか、ディズニーやミュージカルのDVDなどを観ていたことが強く記憶に残っています。母が置いておいてくれた『ウェストサイド物語』なども好きで、いまの私はあのお留守番の時間にできあがったのではないかと思うくらいです。

藤木 だんだん大きくなっていって、自分のお家がそういう家だと意識したことはありますか?

大和田 ありますあります。小学1、2年で「うちの親芸能人ですけど?」みたいに陶酔する時期があって。「りぼん」という雑誌に懸賞ハガキをおくるときに「大和田美帆(大和田獏の娘です)」って書いて。最悪でしょ? それ間違えて返ってきちゃって親に怒られるし、住所もバレるし(笑)。

大和田 そのあとに訪れたのは、「なんで私はこんな家に生まれてしまったんだ」という恐怖の時期。小4くらいに、家の鍵が割られて壊されてたときがあって。外に男の人が立ってたという情報を聞いて、家を知られてるって怖くなったんですね。「あなたたちはいいよって、やりたいことやってるんだから。なんでこんな家に産んだの!?」ってぶちぎれて。母がお皿洗いながら泣いてるんですよ。ごめんねって言って。父は真摯に私の前に座って、「恥ずかしい仕事でもないし、僕たちは悪いことしてるわけじゃないから誇りを持ってほしい」みたいなことを話してくれた。芸能人ってすごいって言われるけど、そうじゃなくて、これは2人が選んだ“仕事”をやってるだけだって気づきました。

藤木 一般的な思春期より前ですね。

大和田 そうですね。小学校6年間は最悪だったっていうイメージで、人にあたってたし、小学生のときは見失ってましたね。自分を。“中1から人が変わった”って言われています。

演じる側にいきたいとは思っていなかった

Q2. ご両親と同じ、女優という職業を選ばれたのはなぜですか。幼い頃や少女時代に他の職業に憧れたことはありますか?

大和田 中学に入ってから学校で演劇を始めたんですよ。放送部なんですけど、ラジオドラマみたいな声だけの演劇を。そして楽しさを知って。

藤木 学内で発表などはするんですか?

大和田 私が通ってた東洋英和女学院では、文化祭に向けて1年間みんな頑張るんです。後半は演出に入りましたが、高1までは男役で舞台に出ていました。ちょうど母の影響で宝塚を好きになったのが同じくらいのタイミングで、男役が楽しくなって……ハマりましたね。

藤木 宝塚を目指したことはあるんですか?

大和田 ないです。憧れだけ。夜、誰にも見られないところでメイクはしてましたけどね(笑)。鏡の前で歌って踊って、宝塚の振付をコピーして、というのが親のいないときの楽しみ。それでも、演じる側にいきたいとはあまり思っていなかったんですよね。ただ、母のドラマの現場を見に行くと、ADさんとか照明の方とかカッコよくて、スタッフになりたいなと思ったりしていました。

でも、高2のときにパルコ劇場で宮本亞門さん演出の『ボーイズ・タイム』を観たとき、自分より年下の森山未來くんたちが出てて、「わーあっち行きたいな」って漠然と思ったんです。そして、大学は演劇の勉強ができるところを選びました。でも、実は保育士にも興味があって。

藤木 子ども好きだったんですね。

大和田 はい。保育科のある学校も受けましたが、最終的には日本大学藝術学部映画学科の演技コースに進みました。その頃、両親が「もしかしてそっち行きたいの?」って言ってきて。

藤木 その頃なんですね。

大和田 はい。日藝を選んだときに「あれ?」っていう感じでした。

Q3. ご著書『ワガコ』(2017年/新潮社)をはじめ、ブログやSNSなどで活発に、そして飾らずにプライベートも発信されています。美帆さんにとって、皆さんに文字や写真を発信することはどのような活動ですか?

大和田 出産や妊娠を思いのまま書いてみたら、思いのほか反響がよかったんですよね。昔から私は誰かに喜んでもらったり、「出会ってよかった」って思っていただけたらいいなと思っていたので、私の書くことで誰かが救われていたらいいなと思っています。

藤木 思いのまま書いたことで起こった、嫌なことってあったりしますか?

大和田 考えたことはないですが、やはり子どものことは気を付けています。名前と顔がばれるって本当に怖いと思うんですよね。私自身、怖い思いもしたので。

弦楽器の響きを間近で体感して

Q4. 大和田獏さんと、舞台では「初共演」なさった2020年2月の歌劇『400歳のカストラート』に出演した感想、そして藤木大地の印象をなんでもお聞かせください。

歌劇『400歳のカストラート』

もし永遠の命があれば、人はどんな人生を歩むのだろうか? カストラートとして400年の年月を生きた男の物語。

企画原案/選曲/カウンターテナー:藤木大地

脚本/演出/美術:平 常(たいら じょう)

音楽監督/作曲/編曲/ピアノ:加藤昌則

朗読:大和田 獏、大和田美帆

ヴァイオリン:成田達輝、坪井夏美/ヴィオラ:田原綾子/チェロ:笹沼 樹

大和田 朗読だからこそできたっていうのはあるかもしれませんね。目を合わせて芝居することに恥ずかしさはあったんですが、やっぱり、長年続けてる先輩ってすごいなって思いました。父の仕事をする姿を見られてよかったです。現場に何時に入るとか、台本をどれだけ読み込んでいるかとか、そういうものも見られたのでよかった。カッコイイなって思いました。

藤木 『400歳のカストラート』のときは、クラシックは自分には身近ではなかったとおっしゃってましたよね。そのとき初めて、弦楽カルテットの音色に感動されたと。

大和田 はい! 弦楽器の響きをあれだけ間近で体感したのは初めてで……好きになっちゃいましたね。なので、(コロナ禍で)自粛期間に入ってからクラシックを聴くようになりました。

藤木 曲はどういうふうに探しているんですか?

大和田 どう探せばいいかわからないので、チェロの笹沼樹くんに「こういう感情なんですけど、いい曲ありませんか?」というようなことを訊いて。そうすると、おすすめを送ってくれたり。

あと、自粛期間でモーツァルトをたくさん聴いているうちに、巷でよく言われている自律神経を整えるみたいなことを実感しています。舞台『アマデウス』(演出・主演:松本幸四郎/2017年)でコンスタンツェ役を演じていたときはいつも元気だったのでわからなかったのですが、ずっと家の中にいるときに「あ、これか」って。結構クラシックに癒してもらいました。

藤木 お気に入りでリピートしている曲ってありますか?

大和田 どれが一番! というふうには言えないのですが……(スマホのApple Musicを見ながら)モーツァルトの弦楽四重奏曲第17番変ロ長調K.458《狩》第2楽章とか、あ、あとこの人(指揮者のアーノンクール)も有名ですか? どれか覚えられないですよ。

モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番変ロ長調K.458《狩》第2楽章

藤木 でも、いま流れたのがお好きなんですよね。 

大和田 そう。歌とか入ってなくていい感じですよね。

藤木 すみません(笑)。 

大和田 だははははは(笑)。いやいや、寝る前はね。寝る前の話で。

藤木 そうだ、共演したときの僕のイメージはどうでしたか?

大和田 まじめな方っていうイメージですね。あとはやっぱりその歌声にびっくりしました。こんな声が出せるのか、というのはもちろん、息継ぎだったりとか……。ミュージカルしか本当に知らないので。ミュージカルの俳優さんとは共演したことがあるけれど、それがまるで違うことに気づかされましたね。

藤木 基本は一緒だとは思ってるんですけどね。いまでも。

大和田 そうなんでしょうけど、より丁寧というか。オペラももちろんそうですが、ミュージカルはもっと感情的な感じがして。日本語だからですかね。あの舞台ではいろいろな言語が飛び交っていたのも新鮮でしたね。

クラシックやミュージカルに触れたことのない人が、予想よりもはるかに多い

Q5. クラシック音楽業界について、どういう印象を持たれていますか。今後、音楽、演劇を含めたエンターテインメントの分野がまた盛り上がるために、お客さんに安心して劇場に来ていただくために、われわれ演者にできることはどんなことか、ディスカッションをしてみたいです。

大和田 クラシックは敷居が高いと思っています。

藤木 その理由って?

大和田 クラシックをやってる方で「イェーイ、クラシック、サイコー!」とかやってる人いないじゃないですか(笑)。みなさん、ちゃんとしてる。実際お会いして話すと気さくなのに。でも、育ちがよすぎて友だちになれなさそうって、勝手にこっちが思っちゃう。

藤木 舞台であまり笑っちゃいけないみたいな雰囲気もあるからかな。確かにソリストとしてオーケストラのリハーサルに行くと、音が出ているときは皆さん真面目なお顔をされていることが多いので、「自分、受け入れられてるのかな」って不安になることもありますね。

大和田 みんな正装されてますしね。だからみんなが“高そう”に見えてしまって。クラシックの人とごはん行くなら赤ちょうちんはダメだろうな、とか。

藤木 僕も、テレビに出ている人たちと行くなら、赤ちょうちんはダメだろうな、と思っちゃいますよ。

大和田 価値観のギャップがあるんでしょうね。もっとYouTubeとかで、大地さんとかがしゃべって演奏、みたいなのをしてみるとかいいんじゃないかな。皆さんの面白いキャラと演奏とのギャップを活かして音楽の楽しさを伝えてくれると、この先も見てみようかなと思うかも。

藤木 ギャップ萌えですね。クラシック音楽の本来の品位を保ったうえで何かをやるのは賛成だけど、まず人目を引いたりバズらせるために何かをやって、その先に敷居の下がったクラシック音楽があるのには、演奏の実力がぼやけてしまうリスクもあるとは思います。

大和田 たしかに。それにしても、異業種の方と話していて思うのが、クラシックやミュージカルに触れたことのない人が、予想よりもはるかに多いことなんです。

藤木 僕たちは舞台とかミュージカル、あるいはオペラの良さを知っていて、それを仕事にしているわけなんですけど、もっとたくさんの人に知ってもらうためにはどうしたらいいでしょうね?

大和田 私がクラシックを好きになったのは、その業界の人たちと仕事をしたからなんですよね。例えば、いまはミュージカルで活躍されてる方がテレビに出て、それで興味持った人たちが舞台を観に来てくださるということもあるので、興味を持ってくださるきっかけ作りが重要かな。

藤木 あとは興味を持ってくれた方々のために、手に届くところに何かを置くというのは、仕事の一つだと思っています。そうしたら、今度は買ってもらえるための努力をしないといけない。10月にやってみたオンラインコンサートで難しかったのは、居場所を問わず多くの人に聴いていただけた反面、舞台に立つときのような収入にはなりにくかったということでした。

大和田 無料だから聴くというのは、やはり多いですよね。生で観たいなって思っていただけるくらいのエネルギーが映像から伝わればいいのですが……。舞台は特に生の面白さがあるから、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらいいな、つながればいいなって私も思っています。

新しいアイデアを自分で考えて動く時期に来ている

Q6. 2020年3月以降、ご自身も多くのお仕事に影響が出たと思います。そして、4月23日に岡江久美子さんを亡くされました。獏さんと美帆さんと舞台を通じて知り合うことのできたわたしたちには、想い、祈ることしかできませんでした。いま、長期にわたる感染のリスクをどう捉え、女優として、どのように演劇や音楽に関わっていきたいと思われますか。

大和田 正直、おびえて暮らしてはいけないと思うんですよ。共存は決意しています。母を亡くしたことで閉じこもっているイメージを持たれがちなのですが、私自身は普通に暮らしています。

でも、演劇に出る側として、誰かの命が関わるとき、そこに責任がとれないのは怖い。だからこそ、やるからには徹底的な対策をして、自信を持って提供できるようにしないと。

藤木 僕たちは、今年の前半はほとんどの仕事を失って、この先がどうなるかもわからない。「またなくなったらどうしよう」という心配をしながら仕事の準備をするのって、すごくきついですよね。あと、もしも自分が今熱を出してしまったら、その公演に関わる他の人の仕事も奪ってしまうことになるかもしれない、という不安も常にあります。

大和田 やはり舞台は続けていくべきだと思うんです。自粛するのはそこじゃないんじゃないかっていうのは正直思っています。ただ、どう対策するのが万全なのか、誰にもわからないんですよね。

藤木 我々は誰かのために、誰かに喜んでもらうためにやっている職業だけど、舞台があることによって起こる危険があるかもしれないと考えると、その信念が少し揺らぎはじめてしまいますね。

大和田 あとは新しいアイデアを自分で考えて、自分で動く時期に来ているのかなと思います。飲食店を見ていても、演劇を観ていても、新しいアイデアを出している人もいるし、これからはそうじゃないと生きていけないと思います。

藤木 このきっかけがなかったら考えなかったであろうことを考えたり、新しいものを生み出すようになったりしましたし。

大和田 私が今目指してるいるのは、あれがあったから今の私がいる、っていうことを10年後20年後に言いたいということなんです。母の死もそうだし、コロナからも学ばなくてはならないと思っています。

Q7. これまで、音楽とどのように関わってきましたか。

大和田 演劇やミュージカルを観ることに熱中していた青春時代だったので、みんながミスチルやサザンオールスターズを聴いてるなか、私は『レ・ミゼラブル』を聴いてました。わかってくれる友だちが全然いなくて寂しかったです(笑)。

あとは中学の3年間はオーケストラに入ってフルートをやっていました。やっぱり音楽はずっと好きでしたね。ミュージカルはもちろんですが、映画の音楽も好きで、モリコーネもよく聴いていましたし。大好きで観ていた『ウェストサイド物語』もバーンスタインの音楽があるからこそだと思います。ビックバンドやディズニーの音楽も好きですね。

藤木 お話を伺ってると、ジャンルを決めないで聴くのがいいなって思いますね。あと、声楽を習っていたそうですね。

大和田 10代のときですね。

藤木 それはやっぱり何かを目指して?

大和田 いずれミュージカルに出られたらいいなと思って、紹介していただいた先生のところに通っていました。

藤木 スクールに通っていたのですか?

大和田 いえ、個人で。声楽は一人の先生だけで、そのあとはミュージカルの先生に4人習いました。なんか常に私一人で行動してますね(笑)。

音楽と心が直結しているという自分の考えを確信させてくれた

Q8. 「ワガコ」として本やブログに登場する娘さん(2015年生まれ)とは、どのように音楽に触れ合っていますか? また、子どもと大人が一緒に楽しめる音楽会「ミホステ(MIHOP STEP JUMP)」やそのほかの音楽活動を通じて、実現したいことはありますか?

大和田 子どもができたことで、ミュージカルに時間が取れなくなってしまったし、仕事もまだできないし……というのが「ミホステ」のはじまりです。私に限らず、子どもが生まれると、舞台を観に行くことをあきらめてしまう人が多いんですよね。どうしても観劇の優先順位は下のほうになってしまう。そういう現実をブログに書いたら、たくさんの方が共感してくれて。それで、子どもとお母さんが一緒に音楽を楽しめるものがあればいいんじゃないかと。

藤木 「ミホステ」はお母さんも楽しめるコンサートですよね。

大和田 ちょっとミュージカルの歌を歌ってみたりとか、子ども向けだけじゃない、お母さんたちにも共感してもらえるような歌詞の曲を選んだりしています。

藤木 「シャイン・オン・キッズ!-Shine On! Kids」での活動もされているそうですね。小児がんを患っている、病院の外に出られない子どもたちのためのプログラムで、美帆さんは「ファシリティドッグ」と一緒にオンラインコンサートに出演されています。

大和田 はい。「ファシリティドッグ」は子どもたちと触れ合って、入院や治療のときの不安を癒してくれるんです。医療スタッフとして月曜日から金曜日に病院に勤務しているんですよ。まだまだ知られていないですし、訓練士さんも少ないので、これからどんどん世間に広がればいいなと思います。

藤木 動画は月1ペースでの配信なんですよね?

大和田 そうです。いまのところ、来年の2月までの予定です。入院している子どもたちが楽しんでくれて、見終わったあとも何か残るものがあればいいなと思いながら、いろいろな企画を考えています。

Q9. 専門の学校で音楽療法(2020年3月に学校を修了)を学ばれたとのこと。母親業、そして第一線で多忙にお仕事をしながらも、新しいこと、音楽療法を学ぼうと思ったきっかけはどういったことですか? 音楽療法を学ばれたり、現場を見たりするなかで、どのように理解が深まり、今後にどうつながると感じましたか。

大和田 知り合いが音楽療法をしているスタジオに遊びに行ったとき、以前から音楽療法に興味があることを話したらスクールを教えてくれて。次の日には申し込みました。

藤木 通信じゃなくて通学されたんですね?

大和田 はい。週3回くらいは通ったかな。

藤木 そこで学んだことで大きかったこと、今、これからの活動に役立てられる知識とか技術って具体的にありますか?

大和田 音楽と心が直結しているという自分の考えを確信させてくれました。「音楽心理学」や「乳幼児発達心理学」という授業があって、その中では音楽を聴くと記憶がよみがえったり、感動する仕組みなども学べたんです。音楽によって人間が与えられる影響の大きさというのも改めてわかって、感動しましたね。他にも新しい知識をいろいろと学びました。

藤木 きっと、前から感じていたことを理論的に証明してくれて確信できる、そういう時間だったんですね。

大和田 そう。ミュージカルをやっていたことのあるだけの普通の主婦が「ミホステ」を続けていくための自信や確信がほしかったんですよね。本当に通ってよかったと思います。

Q10. あなたにとって、音楽とは?

大和田 これ考えてきたんだ! 栄養剤であり、痛み止めです。……どうですか、カッコよくないですか?

藤木 色紙に書く系ですね(笑)。そのタイトルで歌を出したらどうですか?(笑)

大和田 栄養剤と思っていたのですが、やっぱり、何かあったり、悲しいときに助けてくれるのは薬じゃなくて音楽なんですよね。本当にいままでずっとそうでした。失恋したときも。

藤木 イメージがしやすい言葉ですね。

大和田 元気を出したいときも聴くし、元気がないときも聴く。そういうものってすごいなぁって。普遍的と言うのでしょうか。

あっ、「考えてきたんですけど」って書かないでくださいね! その場で自然と出てきた感じで! 前日に寝る前、夜通し考えたと思われると恥ずかしいので(笑)。

藤木 いや、そのギャップがいいんですよ。美帆さん、素敵なお話をありがとうございました。

対談を終えて

正直に言います。再会したら、どんな顔をして、なんて声をかけたらいいんだろう、と思っていました。そのくらい、美帆さんのことも獏さんのこともずっと考えていました。そんなこちらの気持ちなんて、大和田美帆さんにはお見通しでした。飾らない、明るい、率直なお話を伺う中で、早くこの人とまた舞台の仕事がしたい、そしていつか、またみんなで一緒に飲みに行きたいと思いました。

まずは『400歳のカストラート』宮崎公演!

みんなに喜んでもらえるように、僕たちも楽しみましょう!

藤木大地

冒険者
藤木大地
冒険者
藤木大地 カウンターテナー

2017年4月、オペラの殿堂・ウィーン国立歌劇場に鮮烈にデビュー。アリベルト・ライマンがウィーン国立歌劇場のために作曲し、2010年に世界初演された『メデア』ヘロルド...

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