読みもの
2021.11.05
My楽器偏愛リレー! vol.25 鈴木大介

ギター自慢その1:すべての時代のレパートリーに触れることができる!

アーティストが自分の楽器の魅力をとことん語る連載「My楽器偏愛リレー!」。各楽器につき、3つの自慢ポイントを紹介して、次の奏者にバトンを渡します。今回は、アコーディオンのcobaさんよりバトンを受け取った鈴木大介さんによるギター自慢です。

鈴木大介
鈴木大介 ギター奏者

作曲家の武満徹から「今までに聴いたことがないようなギタリスト」と評されて以後、アンサンブルとコンチェルトを含む膨大なレパートリーでの、明晰な解釈力と洗練された技術など...

©Matsunao Kokubo

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500年近くにも渡る広範な時代の音楽を一本で弾くことができる

ギターという楽器は、その発音法においてはルネサンス時代から大きな変化をしていません。金管楽器にバルブがついたり、鍵盤楽器がチェンバロからピアノになったようなドラスティックな変化といえば、ルネサンスからバロック時代には、同じ高さあるいはオクターブに調弦された弦を2本ずつ弾く、いわゆる“複弦”であったのが、1800年前後からは1本ずつ張られた6本の弦に定着したことくらいでしょうか……。

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ですので、ルネサンス時代にスペインの宮廷で弾かれていた、そして、おそらく日本にもキリシタンたちとともに来日したのでは? と言われるビウェラや、イタリアのフランチェスコ・ダ・ミラノ(1497~1543)やイギリスのジョン・ダウランド(1563~1626)によって、奥義の極まったルネサンス・リュートなどギターに類似したスタイルの撥弦楽器は、スペインはもとよりフランスやイタリアでももてはやされました。

複弦ギターの一種、12弦ギター
ルネサンス・リュート

大航海時代の南米大陸へも渡ったバロック・ギター、そして、パリやウィーンで華やかに流行した19世紀のロマンティック・ギター、さらにはスペインのフランシスコ・タレガ(1852~1909)やアンドレス・セゴビア(1892~1987)が開祖となった20世紀以降のクラシック・ギターまで、楽器と時代によっては完全な再現にならないまでも、ギターさえ弾ければ、これらすべての時代のレパートリーに触れることができるのです。

ギターの魅力を味わう作品

ルイス・デ・ミラン:ファンタジア第11番
ヨーロッパの第一線でリュート奏者として長年活躍されている今村泰典先生の演奏によるルイス・デ・ミラン(1500頃~?)が1536年に刊行した史上初のビウェラ曲集『エル・マエストロ』から「ファンタジア第11番」をご紹介します。ここでは‘デディージョ’と呼ばれる、右手人差し指をピックのようにアップ・ダウンさせて使う鮮やかな速弾き奏法にご注目を。

鈴木大介
鈴木大介 ギター奏者

作曲家の武満徹から「今までに聴いたことがないようなギタリスト」と評されて以後、アンサンブルとコンチェルトを含む膨大なレパートリーでの、明晰な解釈力と洗練された技術など...

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