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「第九」で学ぶ!楽典・ソルフェージュ 第2回 音名

年末の風物詩としておなじみの「第九」。第4楽章では4人のソリストと合唱によって、ドイツの文豪シラーの「歓喜に寄せて」が高らかに歌われます。このシラーの詩について、3回にわたって詳しく理解を深めていきます。
まずは、「歓喜に寄せて」が執筆された背景に注目! シラーの友情やフリーメイソンが深く関わっているのです。

京都産業大学外国語学部准教授。専門は18世紀の文学と美学。「近代ドイツにおける芸術鑑賞の誕生」をテーマに研究し、ドイツ・カッセル大学で博士号(哲学)を取得。ドイツ音楽...
ベートーヴェンの「交響曲第9番」は、もっとも有名なクラシック音楽の一つ。日本では「第九」という名で親しまれ、年の瀬を飾る定番曲になっている。この曲を特徴づけているのは、なんといっても第4楽章だろう。「おお友よ!(O Freunde!)」というバリトンの掛け声から始まる合唱は、ベートーヴェンが辿り着いた境地、「苦悩を突き抜けた喜び」という人生観を感じさせるものだ。
しかし、「第九」に込められているのは、作曲家ベートーヴェンの信念だけではない。歌詞を書いた詩人シラーの想いも詰まっている。そこで、まずは「歓喜に寄せて(An die Freude)」という詩が書かれた背景に迫りたい。
ベートーヴェン:交響曲第9番《合唱付き》
フリードリヒ・シラーは、ゲーテと並ぶドイツ文学を代表する作家である。ロッシーニの《ウィリアム・テル》、チャイコフスキーの《オルレアンの少女》、ヴェルディの《ドン・カルロス》など、シラーの作品から生まれた音楽作品も多い。
ロッシーニ:《ウィリアム・テル》







