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2025.10.08
名曲解説100

30秒でわかるドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ

ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタについて30秒で丸わかり♪

寺西基之
寺西基之

1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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フランスの近代音楽に新しい展開をもたらしたクロード・ドビュッシー(1862~1918)は、斬新で精妙な音感覚のうちに、豊かなイメージの世界を作り出すような音楽を追求した作曲家です。しかし、その彼も後期には、より抽象的な音世界を志向するようになります。

特に晩年に企画された種々の楽器によるソナタは、後期のドビュッシーのそうした方向を端的に示しています。これは第一次大戦に衝撃を受けた彼がフランスの伝統文化を守ろうと考えて企画したもので、当初は全6曲の構想だったのですが、結局彼の死によって3曲しか実現できませんでした。

ヴァイオリン・ソナタはその最後を飾るもので、一見古典的な3楽章構成のうちにも、晩年の彼の研ぎ澄まされた響きの世界を示したものとなっています。

3部形式による幻想的な第1楽章、軽やかかつ変幻自在に変化する“間奏曲”と題された第2楽章、第1楽章の回想で始まる生気に満ちた第3楽章からなっています。最晩年のドビュッシーの最後の創造力の高まりを示す傑作です。

ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ ト短調

作曲年:1916~17年

演奏時間:約14分

編成:ヴァイオリン、ピアノ

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