読みもの
2020.03.19
「音大ガイド」1.音大進学と選び方

(6)音大ランキングでレベルや難易度はわかる?

音大に興味を持たれた方は、各大学の入試の「難易度」や学校の「レベル・格・評価」を知るために、ネットを検索して音大に関するランキングを見た方もいると思います。しかし、それらのランキングで判断するのは、なかなか難しいでしょう。ここでは、各種ランキングの不確かさと、ではどうすれば「難易度」「レベル・格・評価」がわかるのかを説明します。

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『音楽大学・学校案内』編集グループ 音楽之友社

執筆:堀内亮(音楽大学講師)、荒木淑子(音楽ライター)、青野泰史・夢川愛唯奈(編集グループ)。音楽之友社および『音楽大学・学校案内』編集グループは、1958年に年度刊...

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ネットで見られる音大の「偏差値ランキング」は一般学科のみを対象としている

ネット上の音大の偏差値ランキングでは、東京藝術大学音楽学部、京都市立芸術大学音楽学部、同志社女子大学学芸学部音楽学科などが上位に来ているものが見られます。一般大学では、このような偏差値ランキングは、学校の「入学難易度」を表し、「レベル・格・評価」と概ね一致しますが、音大についてはどうなのでしょうか?

実は音大の入試では、とくに器楽・声楽系は実技、音楽科目、面接などが重視され、配点も高くなります。しかし、ネット上の音大の偏差値ランキングで対象としているのは、これら以外の英語、国語などの「一般学科」のみだと思われます。さらには、一般学科が入試にない音大もあります。このことから、このような音大の偏差値ランキングは、「入学難易度」「レベル・格・評価」を知る目的では、限定的な意味しかないと言えるでしょう。

その意味では、国公立大学の音楽学部の一部専攻や、国立大学の教育学部系など、大学入学共通テスト(センター試験)や一般学科試験の配点比重の高い学校については、偏差値を意識しておいたほうがいいかもしれません。

国公立「以外」の「倍率ランキング」はそもそも「難易度」「レベル・格・評価」とは関係がない

音大倍率ランキングでは、東京藝術大学音楽学部、京都市立芸術大学音楽学部、愛知県立芸術大学音楽学部などが上位に来ているものが見られます。もちろん、これは倍率の観点からは、事実です。音大の倍率は、学費の安さとも連動し、上記の国公立大学は難易度という点では高いと言えるでしょう。また国立大学の教育学部系もおおむね私立の音大より倍率は高いですが、入試のプロセスがかなり異なるので同列には論じられないでしょう。

しかし、私立に目を向けると公表されている倍率は大差がなく、判断材料になりません。そもそも倍率は「難易度」「レベル・格・評価」と完全に連動するものではありません。わかりやすい例でいうと、一般大学で最難関と言われる東京大学の2次試験の倍率は3~4倍ですが、中堅私立では10倍を超える学部もあります。「倍率ランキング」は合格のしやすさとも連動してしまいます。

さらに音大の倍率は、楽器ごとに大きく異なりますが、ネットなどで見られる「倍率ランキング」は、たとえば「器楽」などとまとめられた学部(専攻)で表示されています。仮に一つの大学の中で特定の楽器で優れた演奏家を多く輩出していて、レベルや合格のハードルが高かったとしても、そこまでは数字に反映されないわけです。

ほかにも、そもそも併願が少ないので倍率は低くなる、学校数や受験者も少ないので年によってバラついてしまう、といった評価が難しくなる要因もあります。

皆が知りたい「難易度」「レベル・格・評価」を知るにはどうすればいいか?

実技試験の入試課題を見ると、大学によって曲の数や演奏時間などに違いが見られます。課題の数が多く、難しければ難しいほど大学が求めているレベルは高いと言えるでしょう。これを受験の難易度の目安とすると、倍率の高い国公立や私立の「特待生入試」「少人数の選抜コース」などを上位に挙げることはできます。

しかし、もともと音大受験では、大学の「難易度」や「格」よりも師事したい先生、教育の環境で志望校が選ばれる傾向が強く、そういった歴史の結果として単純な格付けができないという背景があります。これは、音楽そのものの評価は学歴にほとんど左右されないということが影響しているのかも知れません。当然のことですが、学歴で名演奏や名曲が生まれるわけではなく、学歴で集客ができるわけでもないのです。

そのなかで強いて目安となり得る一般論をあげれば、やはり著名な演奏家・作曲家・指導者・研究者などをどのくらい輩出しているか、また演奏家に限って言えば、有名なコンクールでどこの大学の出身あるいは所属の人が多く入賞しているか、などでしょう。それは入学時点での選定の厳しさや、入学後の教育の成果を表している可能性が高いからです。

とはいえ、最終的に自分がどういう道を目指していくかということについて優劣はありません。難しい大学に挑戦したいという気持ちは素晴らしいことですが、ランク付けにこだわらず、講習会やオープンキャンパス・演奏会などに足を運んで、自分がさらに成長していけそうな環境を選ぶことがベストでしょう。

 

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