ニコライ・カプースチンを知ってほしい!~“音の魔法使い”の生い立ちと音楽の魅力
ジャズとクラシックの要素を融合した作曲スタイルで知られる、ニコライ・カプースチン。この頃はテレビなどでカプースチンについて取り上げられる機会も増えたため、なんとなく知っている……という方もいらっしゃるのではないでしょうか。とくに《8つの演奏会用エチュード》は、いちど耳にしたことがある方も多いハズ!
今回はそんなカプースチンの生い立ちや作風の魅力について、ご紹介したいと思います。
1995年生まれ。洗足学園音楽大学ピアノコース卒業。 同大学大学院修士課程修了。同大学ピアノ伴奏員。ピアニストの活動と併せて編集者・ライターの活動を展開しており、千住...
7歳からピアノを始め、ラジオがきっかけでジャズと出合う
1937年にウクライナで生まれたカプースチン。両親は音楽家ではありませんでしたが、7歳のときに初めてピアノのレッスンを受けます。初回のレッスンでは、これまでピアノを習ったことがなかったにも関わらず、クレメンティの《ソナチネ 作品36》から2曲を弾いてみせるという天才っぷりを発揮。当時の先生はとても驚いたことでしょう!
曲を書くようになったのは、13歳の頃。当時はまだジャズとクラシックの要素を融合した作風ではなく、ロシア=ウクライナ風のスタイルからなる伝統的な作品だったそうです。カプースチンの作曲スタイルにジャズの要素が加わったのは、1955年から始まったアメリカの国営ラジオ放送「ヴォイス・オブ・アメリカ」を、友人の家で聴いたことがきっかけでした。
ルイ・アームストロングやベニー・グッドマン、グレン・ミラーらの音楽と出合い、大きな刺激を受けたカプースチン。これが彼の音楽人生にとって、大きな転機となります。
昼はクラシック、夜はジャズ! 音楽漬けの学生生活を送る
カプースチンは1956年にモスクワ音楽院のピアノ科へ進学しました(ピアニストのウラディーミル・アシュケナージと同期で、親しい仲だったようですね)。在学中には、ビッグバンドのための作品である《コンチェルティーノ 作品1》を作曲・演奏しており、この時期からカプースチンの作品にジャズの要素が加わり始めます。この作品は1957年にモスクワで行なわれた「第6回世界青年学生祭典」にて発表されたもので、カプースチンはコンチェルティーノの演奏を経て大きな自信を得たようです。
その後、共に演奏したメンバーと五重奏団を組み、昼はクラシックの勉強、夜はバンドでジャズ演奏に取り組む日々を送りました。多忙を極める中で、一体どれだけ睡眠時間を確保していたのでしょうか……。
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