ピアノ自慢その3:歌詞の意味が表す世界へ多声のピアノが一瞬で導く
歌曲の伴奏から学ぶ、ピアノで歌う世界
音楽の中で「歌」は欠かせない要素ですが、器楽で奏でる抽象的なメロディに、歌詞が付いてくると、そのメロディの意味が明確になり、ハーモニーで表される心情や情景がよりはっきりすることは、私にとって歌曲の魅力のひとつです。
ピアノはポリフォニック(多声)なため、メロディだけでは作れないような「雰囲気」を一瞬のうちに表すことができます。
歌曲の前奏だけで、ときには草原の中に聴衆を導き、ときには燃え盛る火で脅かすこともあります。そして後奏では、振り返るような「未練」や「慰め」のような感情で、作品のストーリーを締めくくることもあります。
このような「歌う」ことや、作品の世界を作る創造力は、ソロを弾くときも同じです。ショパンの作品を演奏するとき、抒情的なテーマでメロディを歌わずにはいられないし、シューベルトのソナタを弾いていても彼の歌曲の世界観が表れています。そして、ドビュッシーの前奏曲では、水や火や雪の世界へ聴衆を一瞬のうちに導かなくてはなりません。
歌曲におけるピアノの魅力を味わう作品
シューマン:連作歌曲《女の愛と生涯》
女性の壮大な人生を描くシューマンによる連作歌曲《女の愛と生涯》。最終曲のピアノの後奏で、第1曲の冒頭のテーマに戻るときの、輪廻転生を感じさせ、人生を振り返るような感動の瞬間。ピアノに重要な役目が与えられます。偉大な指揮者ブルーノ・ヴァルターの演奏で。
クラリネットで素晴らしい「歌」を聴かせる吉田誠さんと、
日時: 2020年11月27日(金)19:00 開演 (18:30 開場)
会場: 東京オペラシティ コンサートホール
出演: ピアノ 小菅 優
料金: (全席指定)一般5,000円、学生2,000円
曲目:
- ベートーヴェン: バレエ「森の乙女」のロシア舞曲の主題による変奏曲 WoO71
- シューベルト:幻想曲 ハ長調 D760 「さすらい人」
- ヤナーチェク: ピアノ・ソナタ 「1905年10月1日・街頭にて」
- 藤倉 大: Akiko’s Diary(※藤倉 大:ピアノ協奏曲第4番 “Akiko’s Piano”の中のカデンツァ部分)
- ショパン: ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 op.58
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