読みもの
2019.06.25
第30回清里フィールドバレエ『眠れる森の美女』『ドン・キホーテ』『30thスペシャルガラ』

清里の自然を満喫! 家族で楽しめる野外バレエ公演――萌木の村、清里フィールドバレエ

30年前に若きダンサーの熱意から始まり、いまや夏の清里の風物詩となった「清里フィールドバレエ」。
2018年に参加して、大自然とバレエの融合、美味しい食べ物にすっかり魅了された舞踏評論家の渡辺真弓さんが、家族連れでも絶対に楽しめる野外バレエの魅力をナビゲートしてくれました。

清里に今年も出かけたい舞踊評論家
渡辺真弓
清里に今年も出かけたい舞踊評論家
渡辺真弓 舞踊評論家、共立女子大学非常勤講師

お茶の水女子大学及び同大学院で舞踊学を専攻。週刊オン・ステージ新聞社(音楽記者)を経てフリー。1990年『毎日新聞』で舞踊評論家としてデビューし、季刊『バレエの本』(...

画像提供:バレエシャンブルウェスト

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日本の野外バレエ公演として歴史を誇る清里フィールドバレエが、今年30年の節目を迎え、7月30日〜8月10日の2週間、清里高原萌木の村、特設野外劇場で開催される。

山梨県・清里にある萌木の村は1971(昭和46)年に、清里で初めての喫茶店「ROCK」から始まり、大自然のなかにレストランやカフェ、宿泊施設が点在する観光スポット。

このほど六本木ヒルズで記者会見が行なわれ、今村博明(バレエシャンブルウエスト総監督)、川口ゆり子(バレエシャンブルウエスト芸術監督)、舩木上次(萌木の村代表、清里フィールドバレエ実行委員長)らが登壇、概要が発表された。

左から川口まり、舩木上次、川口ゆり子、今村博明、深沢祥子、染谷野委。

バレエシャンブルウエストは東京八王子を拠点に活動。日本バレエ界のトップスターとして活躍した今村と川口によって、平成元年に設立された。以来、全幕バレエから創作バレエの上演まで幅広い作品を上演、芸術祭大賞を受賞したほか、ロシア国立ボリショイ劇場での海外公演などの実積をもつ。

出会いと場所から始まって30周年

清里フィールドバレエを始めたきっかけについて、今村総監督は3つの理由を挙げる。

「1つは、清里の美しい自然の中でバレエを見ていただきたかったから。2つ目は、1980年代に牧阿佐美バレエ団在籍時に、フランスで野外バレエを上演し、ぜひ日本でもやってみたいと思ったから。3つ目は、萌木の村の開拓精神が一流を目指すものだったから。牧バレエ団時代の同僚、手島洋子さんが舩木夫人となって清里でバレエを教えていたことから、初めて清里の美しさを知り、ここでバレエを上演したいと思い、舩木さんにお願いして翌年から始まった」

バレエシャンブルウエスト総監督、今村博明。
萌木の村代表、清里フィールドバレエ実行委員長の舩木上次。

これを受けて、舩木実行委員長は、「昔は原野だった清里が開拓されて80年。私はここで育ち、リゾートブームで街は乱れていくばかりだったが、バレエが将来この街の柱になるのではないかと思い、お願いした。そうして一般の方たちが文化を感じるようになった。これからの地方創成は民度だと思っている」と語った。

雨天の対応も万全、皆で祈れば雨も止む

昨年の『ドン・キホーテ』公演の折だった。第1幕終了後、休憩に入った途端、雨がぽつぽつ降り始め、遂にざあざあ土砂降りに。「中止なんて残念!」。急いでテントに避難。さすがに雨天時の備えができていて、係の人たちの対応が早いこと。手際よく簡易レインコートを配る。

テントの下で待つこと30分。なんと皆の願いが天に通じたのか、雨がぴたりと止んだ。今度は、舞台の水拭き作業である。こちらもまもなく清掃完了、第2幕が無事再開の運びとなった。

2018年『ドン・キホーテ』公演から。(筆者撮影)

舞台装置は簡素だが、何と言っても自然の木立が借景となり、森の場面は幻想的な効果満点。さらに最後の結婚式のシーンの始まりには、花火も上がり、リゾート気分を高めてくれる。家族連れで一杯の客席から歓声が沸き起こった。カーテンコールでは、写真撮影も可なので、ひと夏の良い思い出ができた。

会場では自慢のクラフトビールなども楽しめる。
公演中に上がる花火も夏の想い出に。
宿泊したペンションも居心地がよく、朝食に出された、ご自慢の自家栽培の野菜サラダが大変美味。また今年も行ってみたいと思わせた。
(筆者撮影)
昼間に会場で行なわれているゲネプロは観覧自由! 開放的な野外劇場ならでは。

今年の目玉は『眠れる森の美女』と『30thスペシャルガラ』   

新作の『眠れる森の美女』は、今村と川口による改訂振付。プロローグから第3幕まですべてのシーンを抜粋して物語を伝える2時間のフィールドバレエバージョンが上演される。主役キャストは5組の交替。衣裳はパリ・オペラ座の『白鳥の湖』などを手掛けた桜井久美がデザインするほか、文化学園大学国際ファッション文化学科の提供によるものを使用。バレエとファッションのコラボレーションが存分に楽しめそうだ。

全幕バレエとは趣向を変えて、バレエの名場面に酔わせるのがガラ。今年は特に、バレエ団の垣根を越えて錚々たるスターたちが10数名も野外の舞台に一堂に会するのがぜいたく。東京バレエ団の上野水香、新国立劇場バレエ団の小野絢子と福岡雄大、牧阿佐美バレエ団の青山季可と菊地研、谷桃子バレエ団の永橋あゆみと今橋智也、英国ロイヤル・バレエ団の佐々木万璃子、スターダンサーズバレエ団の塩谷綾菜と髙谷遼、バレエシャンブルウエストの川口まりと藤島光太ら。まさに30周年を祝うにふさわしい催しとなりそうだ。

東京からもアクセスしやすいので、清里の自然の中でバレエを楽しんでほしい。

子どもたちに大人気の萌木の村のメリーゴーランド。
第30回 清里フィールドバレエ
イベント情報
第30回 清里フィールドバレエ

開催期間: 2019年7月30日(火)~8月10日(土)

開場18:15/開演19:00

 

会場:  清里高原萌木の村特設野外劇場

 

スペシャルガラ出演バレエ団
「新国立劇場バレエ団」小野絢子 福岡雄大(8/1のみ)
「谷桃子バレエ団」永橋あゆみ 今井智也
「牧阿佐美バレエ団」青山季可 菊地研
「スターダンサーズバレエ団」塩谷綾菜 高谷遼
「東京バレエ団」上野水香(8/10)

 

料金: 

シート指定席・椅子指定席:6,000円(大人)3,000(小人)※指定席は公演日2日前まで販売。
特別指定指定席:11,000円
自由席:前売り5,000円(大人)2,000円(小人)
    当日 6,000円(大人)3,000円(小人)

清里に今年も出かけたい舞踊評論家
渡辺真弓
清里に今年も出かけたい舞踊評論家
渡辺真弓 舞踊評論家、共立女子大学非常勤講師

お茶の水女子大学及び同大学院で舞踊学を専攻。週刊オン・ステージ新聞社(音楽記者)を経てフリー。1990年『毎日新聞』で舞踊評論家としてデビューし、季刊『バレエの本』(...

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