オーボエ自慢その2:森林浴効果に似た癒しの波動
アーティストが自分の楽器の魅力をとことん語る連載「My楽器偏愛リレー!」。各楽器につき、3つの自慢ポイントを紹介して、次の奏者にバトンを渡します。今回は、ギター奏者の鈴木大介さんよりバトンを受け取った吉井瑞穂さんによるオーボエ自慢です。
甘美な音色と豊かな音楽性で世界の聴衆を魅了する国際派オーボエ奏者。東京藝術大学入学後、渡独。カールスルーエ音楽大学を首席で卒業。日本音楽コンクール優勝のほか、イギリス...
オーボエの本質が問われる作品を吹くと癒される
寿司屋だったらコハダに卵巻き、イタリアンだったらトマトソーススパゲッティに匹敵するだろうか。そのお店の本質が問われる一品。オーボエ奏者にとってのそれは、やはり何と言ってもモーツァルトの「オーボエ協奏曲 KV.314 」だ。
モーツァルト:オーボエ協奏曲
この曲に取り組むたびに、音楽家としての自分と真正面から向き合うことになり、大変シビアな時間となると同時に、心身ともに癒されてしまうという不思議な現象が起こる。
この曲を最初に聴いた音源は、ウィンナーオーボエで演奏されたものだった(今回挙げさせて頂く音源とはまた別のもの。我々の演奏する一般的なモダンオーボエよりも、キーの金属部分が遥かに少ないためか、木管独自の暖かいウッディな音がする)。
モーツァルトの楽曲という、そもそも100%オーガニックなツールであることも相まって、オーボエの音を聴いていると(自分で演奏していると)まるでどこかの山で森林浴をしているかのように感じるのだ。
どこかでも読んだのだが、オーボエを聴くと脳波をリラックス状態に誘導しアルファー(α)波が出るらしい。自分が一生懸命練習しているときは、正直なところ、常にα波が出ているわけではないと思うけれど(笑)、それでもオーボエを吹いていると、やっぱり幸せな気分になるのは、そういうわけなんだと思う。
オーボエの魅力を味わう作品
モーツァルト:オーボエ協奏曲
ユルク・シェフトライン先生はウイーン交響楽団首席、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス、(大昔にはなんとN響!)で大活躍されました。私の師匠・井口博之先生の師匠で、私が心から尊敬する芸術家です。この演奏は後にも先にも“Myベスト”です。
レオポルト・ハーガー指揮
(テルデック、2008年)
シェフトライン先生の参考音源
ヘンデル:オーボエ協奏曲より第3楽章
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