(6)音大受験の費用と入学後の学費は? 奨学金は?
音大受験の費用、入学後の学費はどれぐらいかかるのでしょう? もちろん大学が国公立か私立か、専攻が器楽系かそれ以外か、居住地が都市部か地方か、どんな人に習うのか、などさまざまな要素によるところが大きいので、一概には言えません。ここでは、いくつかの代表事例をもって、およそのイメージをつかんでいただければと思います。
執筆:堀内亮(音楽大学講師)、荒木淑子(音楽ライター)、青野泰史・北山奏子(編集グループ)。音楽之友社および『音楽大学・学校案内』編集グループは、1958年に年度刊行...
受験対策から入学まではどんな費用がかかる?
レッスン
音大入試では実技試験や課題が重視されるため、受験前に専攻実技(歌や楽器の演奏など)や作曲の個人レッスンのほか、聴音や視唱のレッスンをピアノ教室や音楽教室で受ける場合も多々あります。その際、毎月飛行機で上京して個人レッスンを受ける受験生もいれば、自宅から通える先生に就く場合もあります。また、目指す学校や専攻によって対策すべき科目や内容も異なるため、レッスンの種類や回数も人それぞれです。誰に習うかでも、金額は大きく異なります。
音大の先生に直接習う場合、例として挙げると、ソルフェージュは1時間につき5千~1万円程度、実技はレッスン1時間につき1万円程度で、最も高いケースで1時間3万円程度です。また1回のレッスンで何時間レッスンをするかは、生徒側が希望する場合と、先生が決める場合がありますので、あらかじめレッスン予定時間数と謝礼について確認しておいたほうがよいでしょう。
交通費、宿泊費など
今ではオープンキャンパスだけでなく、私立の場合はおおむね有料の受験講習会の受講が必須ですが(受験講習会については、「音大ガイド2.(2)音大入試の受験準備・対策はどうすべき?」参照)、地方から参加する場合は、交通費や宿泊費がかかります。宿泊先に寮がある場合も多いので、利用できればホテルなどに泊まるよりは少し安くすみます。
受験の際も、自宅から通えない学校を受ける場合には、交通費、宿泊費、練習場所代も考えておかなければなりません。練習場所については、先生が知人宅などを紹介してくれるケースもあるので相談してみましょう。
自宅から通えない学校への入学が決まったら、引っ越し費用、アパートやマンションの敷金・礼金なども発生します。
入学後の学費は?
『音楽大学・高校 学校案内』(音楽之友社)を見ると、私立音大の初年度納付金合計金額は、学校や専攻によって金額は異なり、およそ140万円から260万円です。ここでは例として、国立大学と私立大学のそれぞれの初年度にかかる費用を、以下に示しました。私立大学の場合、マンツーマンのレッスン、少人数の授業、防音練習室など、環境や設備の充実を推進することでおのずと学費は相応のものになってきます。
- 国立大学の例
東京学芸大学の初年度にかかる費用(令和3年度・東京学芸大学Webサイトより)
入学金:282,000円
授業料:535,800円(年間)
合計 :817,800円
- 私立大学の例
洗足学園音楽大学の初年度にかかる費用(令和3年度・『音楽大学・高校 学校案内2022』より)
入学金: 200,000円
授業料:1,490,000円(年間)
施設費: 500,000円
合計 :2,190,000円
大学独自の奨学金制度もある
各大学では、多くの学生が「奨学金」を利用できるように、さまざまな制度を設けています。特に私立大学の場合はそれぞれ独自の奨学金を設け、「特待生選抜(試験)」を行う音大があります。志望校のWebサイトなどで確認しましょう。
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