ロシアはクリスマス! サンタクロースと「雪娘」の悲しい民話とは?
大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...
ロシアのクリスマスは、今日、1月7日なのだそうです。
グレゴリオ暦の欧米では12月25日がクリスマスですが、ロシア正教ではユリウス暦が使われているので、クリスマスはその2週間後の1月7日、ということらしい。
これを知ったのは、いつのことだったか。例年、12月25日あたりに「メリークリスマス」と声をかけて普通に返してくれていたロシア人の友だちが、あるとき、「本当はロシアではまだなんだよー」と教えてくれて、これまでは合わせてくれていたのね、と思ったという。いや、むしろロシアの人からグレゴリオ暦でメリークリスマスと言ってくれることも多いけど。
おそらく、海外で生活しているロシアの人はみんな、そんな感じでいちいち説明することもなく、「まだなんだけど、みんなはクリスマスだよなぁ」と思いながら暮らしているのでしょう。
先日もちょうど12月24日に、日本在住で小学生の息子さんがいるロシア人の女性と話していたら、「うちの子、周りの友だちはみんな今日プレゼントをもらうのに自分だけないって言ってかわいそうだから、我が家は2回クリスマスをやりますー」と言っていました。息子さんラッキーね!
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ところで以前、ロシアのサンタクロース事情を調べていたとき、ロシアのサンタはジェド・マロースという霜の精で、彼には孫娘(娘という説もあり)がいるということを知りました。スネグーラチカ(雪娘)と呼ばれる彼女は、ジェド・マロースがプレゼントを配るとき、一緒についてまわる女の子として親しまれているそうです。
このスネグーラチカの伝説、ほぼ忘れ去られていたものを19世紀後半に民話研究者のアレクサンドル・アファナーシェフが研究。その後、劇作家のアレクサンドル・オストロフスキーがこの話に基づく戯曲を書いたことで、広く知られるようになったらしい。
この戯曲には、まず1873年にチャイコフスキーが劇付随音楽を書いていますが、初演は失敗に終わったそう。その後、リムスキー=コルサコフがオペラ化、1882年にサンクトペテルブルクで初演されると、大成功したといいます。
チャイコフスキーの劇付随音楽《雪娘》
リムスキー=コルサコフのオペラ《雪娘》
そのストーリーは、概ねこのようなもの。
冬は終わるというのに、ジェド・マロースと春の精の娘、スネグーラチカが太陽の神の怒りをかってしまったため、寒さがなかなかやわらぎません。
そこで夫婦は、娘を人間の世界に預けます。村で生活するうち、愛を知らなかったはずのスネグーラチカはやがて愛を知り、それが太陽の神に見つかり、溶けて消えてしまう。そして太陽の神の怒りもようやく収まるのでした。
……悲しい。
日本の似たキャラクターといえば、雪女が思い浮かびます。こちらもまた悲しい系のストーリー(改めて調べるとかなりのパターンがあるのですね)が基本ですが、もっと根本的に暗くて、ロシアとかヨーロッパとはテイストが違う感じ。
やっぱり日本の文化って、独特でおもしろい。
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