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「第九」のテンポはどうあるべき? ベートーヴェンの記述や発言から徹底検証!

シューベルトのピアノ五重奏曲《ます》の第4楽章の有名なメロディは、同名の歌曲がもとになっています。その歌詞を書いたのはシューバルト! シューベルト×シューバルトのややこしい名前コンビが生み出したこの名曲について、歌詞から深掘りします。オーストリアの鱒事情から、シューベルトの曲には出てこない第4節の意味まで徹底解説。

京都産業大学外国語学部准教授。専門は18世紀の文学と美学。「近代ドイツにおける芸術鑑賞の誕生」をテーマに研究し、ドイツ・カッセル大学で博士号(哲学)を取得。ドイツ音楽...
シューベルトのピアノ五重奏曲《ます》は、もっとも有名な室内楽曲のひとつ。第4楽章の軽快なメロディは、とくに広く親しまれている。「耳にすると、つい口ずさみたくなる」という方も多いのではないか。
シューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》より第4楽章
どんな情景を思い浮かべながら、シューベルトはこの名曲を書いたのだろう。
シューベルトが暮らしたオーストリアは、アルプス山脈に面した国。ザルツブルクやインスブルックといった町の郊外には、息を飲むほど美しい自然が広がっている。底まで見えるほどに澄み切った川や湖では、優雅に泳ぐ鱒の姿が確認できる。


週末になると、そこには多くの人々がハイキングにやってくる。大自然を満喫したあとの定番は、湖畔のレストランで味わう鱒の燻製やムニエルである。
アルプスの恵みであるマスは、人々の生活に深く根ざした魚といえる。シューベルトの《ます》には、オーストリアの豊かな風土が投影されているのだ。








