レント:遅いテンポを表す楽語。ラルゴやアダージョとの違いは?
1993年生まれ、東京都出身。2022年、第1回ひろしま国際指揮者コンクール(旧:次世代指揮者コンクール)優勝。パリ地方音楽院ピアノ科、ミュンヘン国立音楽演劇大学古楽...
数あるテンポを表す言葉のなかでも、遅いテンポを表すレント。イタリア語でのろのろしている、遅いという意味の言葉です。同じく遅いテンポを表した言葉にラルゴやアダージョがありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
最初にレントという言葉が音楽史に登場したのは、1619年に書かれたドイツの作曲家プレトリウスの作品においてです。フランス語のlent(レントと同じ意味)や、lentement(レントと同じ言葉を語源とするフランス語の副詞形で「遅く」という意味)も頻繁に用いられました。
レントという言葉が使われた当初は、ラルゴやアダージョなど、ゆっくりとしたテンポとはそこまで大きな違いはなく、遅めのテンポを表すほかの言葉と区別されるようになったのは、18世紀以降だそうです。
ラルゴやアダージョが、もともとは曲調(曲の雰囲気)を表す言葉なのに対し、レントは直接的に「遅い」という意味をもつため、多くのテンポ表記のなかでももっとも遅いテンポを表す言葉として使われるようになりました。
やはり、あまりに遅いテンポとなると、演奏するのも大変なので、登場頻度はそこまで高くありませんが、「ここぞ!」というところで登場するのがレントなのです。
レントを聴いてみよう
1. ルベル:「リュリさんの思い出」〜第1曲 Lentement
2. ハイドン:「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」〜第6ソナタ Lento
3. ショパン:ワルツ 作品34-2 Lento
4. ドビュッシー:「レントより遅く(La plus que lente)」
5. ラフマニノフ:合唱交響曲《鐘》作品35〜第2楽章「柔らかい結婚式の鐘」 Lento
6. アート・テイタム:ドヴォルザークのユモレスク(Poco lento e grazioso)による即興
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