音楽ことばトリビア ~ドイツ語編~ Vol.1

ググった

読みもの
2019.01.19
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イラスト:本間ちひろ
升島唯博 声楽家
升島唯博
升島唯博 声楽家
広島出身。エリザベト音楽大学卒業後、2001年渡独。デトモルト音楽大学修了。リューベック音楽大学、同大学院を首席で修了。オイレギオ国際コンクール優勝。08年にブレーメ...

Ich habe gegoogelt

イッヒ・ハーベ・ゲグーゲルトゥ

私はググった

18歳からクラシック音楽を始めて、20歳のときに初めてオペラに出演した際に聞いた不思議な言葉が「ゲネプロ」でした。今から23年前の出来事でしたのでスマホでググる事もできず、もやもやとした気持ちで「ゲネプロ」を行ないました。一体我々は何のプロなんだろう? と。

ドイツに留学し、劇場でオペラを歌う際にようやく完全に理解しました。ゲネプロ=ゲネラルプローベであることを。

ドイツ語でオペラの稽古は「Probe(プローベ)」といいます。Probeにもいろんな種類があります。

番号の順番に意味はありませんのであしからず。

1.Hauptprobe(ハウプトプローベ)

ドイツでは略してHP(ハーペー)と言ったりします。これは舞台上で衣装を着けて行う稽古。本番までに本物の衣装で稽古する回数は限られているので、実際の衣装を着た動きがどのようなものになるのか確認するための稽古になります。

2.Klavierhauptprobe(クラヴィーアハウプトプローベ)

略すとKHP(カーハーペー)となります。Klavier(クラヴィーア)とはピアノのことで、実際の舞台上で衣装も着て稽古するのですが、伴奏はピアノでしますよ、というものです。

3.Orchesterhauptprobe(オーケスターハウプトプローベ)

OHP(オーハーペー)と略します。これは2番と異なり、オーケストラ伴奏での稽古です。

4.Orchestersitzprobe(オーケスタージッツプローベ)

OSPと略しているところを見た記憶がなく、よくSitzprobe(ジッツプローベ)と言っていました。Sitzとは「座る」の意味で、楽譜を譜面台に置いて演技せずにオーケストラの前で歌う稽古です。主に指揮者とオーケストラと歌のバランスなどを確認する作業です。

5.Anprobe(アンプローベ)

略しません。衣装合わせの事です。採寸から仮縫い合わせ、本合わせなど数回衣装さんの部屋に行き、実際に着て確認していきます。

6.Generalprobe(ゲネラルプローベ)

ドイツではGP(ゲーペー)と略します。ゲネプロとは日本独自の略し方です。これは本番の舞台、本番の衣装、オーケストラ伴奏で行なわれます。3番のOHPとの違いはというと、OHPの場合は演出家や指揮者などから意見があると場面をストップして直したりしますが、GPはよほどの事がないかぎり、止めずに最初から最後まで演奏します。よほどの事とは、演者に危険が及ぶなどの事態です。

ドイツ語のProbeとは名詞で日本語では「稽古」ですが、proben(稽古する)という動詞もあります。名詞のグーグルが「ググる」という動詞に派生した感じでしょうか?

ちなみにドイツ語にもググる、googeln(グーゲルン)という動詞があります(笑)。なんとドイツ語の過去変化、現在分詞変化なども起こり、私はググる→Ich google(イッヒ・グーグレ)、私はググった→Ich habe gegoogelt(イッヒ・ハーベ・ゲグーゲルトゥ)と使います。

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