ミマスの歌づくりの旅 第2回 ゴールデンウィークに見頃を迎える南十字星を目指して
音楽教師の応援マガジン『教育音楽』の人気連載をONTOMOで特別公開! 合唱曲《COSMOS》の作曲者として広く知られるシンガーソングライターのミマスさんが、「歌づくりの旅」というテーマで、歌をつくる際のモチーフとなっている旅や自然、星空や宇宙について語ります。
ゴールデンウィークに海外へ旅行される方も多いでしょう。どの国もそれぞれの魅力にあふれていますが、僕がこの時期にオススメしたいのが南半球の国々! 中でもオーストラリアやニュージーランドなどは、日本との時差も少ないですし、直行便もあって行きやすく、人々も本当に温かいです。
なぜ南半球なのか。それは、ゴールデンウィークにこれらの国々を旅すると、有名な「南十字星」がちょうど見頃を迎えているからです。南十字星は僕が最も好きな星座の一つ。その美しさは一見の価値があります。
南の星に憧れてオーストラリアへ
ある場所から見える星や星座は、緯度によって決まります。そのため、アメリカやヨーロッパへ行っても見える星空はほぼ同じです。しかし南半球の国々に行くと、日本からは見ることのできない星たちとの劇的な出会いが待っています。
南十字星だけではありません。星空に浮かぶ不思議な雲のような大マゼラン銀河。私たちの太陽系のお隣の星として知られるケンタウルス座アルファ星の神秘的な輝き……。こうした光景を見ることは天文ファンの憧れです。
その憧れが極限に達し、僕はかつて「南半球の星空」をテーマに歌を作り、1作のアルバムにしたいと思いました。そのためには、実際に自分の目で見なければなりません。
2004年の12月。僕は3週間にわたってオーストラリアの砂漠を旅しました。一人でレンタカーを運転して走り回り、時には野宿をし、大自然の中でひたすら満天の星空を見上げました。翌年6月にもアクアマリンのボーカルSachikoとともに、大陸北端の町から中心部のウルルを目指す旅へ。地平線に向かって大陸縦断道路をひたすら走り続ける果てしない旅でしたが、本当に豊かな時間でした。
《エスペランサ〜希望〜》が生まれた海辺の町
これらの体験から生まれたのが、僕たちアクアマリンの4作目のCDアルバム『海と大陸と南天の星』。この中には、後に富澤 裕先生の編曲で合唱曲となる《エスペランサ〜希望〜》も収録されています。
この歌は、西オーストラリア州のEsperance という海辺の町にたまたま立ち寄った際、そこに広がる海の美しさに感動して作ったもの。あの町へ行くという偶然がなければ生まれなかった歌です。この歌を今では多くの方が歌ってくださっていることを思うと、不思議な感じがします。
旅は出会いに満ちている。小さな偶然が、人生に大きな贈り物をしてくれることが確かにあります。日々の生活でも、一つひとつの出会いを大切にしていきたいですね。
新・中学生のクラス合唱曲集
全曲収録CD付き楽譜[解説付き]、音楽の友社 編
- 定価5,280円(本体4,800円+税)、B5・64頁+CD1枚
オリジナルの新作を中学生に贈るクラス合唱曲集。音楽の授業の副教材、また校内合唱コンクール(合唱祭)など行事の選曲に最適。市原俊明、樹原孝之介、栂野知子、中内悠介、松井孝夫、ミマス、森山至貴、山崎朋子、弓削田健介、横山智昭の新作合唱曲全10曲を収録。全曲収録の範唱CD付き。
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