読みもの
2020.11.20
高坂はる香の「思いつき☆こばなし」第36話

フラフープでわかる、ヴァイオリン奏者ヒラリー・ハーンさんの身体の使い方

高坂はる香
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

©Dana van Leeuwen Decca

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仕事柄、座ってパソコンに向かう時間が長いため、1年ほど前から、自宅エクササイズにフラフープを導入しております。腹部のインナーマッスルを鍛えるのに有効で、さらには座りっぱなしで凝り固まりがちな骨盤まわりをほぐし、歪みをなおす効果もあると聞いたためです。

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効果のほどはよくわかりませんが、とにかく手軽なのがいい。わざわざヨガマットを敷いて筋トレやストレッチをする気が起きないときでも、テレビを眺めつつの“ながらエクササイズ”が可能。保管に場所もとりません。

はじめこそうまく回せませんでしたが、慣れれば簡単で、今や永遠に回すことができそうな気がするほどの小慣れ具合になってきました。

思い起こすのは、昨年、猛烈な台風がやってきたある夜のこと。東京が暴風域の真ん中に入るなか、私はフラフープにいそしんでいました。

フラフープは、左右均等に筋力をつけるため、数分ずつ逆回転で回さなくてはなりません。左回しが終わって右回しを始めたとき、ふと気がついたのです。自分は今、台風の回転に逆らってフラフープを回しているのだということに。まるで大自然の猛威を前に、部屋の一室で懸命に抵抗している人間のようだ! これまでの人生の一、二を争うレベルで、バカバカしい気分になりましたね。

筆者愛用のフラフープ。

さて、そんなくだらない話はさておき、フラフープといえばこの方です。

ヴァイオリニストのヒラリー・ハーンさん。

こちらの動画は、ヴァイオリンによるコミカルなパフォーマンスが人気のYoutubeデュオ、トゥーセット・ヴァイオリンのコンサートに、ヒラリーさんがゲストとして登場したときの様子。3人でフラフープをまわしながら、パガニーニの「24のカプリース」を演奏していくというものです。

上手にフラフープをまわしながらも、上半身は安定させてこの曲をきっちり弾くヒラリーさん。身体の軸の安定、体幹の強さ、柔軟性と余計な力を抜くことのうまさが際立っています。両サイドのトゥーセット・ヴァイオリンのふたりが、上半身固めてなんとか弾いている(それも簡単ではないと思いますが)様子と比べると、差は一目瞭然です。

この体の使い方のうまさ、コントロール能力の高さがあるからこそ、“フラフープなし”のときの、あの自由自在な音楽表現が可能なのでしょうね。

高坂はる香
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

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