読みもの
2022.01.14
高坂はる香の「思いつき☆こばなし」第95話

NHK BSプレミアムのショパンコンクール番組の収録に参加した話

高坂はる香
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

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昨年10月に行なわれたショパン国際ピアノコンクールは、日本勢が活躍したこともあって多くのメディアで取り上げられました。ここ数ヶ月、とくに入賞した反田恭平さんや小林愛実さんの姿は、あちこちの記事や番組でお見かけしましたね。

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そして来たる1月23日(日)11:00から、そんな多くのショパンコンクール特集番組とは少し毛色の違う、コンクールの演奏をどっぷり深掘りする系の番組『ショパン国際ピアノコンクール~世界最高峰のステージから』が、NHK BSプレミアムで放送されます。

もちろん日本人や入賞者の演奏も取り上げられますが、どちらかというと結果にかかわらず、全ステージを通じてこの作品ならこの演奏が印象的、個性的だった……というものが紹介される感じ。しかも、ワンフレーズずつの聴き比べもあったりして、同じ楽曲でも、奏者ごとにいかにテンポ感、音色、音量が異なるかが手に取るようにわかるつくりになっています。

つまり、クラシックに詳しくない方でも聴き比べの楽しみを知ることができ、逆に詳しい方でも、普通に配信を聴いていては得られない発見があるかも、という内容。

こちらの番組、現地で審査員や参加者のインタビューをお手伝いしたこともあって、私もスタジオの収録に参加してまいりました。

進行は、NHKアナウンサーの林田理沙さんと吉田真人さん。このお二人、本物のピアノ好きです。ショパンコンクールのライブ配信もしっかりお聴きになっていたらしく、収録中は、台本になかった問いもバンバン来てびっくりしました。

吉田さんは今もアマチュアのサークルでピアノを続けているそうですし、林田さんは東京藝大の楽理科で、日本におけるショパンの受容について研究されていたとか(ちなみにこの番組のディレクターさんも、藝大楽理科ご出身であります)。 

スタジオゲストは、審査員の海老彰子さんと、小説家の平野啓一郎さん

海老さんには、コンクール結果発表の翌朝ぶりにお会いしましたが、こうして時間がたって、改めてご自身の経験と結びつけながら語られるコンクールへの見解は、また興味深いものがありました。

平野さんは、ショパンとドラクロワの交流を軸に19世紀のパリを描いた長編小説『葬送』をお書きになっています。

私自身、以前『葬送』を読んだときは、いい人ー! と俄然ドラクロワに興味が湧いたりしたのですが、それはこの作品が、ドラクロワの日記や手紙の綿密な研究に基づいているため。今回の収録では、ドラクロワを研究した視点からのコメントがとても興味深かったです。

ショパン自身や弟子たちの言葉は参考にする機会がよくありますけれど、そういえばドラクロワの手紙って改めて読む機会なかった……でも彼はショパンと本当に親しかったので、その言葉にはいろいろな手がかりが残されているんですよね。

私も収録でみなさんからお聞きしたお話、改めて見返したVTRなどから、多くの発見がありました。放送、どうぞお楽しみに。

(※番組が最終的にどんな編集になっているかはわかりませんので、万が一ここで書いた内容が出てこなかったら、ごめんなさい!)

高坂はる香
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

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