読みもの
2020.05.15
高坂はる香の「思いつき☆こばなし」第8話

続・お片づけの話〜無駄なものをそぎ落としていく作業のための音楽

高坂はる香
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

ドイツの画家、ヘルマン・フォン・カウルバッハが描いたアントン・ブルックナー(1824-1896)

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以前、筋トレがしたくなる音源の話を書きましたが、それでは片づけがしたくなる音楽はなにか。私にとって、それは断然ブルックナーの交響曲です。

昔、今やアメリカでもご活躍の片づけコンサルタント、こんまりさんこと近藤麻理恵さん監修のクラシックCDのお仕事をしたときのこと。

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打ち合わせ前に、こんまりさんの著書『人生がときめく片づけの魔法』を読み出したら、案の定、猛烈に片づけをしたい衝動に駆られました。今ならごっそり不要なものを捨てられる。そんな気持ちになるのです。

こんまりさんメソッドでは、「手にとって、ときめくかときめかないか」が、捨てる捨てないの重要な判断基準。仕事がら、資料など、ときめこうがときめくまいが捨てられないものもあるので、そのあたりは臨機応変に自分ルールをつくりましたが、一方、衣類などはこれでかなり勢いよく捨てることができました。

例えば、それほど気に入っていないTシャツも、部屋着にできるかもと思うのは間違い。家でも気分の上がらないものを着ていてはダメ! と考えるようにすると、捨てられる、という。

そんな作業のお供に、私はずっとブルックナーの交響曲を聴いていました。ストリーミングサービスを利用し、0番から9番まで、延々と。

筆者推薦、片づけたくなるブルックナー:交響曲第4番〜第1楽章/チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

作業の集中を邪魔せず、しかし気持ちは上げてくれて、ふと一息つくとかっこいいメロディとハーモニーが耳に入る。掃除のBGMに使っているというと、なんだかブルックナーに失礼な感じがしますが、必要なものを厳選し、無駄なものをそぎ落としていく作業のための音楽……といえば、なんだか尊い感じ。

ところで余談ですが、件の打ち合わせのとき、若い女性スタッフがこんまりさんに「彼氏と別れられない」とこぼしたところ、「触ってときめかないなら捨てたほうがいいですよ!」と明るく返答していらしたことが印象に残っています。彼氏にも応用できるこんまりメソッド、すごい。

高坂はる香
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

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