読みもの
2024.07.15
特集「ONTOMOパリ・ガイド 2024」

パリの名所が舞台の音楽映画4選! 往年の名画から『オペラ座の怪人』まで

華の都パリ......文化人・芸術家たちを刺激してきたこの街は、たくさんの映画の舞台にもなってきました。今回はその中でも「音楽映画」に絞り、パリの名所がたっぷり堪能できる作品にフォーカスを当てます。フランス留学経験もあるライター、コラムニストのNAOMI YUMIYAMAさんが厳選した4本を紹介してくれました!

NAOMI YUMIYAMA
NAOMI YUMIYAMA ライター、コラムニスト

大学卒業後、フランス留学を経て、『ELLE JAPAN(エル・ジャパン)』編集部に入社。 映画をメインに、カルチャー記事担当デスクとして勤務した後、2020年フリーに...

映画『パリの恋人』~エッフェル塔の下を歩くフレッド・アステアとオードリー・ヘップバーン

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パリの名所とオードリー・ヘップバーンの魅力を満喫

『パリの恋人』(1957年)

心躍る名曲「ボンジュール、パリ!」にのせて、観光気分でパリの名所を楽しめるファッショナブルなミュージカルコメディ。オードリー・ヘップバーンが扮するジョーは、グリニッジ・ヴィレッジで働く内気な書店員。ひょんなことから人気カメラマンのディック(フレッド・アステア)に連れられて、パリで華やかなスーパーモデルに変身する。

▼パリの名所が続々登場して、視覚にも楽しいナンバー「ボンジュール、パリ!」

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ルーブル美術館やオペラ座、カルーゼル凱旋門……。優雅なジヴァンシィのドレスを着たジョーが観光名所でモデル撮影をする場面は、絵葉書のようなパリの美しさとオードリーの魅力を存分に堪能できる名シーン!

「ス・ワンダフル」、「ファニー・フェイス」など世界中が愛するガーシュウィンの名曲も登場。ミュージカル映画初出演のオードリーが「生歌」を披露するのも見どころだ。

▼「パリの恋人」オリジナル・サウンドトラック

セーヌ川河岸のオードリー・ヘップバーン

世界三大歌劇場パリ・オペラ座の地下には怪人が?

『オペラ座の怪人』(2005年)

パリの中心にある、世界三大劇場のひとつ「パリ・オペラ座/ガルニエ宮」。本作は19世紀末のオペラ座を舞台に、地下に潜む仮面の男「ファントム」とコーラスガールとの危険な愛を描いた、ロンドン発ミュージカルの映画版だ。

ミュージカル・映画の原作ガストン・ルルーの小説『オペラ座の怪人』が書かれた20世紀初頭に撮影されたオペラ座「ガルニエ宮」
1862年、大量の地下水に悩まされたガルニエ宮の基礎工事の様子。これが転じて「オペラ座は地下湖の上に建設された」という伝説になり、「怪人」の話が生まれた。実際には湖ではなく貯水槽が設置されている。

『キャッツ』や『エビータ』で知られる作曲家アンドリュー=ロイド・ウェバーの最高傑作だけに、登場する楽曲は名曲ぞろい。パイプオルガンの旋律が強烈な「オペラ座の怪人」や美しいアリア「シンク・オブ・ミー」など、ウェバー自身が選んだ実力派キャストによる吹き替えなし歌唱は聴きごたえ充分。さらに当時のオペラ座を再現した豪華絢爛なセットや、2万個以上のスワロフスキーを使った巨大シャンデリアの落下シーンなど、映画ならではの贅沢なひとときを堪能できる。

▼映画「オペラ座の怪人」オリジナル・サウンドトラック

モンマルトルの名所「ムーラン・ルージュ」と「カンカン」誕生秘話

『フレンチ・カンカン』(1955年)

パリの下町モンマルトルにある、“赤い風車”が目印の老舗キャバレー、「ムーラン・ルージュ」。ジャン・ルノワール監督の『フレンチ・カンカン』は、この店の由来と名物ショー誕生秘話を、色彩豊かに描いたオペレッタだ。

ベル・エポック時代のパリ、クラブ経営者ダングラール(ジャン・ギャバン)は、キャバレーの踊り子ニニに触発されて、カンカンを取り入れた新たなショーの興行を思いつく。店名を「ムーラン・ルージュ」に変えて初日に向けて奔走するが、次々にトラブルが舞い込んで……。

オッフェンバックの「天国と地獄」にのせて、踊り子たちがカンカンを踊る豪華絢爛なフィナーレは圧巻! フランスの伝説的な歌手、エディット・ピアフがシャンソンを歌う貴重な舞台姿も見逃せない。

▼映画の中でピアフが歌う「舗道のセレナード」とオッフェンバック:《地獄のオルフェ(天国と地獄)》~「地獄のギャロップ(カンカン)」

1889年のムーラン・ルージュのポスター
1914年に撮影されたムーラン・ルージュ

オペラ歌手との純粋な恋を彩るパリの街並み

『ディーバ』(1981年)

『ベティ・ブルー』のジャン=ジャック・ベネックス監督が、クラシック音楽の世界とフィルムノワールの世界を斬新なスタイルで描いたサスペンス映画。主人公は熱狂的なオペラファンでパリで郵便配達夫をしている青年ジュール。ある日、アメリカ人ソプラノ歌手シンシアの歌をコンサートで盗み撮りしたことから、危険な犯罪に巻き込まれる。

由緒あるパリの劇場でシンシア(ウィルヘルメニア・フェルナンデス)が《ラ・ワリー》のアリアを歌う幕開けから、音楽のもつ美しく官能的な世界に誘われる本作。ディーバ歌姫する主人公の冒険、アートなフレンチコミックを読むような楽しさがある

ブルーを基調にした艶やかな映像で描く多彩なパリの表情も魅力。静かなピアノ曲をBGMジュールとシンシアが散策する夜明けのパリの美しさは絶品だ。

▼映画冒頭でシンシアが歌うのは、伝説のディーヴァ・マリア・カラスも得意としたカタラーニ作曲《ラ・ワリー》のアリア「さようなら、ふるさとの家よ」

NAOMI YUMIYAMA
NAOMI YUMIYAMA ライター、コラムニスト

大学卒業後、フランス留学を経て、『ELLE JAPAN(エル・ジャパン)』編集部に入社。 映画をメインに、カルチャー記事担当デスクとして勤務した後、2020年フリーに...

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