読みもの
2023.07.28
原田慶太楼の「Knock on the Door」第11回

成功へつながる10のルーティン(後篇)

音楽でもなんでも、ただやみくもに練習していても効果は上がりません。前回から続く「成功へつながる10のルーティン」、そのSTEP6からSTEP10には、シンプルだけれどすごく大切なヒントが隠されています。なんといっても、原田さんが実践者なんですから!

原田慶太楼
原田慶太楼 指揮者

アメリカ、ヨーロッパ、アジアを中心に目覚しい活躍を続けている期待の俊英。2021年4月東京交響楽団正指揮者に就任。シンシナティ交響楽団およびシンシナティ・ポップス・オ...

取材・構成
能勢邦子
取材・構成
能勢邦子 コンテンツディレクター

『anan』元編集長。『Hanako』『POPEYE』元副編集長。2018年まで約30年間、マガジンハウスで雑誌や書籍の編集に携わり、話題作を次々に生み出す。担当した...

撮影:岩本慶三

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STEP 6. Be honest with yourself 自分に正直であれ

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自分の心、自分の気持ちに、いつも正直でいること。みんなそれなりに正直だと思うのですが、いまの居場所に安住していませんか。本当に正直でいるためには、自分の慣れた快適な場所から一歩踏み出す勇気が必要です。

自分の快適な場所にいたら何も起きないし発展もない。その場所から一歩踏み出し外れることで、自分の居場所が広がります。広がった新しい場所で自分に正直になって、良かったなと思ったら、また一歩、踏み出してみる。良くなかったら戻ればいいんだから。一歩、踏み出さないと、良いか良くないかもわからない。自分の心に正直に、快適な場所から一歩踏み出す、また一歩踏み出す。自分に正直でいるというのは、その行動を意味します。

若い人と話していて一番もどかしいのが、このステップです。踏み出そうかな、どうしようかなと迷っている人が多いけれど、その時間がもったいない。リスクが怖いのか、失敗が怖いのか、踏み出すことを躊躇していては、自分に正直とはいえません。今日、一歩踏み出せば、それが失敗だとしても、明日には違う一歩が踏み出せます。

STEP 7. Take away distractions 邪魔なものは排除する

なりたい自分があって、To doリストにフォーカスしていれば、それ以外の邪魔なものは徹底的に排除したほうがいい。もうとにかく排除。シャッターを降ろす。

邪魔なものも紙に書き出してリストアップするといいです。SNS、電話、LINE、テレビ、ゲーム……、なんとなく習慣になっているけれど、自分のゴールに必要のないものはたくさんあります。

ものに限らず人でもOK。この人、大っ嫌い。この人、要らない。この人、ネガティブ。そうやって書き出していくと、もうその人のことは考えなくなってくる。その人のことを考えている時間が惜しい。

楽器の練習をするときは携帯を切る。決めた時間しかSNSは見ない。嫌いな人とは付き合わない。こうして自分にとって邪魔なものを排除していくと、人生がとても楽になります。できるだけ若いうちに身につけてほしい習慣です。

photo by Julius Ahn

STEP 8. Count on yourself 自信を持つ

あなたの成功はあなたにしか成し遂げられないことだから、もっと自分を信じて、自分を頼ってください。

あなたがコンクールで優勝できたのは、あなた自身が成し遂げたことです。「すべてお母さんのおかげです」というマザコン気味の人も多いけれど——もちろん家族は精神的な支えにはなってくれるかもしれないけれど——あなたが練習したから、あなたが努力したから成し遂げられたのです。お母さんがあなたの代わりに練習してくれますか。お母さんを頼っていると、いつしか、お母さんのせいにするようになります。

何か失敗したとき、心が傷ついたときも、究極的には自分で直すしかありません。失敗したときに視点を変えて前向きに立ち直るのも、楽しみながら道のりを努力するのも、すべてあなた自身がすること。繰り返しますが、あなたの成功はあなたにしか成し遂げられません。

STEP 9. Keep planning 計画し続ける

ステップ1で、なりたい自分を書き出して、そのために今年すること、今月すること、今日することを逆算していくと言いました。それがプランニング、計画を立てるということです。To doリストでできなかったことは見直して再び計画に組み入れるとも言いました。プランニングもたえず見直し、修正し、クリアしたら次のプランを立て、それをずっと続けていかなければなりません。

例えば、フルマラソンを走るのがゴールだとしたら、この時期にハーフマラソンに出て、その前に10キロマラソンを走って……と逆算します。それだけではなく、減量したり、筋トレしたり、あるいはトレーナーをつけたりします。そして、今日のTo doリストは具体的に、今から何時間走るのか、今日の目標は何なのか、書き出します。このプランニングができない人は、ゴールまで行き着けません。

プランニングのおもしろいところは、いざ中間地点に立ったとき、振り返って過去を見直せることです。「先月これだけがんばったんだ」「3年前はこんなふうに思っていたんだ」という振り返りは、そこからさらに前を向かせてくれます。

またステップ1の補足になるのですが、これが紙に書き出す理由でもあります。デジタルのTo doリストだとできたことにチェックを入れて消していくから、何をやってきたかわからなくなってしまう。だから紙に書き出したTo doリストは、できたことも斜線で消すとか、チェックマークを入れるとかにして、消しゴムは使わないようにします。

今日のTo doリストを達成したときの達成感、その喜びを1年2年と積み重ねていきましょう。とにかく、プランニング、プランニング、プランニング。ゴールはその先にしかありません。

photo by Julius Ahn

STEP 10. Avoid getting burned out 執着しない

最後に大切な注意があります。それは、「決して燃え尽きないで」ということ。ゴールに向かって日々To doリストにフォーカスしていく。それはそうなんだけど、それがすべてではないということも同時に知っていてほしい。

ステップ7「邪魔なものは排除する」と矛盾するように思うかもしれないけれど、人生は楽しまないと! 友達と過ごしたり、自然に浸ったり、そういう遊びの時間は決して邪魔なものじゃない。「ゴールに必要なこと以外何もやらない」とゴールに執着しすぎないでほしい。肩の力を抜いてリラックスしてほしい。

そうでないと、例えば初めて行った駅で、「あ、これおもしろいな」というのに気づけなくなってしまう。インスピレーションが湧かなくなってしまうと、自分に正直でいることも難しいし、結局、本当のゴールを見つけられなくなります。

繰り返しになるけれど、なりたい自分は常に変わっていくもの(ステップ1)。自分の世界を広げながら(ステップ6)、プランニングを続けながら(ステップ9)、ゴールに対してもトンネル・ビジョンにならないで、視点を変えていく(ステップ5)。その柔軟性があればこそ、本当になりたい自分に近づけるというものです。

僕が習慣にしている10のこと。どのステップも密接に関わり合っていることが、わかっていただけるのではないでしょうか。あとは、実践、あるのみです。

公演情報
東京交響楽団 軽井沢シリーズ第2回 オーケストラコンサート

日時: 2023年8月8日(火)17:00開演

会場: 軽井沢大賀ホール

曲目: ブラームス/ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調op.102、梁邦彦/Asa,The Capital of Asu、Rainbow Leaves、Wish To Fly、Black Pearl、Who I Am、ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調op.92より第1楽章、第4楽章

共演: 竹澤恭子(ヴァイオリン)、宮田大(チェロ)、東京交響楽団

料金: S席8,000円、A席6,000円、B席(2階立ち見席)4,000円

詳しくはこちら

京都市交響楽団 第681回定期演奏会 《フライデー・ナイト・スペシャル》

日時: 2023年8月18日(金)19:30開演

会場: 京都コンサートホール 大ホール

曲目: ヴェルディ/歌劇《アイーダ》から「凱旋行進曲とバレエ音楽」、ストラヴィンスキー/歌劇《道楽者のなりゆき》から「トムからは何の便りもない」、ボロディン/歌劇《イーゴリ公》から「ダッタン人(ポロヴェツ人)の踊り」

共演: 森麻季(ソプラノ)、京響コーラス(合唱)、京都市交響楽団

料金: S席4,000円、A席3,500円、B席3,000円、C席2,000円

詳しくはこちら

京都市交響楽団 第681回定期演奏会

日時: 2023年8月19日(土)14:30開演

会場: 京都コンサートホール 大ホール

曲目: (同上のほか)ラター/レクイエム

料金: S席5,500円、A席5,000円、B席4,000円、C席3,000円

詳しくはこちら

愛知室内オーケストラ 第61回定期演奏会[B定期]

日時: 2023年8月23日(水)18:45開演

会場: 三井住友海上しらかわホール

曲目: 

上田素生/空想追体験 (世界初演)、ガブリエラ・レーナ・フランク/アンデスのエレジー (日本初演)、アルトゥロ・マルケス/ダンソン第4番(室内オーケストラ版)(日本初演)、平川加恵/「Symphonic Drive」、ミヨー/チェロ協奏曲第1番 作品136

共演: 遠藤真理(チェロ)、愛知室内オーケストラ

料金: SS席7,000円、S席5,500円、A席3,500円、B席2,500円、U25席1,000円

詳しくはこちら

東京交響楽団 名曲全集 第190回<前期>

日時: 2023年9月2日(土)14:00開演

会場: ミューザ川崎シンフォニーホール

曲目: ロッシーニ/《セビリアの理髪師》から序曲、「それじゃ私だわ……嘘じゃないわね?」、モーツァルト/《コジ・ファン・トゥッテ》から「彼に向けてください、そのまなざしを」、《フィガロの結婚》から「手紙の二重唱」、プッチーニ/《つばめ》から「ドレッタのアリア」、レオンカヴァッロ/《道化師》から「鳥の歌」、「ネッダ! シルヴィオ! こんな時間に……?」、ヴェルディ/《椿姫》から序曲、「ヴィオレッタとジェルモンの二重唱」、バーンスタイン/《キャンディード》から「着飾って、きらびやかに」、ベッリーニ/《ノルマ》から「ご覧なさい、ノルマ」、コルンゴルト/《死の都》から「ピエロの歌」、ドヴォルザーク/《ルサルカ》から「月に寄せる歌」 、第2幕 ポロネーズ

共演: 森麻季(ソプラノ)、森谷真理(ソプラノ)、大西宇宙(バリトン)、東京交響楽団

料金: S席6,000円、A席5,000円、B席4,000円、C席3,000円

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原田慶太楼
原田慶太楼 指揮者

アメリカ、ヨーロッパ、アジアを中心に目覚しい活躍を続けている期待の俊英。2021年4月東京交響楽団正指揮者に就任。シンシナティ交響楽団およびシンシナティ・ポップス・オ...

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