読みもの
2018.09.25

日めくりオントモ語録/ルーカス・ゲニューシャス

イラスト:駿高泰子

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今は優勝しなくてよかったと思っています。優勝したら世間から大きな注目を集めて、がんじがらめになっていたと思うからです。2位だからこそ、多様な選択肢をもてたのだと。

―― ルーカス・ゲニューシャス「音楽の友」2018年10月号より

音楽一家の出身というプレッシャーが常にあったというルーカス。2010年のショパン・コンクールや15年のチャイコフスキー・コンクールに参加したことを振り返って「周囲の期待と自分の感じるプレッシャーが頂点に達していました。だから、優勝したかった。2位に終わったのはファイナルでベストを出せなかったからだ、と自分を収めていましたが、今は優勝しなくてよかったと思っています」とコメントした。

ルーカス・ゲニューシャス(Lukas GENIUSAS)

1990年、モスクワ生まれ。5歳のとき、モスクワのショパン音楽大学の準備コースでピアノを始め、2008年に同校を首席で卒業した。音楽一家に生まれたゲニューシャスは、早くから音楽の才を開花させた。とりわけ、優れた教師でありモスクワ音楽院の教授であった祖母のヴェーラ・ゴルノスターエワからは、大きな影響を受けている。ユタ州のジーナ・バッカウアー国際コンクールで優勝し、2010年のショパン国際コンクールで第2位に選出されるなど、主要なコンクールで次々に輝かしい成績を収め、さらに2年後には、フランクフルト・アム・マインでドイツ・ピアノ・アワードを受賞。2015年、モスクワで開催された第15回チャイコフスキー国際コンクールで第2位に輝いた。ゲニューシャスの音楽的好奇心は尽きることがなく、そのレパートリーは、バロック時代から現代まで実に幅広い。彼はベートーヴェンのピアノ協奏曲はもとより、ヒンデミットの《ルードゥス・トナリス》全曲を自在に弾きこなし、チャイコフスキー、ラフマニノフ、プロコフィエフをはじめとするロシア人作曲家の作品にも強い関心を寄せている。室内楽にも熱心で、現代作曲家の新作や、知られざる作品の紹介にも力を注いでいる。

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