読みもの
2020.03.19
「音大ガイド」4.音大生の卒業後・就職

(2)音大生の就職・就活・仕事上の強み、PRポイントは?

音楽大学に進学して、4年間楽器の練習や音楽の勉強に明け暮れていたら、普通に就職する場合、就活や仕事でアピールできることなんか何もないのでは? そんなふうに思う方もいると思います。でもそれは違います。音大生は、知らず知らずのうちに、すごく強みになる武器をいっぱい身に付けられるのです!

*記事は内容の更新を行っている場合もありますが、基本的には上記日付時点での情報となりますのでご注意ください。

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『音楽大学・学校案内』編集グループ
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『音楽大学・学校案内』編集グループ 音楽之友社

執筆:堀内亮(音楽大学講師)、荒木淑子(音楽ライター)、各編集グループスタッフ。音楽之友社および『音楽大学・学校案内』編集グループは、1958年に年度刊行書籍『音楽大...

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音大卒は優秀な人が多い。そんなことを感じて、その背景や理由をいくつかの音大の学生課・就職課の方に尋ねました。それらのお話は、なるほどと思わせられるものばかりでした。もちろん、すべてがそんな人ばかりではありませんが、さまざまな力を身に付けられる環境があるのは事実です。

続けることで身に付く責任感、自己管理能力、集中力

音大生は、少なくとも大学の4年間、人によってはピアノやヴァイオリンならば3、4歳の頃から、レッスンで毎週次はここまでやってきなさい、ということを長期間続けています。つまりは、与えられた課題に対して短い時間で仕上げる、ということをずっと行ってきているわけですね。こんな経験をしている学生は、なかなかいません。とにかくまじめに必ずやりとげる、そういう責任感、正確さ、忍耐力、継続力、自己管理能力、集中力は、いつのまにか確実に培われているのです。

演奏で培うクリエイティブ能力、度胸、マナー

演奏の本質は、一人一人の個性とクリエイティブな感覚です。これが身に付いていると、仕事でアイデアが必要な場面で活きてきます。また、表現力、ひらめきなど感覚的なところに優れていないといけませんから、人としておもしろく、魅力的です。

さらに音楽をやっていると、ステージにのって演奏しなければいけない。他人の視線が注がれ、緊張感を強いられる状況に立つわけです。我が身を人目にさらす厳しさをくぐりぬけてきた人間には度胸が身に付き、それが強さにつながります。演奏会で500人の前で演奏を披露してきた人にとって、10~20人の前でプレゼンを行うことなど、何でもないことなのでしょう。当然、服装や立ち居振舞は重要ですので、基本的なマナーも身に付きます。

アンサンブルやレッスンで覚える協調性、コミュニケーション能力

器楽や声楽専攻ならもちろん、音楽学や音楽教育などの専攻でも、音大生ならアンサンブルを経験します。アンサンブルは、人と協調して行うものです。これを通し、人間関係に対する気遣い、協調性、コミュニケーション能力が培われていきます。社会に出て非常に役立つものです。自分と他人、個と全体、そのなかでの自分の役割、ということを肌で感じながら成長できるのです。

また日々の楽器のレッスンは、先生という「大人」とのコミュニケーションです。一般の大学で、これほど身近に大人と接し続けている学生はなかなかいないものです。叱られ慣れているから、会社で上司に怒られても耐性は十分!と言っている音大卒の方もいました。

いっぽう、学外での演奏活動や学園祭では、自分たちが主体的に企画を考える場面も多いので、企画力や構成力も身に付きます。

音楽学や音楽教育などの専攻ならさらに強みが!

これまでは器楽・声楽専攻の場合をメインにお話してきましたが、音楽学や音楽教育などの場合は、楽器も学習しつつ各分野の学究を行うことになります。つまりは、上記のような力に加えて、専門分野も持つわけです。一般大学の学生は後者だけですから、圧倒的な強みを持てることでしょう。

そんな力は就活でも効果抜群!

ということで、音大生がいつのまにか培うことになるさまざまな力についてお話しました。これらは、就活のエントリーシートや面接の場で、一般大学の学生にはない強みになります。高い資質・ポテンシャルに一般常識や社会性がついてくれば、魅力的な組織人になれるでしょう。実際、私のまわりにもそのような音大卒の社会人がたくさんいます。

また社会でも、かつて体育会系の学生がもてはやされたように、昨今では音大の学生を評価する企業や公の機関も確実に増えています。音大に進学し、前向きに音楽の学習に取り組んでいれば、けっして就活や社会人生活を恐れる必要はないのです。

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執筆:堀内亮(音楽大学講師)、荒木淑子(音楽ライター)、各編集グループスタッフ。音楽之友社および『音楽大学・学校案内』編集グループは、1958年に年度刊行書籍『音楽大...

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