カプリッチョ:楽語もピザの名前も同じ「気まぐれ」の意。フランス語ではカプリス
1993年生まれ、東京都出身。2022年、第1回ひろしま国際指揮者コンクール(旧:次世代指揮者コンクール)優勝。パリ地方音楽院ピアノ科、ミュンヘン国立音楽演劇大学古楽...
イタリア語の名詞で「気まぐれ」という意味のカプリッチョ。フランス語ではカプリス(caprice)とも呼ばれます。
カプリッチョという言葉を使った初めての作品は、ベルギーの作曲家ジャケ・ドゥ・ベルヘム(1505?〜1567)の《カプリッチョ集》だとされています。形式にとらわれず、好きなように書かれた作品です。
こうして、作曲家の好きなように書かれた気まぐれな作品のことが「カプリッチョ」と呼ばれるようになりました。
日本では「奇想曲」とされることが多いです。奇想というのは「形式からはみ出た、思いもよらないさま」
ベルヘム:カプリッチョ第1集〜シンフォニア
のちに書かれた音楽辞書でも「形式にとらわれず、作曲家のイマジネーションに従って書かれた作品」と定義されています(ブロサール/1703年、ヴァルター/1728年)。
カプリッチョの形容詞、カプリチョーゾ(capriccioso)という言葉も楽語です。こちらは「気まぐれな」という意味で、気まぐれな雰囲気で弾いてほしい場合、楽譜上で指示として用いられます。
さて、カプリチョーゾという言葉を聞いて、とあるものを連想する方がいらっしゃるかと思います。カプリチョーザ……ピザです!
このピザのカプリチョーザも同じく「気まぐれな」という意味で、ざっくり訳すと「シェフの気まぐれ風」といったところでしょうか。
このように、カプリッチョと題された音楽は、作曲家の気の赴くままに、気まぐれに書かれました。
カプリッチョを聴いてみよう
1. J.S.バッハ:カプリッチョ《最愛の兄の旅立ちに寄せて》〜「ホルン信号によるフーガ」
2. ベートーヴェン:カプリッチョ「なくした小銭への怒り」作品129
3. パガニーニ:24のカプリス 作品1〜第5番 イ短調
4. ブラームス:8つの小品 作品76〜第2番 カプリッチョ
5. R.シュトラウス:歌劇《カプリッチョ》〜「支配人さん!」
6. ラフマニノフ:ボヘミア奇想曲 作品12
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