読みもの
2023.06.25
原田慶太楼の「Knock on the Door」第10回

成功へつながる10のルーティン(前篇)

前回「情熱を見つけることからブランディングは始まる」のアンケートに数多くのお答えをいただき、本当にありがとうございます! 原田さんも編集部もうれしい悲鳴でした。今回はそれを受けて、原田さんが実践しているとっておきのルールを公開します。

原田慶太楼
原田慶太楼 指揮者

アメリカ、ヨーロッパ、アジアを中心に目覚しい活躍を続けている期待の俊英。2021年4月東京交響楽団正指揮者に就任。シンシナティ交響楽団およびシンシナティ・ポップス・オ...

取材・構成
能勢邦子
取材・構成
能勢邦子 コンテンツディレクター

『anan』元編集長。『Hanako』『POPEYE』元副編集長。2018年まで約30年間、マガジンハウスで雑誌や書籍の編集に携わり、話題作を次々に生み出す。担当した...

撮影:岩本慶三

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「自分はこうなりたい」、そのため「いつまでに何をする」というのを紙に書き出しています。19歳の時からずっと続けている僕の習慣です。

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2004年、僕はイリノイ大学のサックス科に入学します。高校2年で指揮者になることを決め、すでにフレデリック・フェネル先生に師事していたのですが、アメリカの大学には指揮科がありません。指揮者になるには、ひとつの楽器を極めてからという考えのもとに、指揮科に進めるのは大学院からです。それでサックス科に入学したわけですが、1年目にメーコン交響楽団アシスタントコンダクターのオーディションに受かり、プロのオーケストラに指揮者として所属することになりました。そのときに、イリノイ大学サックス科のデボラ・リクトマイヤー先生から、お祝いとして本をプレゼントされたのです。

いわゆるビジネス書、自己啓発本ばかり何冊かありました。「指揮者というのはオーケストラのリーダー、芸術のリーダーだから、リーダーとして何が必要か、人間性を磨くことが一番大切です」という理由です。この考えは今でも正しかったと思うし、それを10代で知ったことは、本当にありがたかった。楽器を極めるには練習あるのみですが、指揮を極めるには棒の振りかたよりも大切な心構えがあります。

そのときにもらった本で特に衝撃的だったのは『7つの習慣』(スティーブン.R.コヴィー/キングベアー出版)。成功者たちが原則にしていることを7つにまとめたもので、小手先のテクニックではなく、自分の内面にある人格を磨く考え方が説かれています。以来、僕も自分自身の原則を考え、実践し、うまくいかなければアジャスト(調整)する。20年間、その繰り返しです。

僕を成功に導いた、この大切な習慣を公開します。これらの習慣を意識するかどうか。意識して実践するかどうか。実践を日々続けるかどうか。なりたい人間になるためには、これしかないと自信をもっておすすめする方法です。

STEP 1.Be committed コミットする

コミットする。日本語でいうと、「結果を約束する」「積極的に関わる」「責任をもって取り組む」という意味です。なりたい自分を明確に意識して、その結果に向けて積極的に行動する。コミットしなければモチベーション(やる気)は出てこない。コミットすればするほど、モチベーションもフォーカス(集中)も強まります。

僕は今では完全に習慣になっているので意識せずにできているのですが、最初の頃はこうしていました。毎朝、起きてすぐ15分ぐらい時間をとります。①自分が目指しているものは何か、②それを成功させるには今日何をすればいいか、それを紙に書き出すのです。そして、夜にチェックします。朝書き出したTo doリスト(②)どおりに行動できたか、できなかったか。できなかったことは、なぜできなかったか見直して、翌日の計画に入れます。

To doリスト(②)のポイントは、より現実的な、できるだけ具体的な計画を書き出すことです。実際に今日できること。それを書き出して、ひとつひとつ実行する。

一方、なりたい自分(①)については、それほど具体的でないかもしれません。なんとなくでも構いません。いま現在イメージする「なりたい自分」です。

なりたくない自分を先に考えてみるのもよい方法です。こういう人間にはなりたくない。こんなキャリアは嫌だ。じゃあ、何になりたい? 理想の自分をイメージしてみます。5年後は? 10年後は? どこに住んでいたい? 結婚は? 子どもは? 

それから、ここが大切なところなのですが、なりたい自分(①)は固定ではありません。日々のTo doリスト(②)をすることで、だんだん具体的になったり、あるいは変わっていったりします。それでいいのです。変わるたびに書き出して、じゃあ、そのために今年するべきことは? 今月するべきことは? 今日するべきことは? と逆算して、具体的な行動につなげます。

STEP 2. Learn from the journey 旅から学ぶ

なりたい自分(①)がゴール(最終目標)です。でもゴールばかり見て念じていても(ゴールにフォーカスしていても)達成はできません。ゴールに向かう過程、やはり、To doリスト(②)が大切なのです。

コンクールで優勝するのがゴールだとしたら、日々の練習の積み重ねが大切。旅も同じです。目的地に到着するには、いつどの交通機関で、誰とどうやって行くか計画を立て、トラブルがあったら予定を調整して、また目的地に向かう。ゴールに向かう過程、To doリスト(②)をひとつひとつ達成していく小さな喜び。そこから気づきがあって、学びがあります。それが結果的に大きな喜び、ゴールにつながるのです。

モチベーションが湧き、行動にフォーカスできるのは、あくまで、日々のTo doリスト(②)です。

STEP 3. Have fun along the way 道のりを楽しむ

ゴールに向かう過程が大切なのだから、過程そのものを楽しんだほうがいい。いやいやTo doリスト(②)をやっていたら続かないし、モチベーションもフォーカスも下がる一方です。つまり道のりを楽しむことが、ゴールを引きつけるコツでもあるのです。

僕はスーパー・ポジティブ・ハッピー人間だから、何をやっていても基本的に楽しい。ひとりでいるときも、人と一緒のときも楽しい。仕事で忙殺されているときも楽しい。楽しいとエネルギーが倍増されて張り切れるし、それが良い結果をもたらしてくれます。

STEP 4. Think positively 前向きに考える

そして、道のりを楽しむためにはポジティブ(前向き)に考えること。「前向き」と「楽しむ」は最強ペアで相乗効果を上げていきます。

これは今まで僕の周囲を見てきても断言できるのですが、マインドがポジティブじゃない人は成功できません。ネガティブ(後ろ向き)に考える人、不安がっている人は、自分にダメージを与えているのです。さらに悪いことに、ネガティブな人は自分が悲劇のヒロインになるだけでなく、連鎖的に周囲にまで悪いことを呼び込んでしまう。そういう人とは縁を切ったほうがいいでしょう。

もちろん、誰でも人生にネガティブなことは起こります。成功する人は、そういうときに、ネガティブをポジティブにひっくり返す強さを持っています。それが成功者の共通点です。何か悪いことが起きたときに「いい経験になった」とプラスに捉える。失敗を失敗と思わず、次に向かうモチベーションにする。

だって、そうでしょう。失敗を知っているから成功がわかるのです。失敗を知らない成功者はいません。

「前向き」と「楽しむ」は、考え方のクセのようなもので、ちょっとした意識次第でできるようになります。そして、それができるようになると人生は好転していきます。

STEP 5. Change your perspective 視点を変える

このステップは、「前向き」に「楽しむ」クセを身につけるためのヒントになるかもしれません。ものごとの捉えかた、視点を変えてみましょう。

英語でトンネル・ビジョンというのですが、トンネルのように前だけ見て、周りがすっかり見えなくなっている人っていますよね? ゴールに向かってまっしぐら、それでうまくいくことはまずなくて、何か悪いことが起きたときにだめになってしまう。

同じ事実でも視点を変えることで、失敗が失敗でなくなります。

例えば、「コンクールで優勝できなかった」という事実も視点を変えれば、「準優勝できた」とか「来年も挑戦できる」ということかもしれません。起こった悪いことを、どうしたら良く変えられるか考えて、さっと、できるだけ短い時間で視点を変える。この習慣も慣れるほどに、どんどんうまく早くできるようになります。早く切り替えて、自分の「前向き」に「楽しむ」時間を増やしてください。

そりゃ、良い日もあるし悪い日もある。悪い日も悪い日もあるかもしれないけれど、そのかわり、良い日も良い日もある。自分の人生をいろいろな視点で見られるようになりましょう。

公演情報
山形交響楽団 庄内定期演奏会 第32回鶴岡公演

日時: 2023年8月5日(土)15:00開演

会場: 荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)大ホール

曲目: コープランド/バレエ組曲『アパラチアの春』(1945年版)、クラリネット協奏曲、上田素生/山響委嘱新作(世界初演)、チャイコフスキー/バレエ音楽『眠れる森の美女』組曲 作品66

共演: 川上一道(クラリネット)、山形交響楽団

料金: A席4,800円、B席4,300円、学生B席2,100円

詳しくはこちら

東京交響楽団 軽井沢シリーズ第2回 オーケストラコンサート

日時: 2023年8月8日(火)17:00開演

会場: 軽井沢大賀ホール

曲目: ブラームス/ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調op.102、梁邦彦/Asa,The Capital of Asu、Rainbow Leaves、Wish To Fly、Black Pearl、Who I Am、ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調op.92より第1楽章、第4楽章

共演: 竹澤恭子(ヴァイオリン)、宮田大(チェロ)、東京交響楽団

料金: S席8,000円、A席6,000円、B席(2階立ち見席)4,000円

詳しくはこちら

京都市交響楽団 第681回定期演奏会 《フライデー・ナイト・スペシャル》

日時: 2023年8月18日(金)19:30開演

会場: 京都コンサートホール 大ホール

曲目: ヴェルディ/歌劇《アイーダ》から「凱旋行進曲とバレエ音楽」、ストラヴィンスキー/歌劇《道楽者のなりゆき》から「トムからは何の便りもない」、ボロディン/歌劇《イーゴリ公》から「ダッタン人(ポロヴェツ人)の踊り」

共演: 森麻季(ソプラノ)、京響コーラス(合唱)、京都市交響楽団

料金: S席4,000円、A席3,500円、B席3,000円、C席2,000円

詳しくはこちら

京都市交響楽団 第681回定期演奏会

日時: 2023年8月19日(土)14:30開演

会場: 京都コンサートホール 大ホール

曲目: (同上のほか)ラター/レクイエム

料金: S席5,500円、A席5,000円、B席4,000円、C席3,000円

詳しくはこちら

原田慶太楼
原田慶太楼 指揮者

アメリカ、ヨーロッパ、アジアを中心に目覚しい活躍を続けている期待の俊英。2021年4月東京交響楽団正指揮者に就任。シンシナティ交響楽団およびシンシナティ・ポップス・オ...

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能勢邦子 コンテンツディレクター

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