貧困層の子どもを受け入れるコルカタの音楽学校——西洋音楽の教育は何をもたらすのか
足繁くインドに通う、クラシック音楽のフリーライター、高坂はる香さんによる連載「インドのモノ差し」。
第4回は、幼少期にインドの田舎コルカタで大変貧しい暮らしをしていながら、現在はロンドンでチェリストとして活動しているアヌープ・クマール・ビスワスさんにインタビュー。その劇的な人生とは?
大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...
ピアニスト小川典子さんの友人チェリスト
1年半ほどまえのある日、ピアニストの小川典子さんが、ロンドンに暮らす友人のチェリストの誕生日パーティの様子だといって見せてくださった1枚の写真。
そこには、インド北部パンジャーブ地方のダンスを踊って盛り上がっていると思しき人々の姿がありました。……小川さんのお友だちに、インドの民族音楽にどハマりしているチェリストがいるということなのだろうか? さすが、小川さんには変わったお友だちがいるものだ。
そう思いつつお話を聞いてみると、そのお友だちはインド出身のチェリストだというのです。しかも、代々ロンドンに暮らす移民ではなく、インドで生まれ育った方だとのこと。
それも、映画になりそうな生い立ちの方でした。お名前は、アヌープ・クマール・ビスワスさん。
アヌープさんは、コルカタの田舎で大変貧しい暮らしをしていた幼少期、イギリス人の神父さんに拾われ、チェロを教わり、ロンドンに渡って英国王立音楽院を卒業してチェリストになったといいます。そして、今はロンドンを拠点に活動する傍ら、祖国で貧しい子どもたちのための学校を運営しているというではありませんか。
「数奇な人生を送った方で、とてもいい人なので、ぜひ取材してみて!」という小川さんのお言葉に即のっかって、昨年インドに行った際、コルカタにあるアヌープさんの音楽学校を訪ねてまいりました。
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