第1章:地球星歌の旅 Vol.2 アフリカ大陸
日本全国の学校や合唱団で歌われ続けている合唱曲《COSMOS》や《地球星歌》。旅の体験や星空の影響を受けた作者のミマスさんが自身の想いをこめた歌です。そのメッセージが、十数年の時をかけて歌とともに広まっています。この連載ではプロローグに続き、ミマス作品に込められたご本人の体験をエピソードとともに紹介していきます。
Sachikoの澄みわたるボーカルと、ミマスの詞と曲を基盤とする音楽ユニット「アクアマリン」( http://aqumari.com/ )のメンバー。1998年6月結...
南米大陸の旅を終えた僕たちは、アルゼンチンのブエノスアイレスから飛行機に乗りました。一晩かけて大西洋を横断し、南アフリカ共和国のケープタウンに着いたのです。
ケープタウンには天文ファンにとってぜひ見ておきたいものがあります。星座は全天で88個ありますが、そのなかに唯一、地上に実在する山が星座になったものがあるのです。それは『テーブルさん座』。テーブルのように頂上が平らな山という意味ですが、それがこのケープタウンにそびえているのです。18世紀フランスの天文学者・ラカーユが数年間この地に滞在し、南半球の星々を観測していたことがあります。その際に、このユニークな山を星座にしたのだそうです。ロープウェイで頂上まで気軽に行けますので、僕たちもアフリカに着いたその日にさっそく登ってみることにしました。
山頂からの眺めは本当に素晴らしく、息をのむような雄大な眺めが広がっていました。眼下にはミニチュアのような港町ケープタウンの街並み。目を移すと、水平線を目がけて沈もうとしている太陽が、大西洋の海原に金色の光の道を描いています。その風景は、自分がついにアフリカに来たという静かな興奮をいっそう輝かしいものに演出してくれました。
ジンバブエとザンビアの国境にあるのが有名なビクトリアの滝。世界三大瀑布の一つで、その水量と迫力は地球上で最大級のものでしょう。ちょうど雨季でしたので、滝に近づくと凄まじい水しぶきと暴風で何も見えません。まるで台風の中にいるかのよう。レインコートは必携です。巨大な滝の姿を見るには、少し距離をおいた場所まで退避しなければなりません。
幸運なことに、ビクトリア滝に滞在中、満月の夜がありました。その夜は日没後にも滝に入場することができます。そこで見たのは、月光と滝から舞い上がる水煙がつくる夜の虹『ムーンボウ』。これは本当に、幻想的な光景でした。ビクトリア滝では近くのキャンプ場に泊まったので、毎晩遅くまで芝生に座り、星空を眺めました。滝から天に昇る水煙が遠くに見え、月に照らされて青白く踊っています。南十字星の下でビールを飲みながら、幸せな時間を過ごしました。
ボツワナ共和国にチョベ国立公園という場所があります。ここは広大なサバンナと、そこに暮らす多くの野生動物を見ることができる場所。なかでもゾウの大群に出会えることで有名で、僕たちもたくさんのゾウやキリンに会うことができました。ゾウの群れの中には当然、幼い子どももいます。小さな子ゾウのとてつもない愛らしさには、サファリ・ツアーの参加者たちもこぞって黄色い歓声をあげていました。野生に生きる動物たちの姿。そして家族の絆。僕たち観光客はそれを一瞬垣間見るだけなのですが、なぜか深く感動してしまいました。『生きる』ということの原点が、そこにあるような気がします。毎日電車やクルマに乗り、パソコンで仕事をする人間といえども、結局は彼らと同じなのだ…。心からそう感じられる体験は、僕たちにとても大切なことを思い出させてくれます。
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