2025.03.05
名曲解説100
30秒でわかるベートーヴェン:交響曲第5番《運命》
ベートーヴェン:交響曲第5番《運命》について30秒で丸わかり♪
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770〜1827)の中期の傑作で、日本では《運命》の通称で有名です。この通称は彼の秘書役を務めたシンドラーが曲冒頭のタタタターという動機について作曲者自身が「運命はこのように扉を叩く」と語ったと伝えていることに由来しますが、これは作り話と考えられています。いずれにせよこの作品は、運命動機といわれるタタタターの動機を軸とする闘争的性格と全体の暗→明の構図を通して、苦悩との闘いが勝利へ至るといういかにもベートーヴェンらしい理想主義的な理念を表現しています。
第1楽章は徹底して運命動機の積み重ねで構築することで緊迫感溢れる展開を生み出す手法がきわめて大胆。第2楽章は優美な主題を持つ緩徐楽章。第3楽章は再び運命動機を織り込んだ悲劇的なスケルツォで、力強いトリオが対照されます。そしてスケルツォの回帰からそのまま劇的なクレッシェンドによる移行部を経て勝利の終楽章に突入、再現部直前に苦悩の回想のように運命動機が一瞬現れる以外は輝かしい勝利感に満ちた発展が繰り広げられます。この終楽章にピッコロ、コントラファゴット、トロンボーンを導入したことは当時の交響曲では画期的なことでした。
ベートーヴェン:交響曲第5番《運命》ハ短調 作品67
作曲年: 1804(?)~08年
演奏時間: 約35分
編成: ピッコロ1、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、コントラファゴット1、ホルン2、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、弦5部
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