オーケストラ——この世でもっとも面白い、人間たちの集まり!
シーンとしたステージに、黒の燕尾服やドレスを着たオーケストラ。それだけを見ると「別世界の人々」と近寄りがたい存在に思えるかもしれません。
でも、身体能力や頭脳で勝負するスポーツと同じく、音楽という芸術や楽器の腕で勝負するオーケストラは、近寄ってみると人間模様も面白い。ヒーローインタビューはなかなかないけれど、地域に根付いた活動もあって、どんどん身近になっていますよ。
そんなオーケストラに近づいて、エールを送る楽しみを!
1963年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバ...
個性豊かな人々によるユニークな集団
オーケストラは、この世でもっとも面白い、人間たちの集まりのひとつです。
まるで動物園みたい、と言ったらお叱りを受けるでしょうか?
でも、それくらいに個性豊かな、色とりどりの、ユニークな人々が、音楽を通して語りかけてくる。
私たちは、もっとオーケストラを面白がっていい。
演奏のクオリティにこだわることも大事だけれど、もっと、人間らしい集団として、付き合うことができるのではないでしょうか?
オーケストラは、野球やサッカーのチームとよく似ています。
監督がいて、チームリーダーやスター選手がいて、新人やベテランが、それぞれにいい味を出している。劇的な試合運びで勝つこともあれば、エースが投げているのに負けてしまうこともある。
でも、たとえ弱かったとしても、一度好きになってしまったチームの応援は、簡単にやめられないでしょう?
そこには応援する理由がある。地元だからとか、チームカラーが好きだからとか、好きな選手がいるからとか。
私たちは、人間的な集団として、オーケストラと深く付き合うことによって、好きなチームを応援するのと同じくらいに、人生の楽しみを増やすことができるのではないでしょうか?
日本のオーケストラを見てみよう
いくつかのオーケストラを見てみましょう。
たとえば、関西でもっとも長い歴史をもつ大阪フィルハーモニー交響楽団は、オーケストラ界の阪神タイガースかも。亡きレジェンド朝比奈隆(創立名誉指揮者)以来の誇り高い伝統を踏まえつつ、新音楽監督、尾高忠明のもと、さらなる飛躍を目指しています。
神奈川フィルハーモニー管弦楽団は、横浜ベイスターズと同じように、横浜市民や神奈川県民にとっての誇りであり、とても愛されています。石田泰尚と﨑谷直人という強力な2人のコンサートマスターは、都内のどのオケにも負けていません。
現存する日本最古のオケである東京フィルハーモニー交響楽団は、オペラを得意とすることでも知られます。名誉音楽監督チョン・ミョンフン、首席指揮者アンドレア・バッティストーニという2人の大スターが牽引するアンサンブルからは目が離せません。
杉並区を本拠とする日本フィルハーモニー交響楽団のカラーは、「市民派」ということでしょう。その特徴は全員がそろって気持ちよく一礼するステージマナーにも表れています。いつもお客さんのことを意識しながら演奏する、その心持ちが彼らの魅力です。
オーケストラの役割は、コンサートでいい演奏をすることだけではありません。
クラシック音楽という人類共通の素晴らしい財産を生かして、子どもたちの心の成長に役立つワークショップをしたり、日頃コンサートには行かれない人たちのところに出かけて行って演奏するのも、彼らの大事な仕事です。そうした中でオーケストラは、土地と深く結びついたものになればなるほど、根強い、求められる存在になっていきます。
みなさんもぜひ、オーケストラを人間の集まりとして、好きになってみませんか?
「あなたのオーケストラのカラーは何色?」~4つのオーケストラの紹介はこちら!
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