トランペット自慢その2:パイプオルガンと相性抜群! 教会で響くトランペットの音色
アーティストが自分の楽器の魅力をとことん語る連載「My楽器偏愛リレー!」。各楽器につき、3つの自慢ポイントを紹介して、次の奏者にバトンを渡します。今回は、オーボエ奏者の吉井瑞穂さんよりバトンを受け取った佐藤友紀さんによるトランペット自慢です。
東京藝術大学音楽学部卒業。アカンサス音楽賞受賞。在学中の97年、シエナ・ウインド・オーケストラに入団。01年~03年、東京藝術大学管弦楽研究部非常勤講師(芸大フィルハ...
教会に鳴り響く天使の声
ドイツに住んで印象的だったのが、教会と人々の関わり方でした。誰でも気軽に中に入れて、週末のミサには信者の方々から観光客まで、たくさんの人たちが集まり、さまざまなコンサートも開催されます。教会は人々にとって身近な存在であり、そこには音楽が溢れていました。
そして、教会といえばパイプオルガンですが、そのオルガンと抜群の相性を持つのがトランペットなのです。特にクリスマスシーズンには、トランペット奏者はミサやコンサートに引っ張りだこで、クリスマスイブにはミサの演奏のために教会を何軒かハシゴしていました。
渡独して間もない頃に、師匠のマティアス・ヘフス先生の教会でのコンサートを聴きに行ったときに、重厚で神々しいオルガンの音に寄り添う師匠の音が、光をまとった天使が楽しそうに飛び回りながら歌ってるかのように聴こえたのを鮮明に覚えています。
よく、天使がラッパを持っている絵画や彫刻などを目にすることがありますが、まさにラッパは天使の声を象徴するような楽器なのではないでしょうか。
トランペットの魅力を味わう作品
シャイト:《戦いの組曲》
トランペット/マティアス・へフス、佐藤友紀、辻本憲一、オルガン/クリスティアン・シュミット
ヘフス先生と兄弟子である辻本憲一さんと一緒に、ヨーロッパの教会ではなく日本のコンサートホールで収録したアルバムです。ドイツの教会の大聖堂で演奏しているようなイメージで演奏していました。
師匠と兄弟子の2本のトランペットの掛け合いに、それを羨むように忙しく絡んでいくピッコロトランペットが、まるで教会で3人の天使が戯れているかのように描かれていると思います。偉大な師匠とのレコーディングは、とてつもなくシビアで緊張感のあるものでしたが、最高に幸せな時間でした。
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